東野圭吾『白鳥とコウモリ』は犯した罪と与えられる罰には大きな隔たりがあることがわかる物語

おすすめ小説

今の日本では、犯した罪と与えられる罰に納得感があると思いますか?

私はこれまでこのブログでも書いてきたように、少年法に反対していますが、

東野圭吾さんの小説『白鳥とコウモリ』を読んで、改めて犯した罪と与えられる罰との間には大きな隔たりがあることがわかりました。

それだけでなく、気になる謎が次々と提示される物語だったので、ページをめくる手が止まらなくなったんですよね。

おすすめ度:5.0

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こんな人におすすめ

  • 誰からも慕われていた弁護士が殺害される物語に興味がある人
  • 気になる謎が次々と提示される物語が好きな人
  • 罪と罰は別のものだとわかる物語を読んでみたい人
  • 東野圭吾さんの小説が好きな人
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あらすじ:誰からも慕われていた弁護士が殺害される物語

物語は、白石弁護士が車の後部座席でナイフで刺され、遺体となって発見されるところから始まります。

この事件を捜査することになった警視庁捜査一課の五代は、所轄の刑事巡査長である中町と一緒に関係者に事情聴取をしましたが、

誰もが白石弁護士は殺されるほどの恨みを買う人物ではなかったと断言しました。

そこで、五代たちは白石弁護士の足取りを追ったところ、門前仲町にあるコーヒーショップで、犯人と思われる人物と待ち合わせをしていた可能性があることに気づきます。

さらにその後、白石弁護士の通話履歴に残っていた愛知県安城市に住む66歳の倉木達郎に会いに行ったことで、犯人を特定する手がかりを掴みますが…。

というミステリーが楽しめる小説です。

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感想①:気になる謎が次々と提示される

この小説では、気になる謎が次々と提示されます。

たとえば、

  • 殺された白石弁護士は、なぜ縁もゆかりもない門前仲町に何度も来ていたのか?
  • 白井弁護士が門前仲町に2回目に来たとき、コーヒーショップの2階で一人で2時間も何をしていたのか?
  • 愛知県に住む倉木達郎は、なぜ東京に住む見知らぬ白木弁護士に電話相談をしたのか?

など、気になる謎だらけです。

ちなみに、ここまでで紹介した謎は、30ページほどで提示されるもので、

その後、物語は1984年に起こった灰谷という悪どい金融業者が出刃包丁で殺害される事件へと繋がっていきます。

さらに、100ページほど読めば、犯人が捕まるのですが、実はこの物語が本格的に始まるのはここからなんですよね。

劉慈欣さんの小説『三体』でも、この物語はどこに連れて行ってくれるのだろうとワクワクしながら読み進めることができましたが、

劉慈欣『三体』は人類は今後も生きる価値があるのか?と問いかけてくるSF小説
人類は今後も生きる価値があると思いますか? 私はもちろん生きる価値があると思っていますが、劉慈欣さんの小説『三体』を読んで、生きる価値がないと考えている人たちの思考が少しわかりました。 それだけでなく、最先端の科学技術を駆使した...

この小説でも、気になる謎が次々と提示されたので、ページをめくる手が止まらなくなりました。

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感想②:ネット社会は人が持つ異常な精神状態に火をつけた

先ほど犯人が逮捕されてから物語が本格的に始まると書きましたが、

犯人が逮捕されてすぐに被害者と加害者、そしてその家族がネット上でバッシングされました。

週刊誌の記者が、加害者家族にインタビューをし、意図とは異なる内容を記事にしたことも関係していましたが、

ネット上では加害者家族の住所や過去の写真がさらされ、そしてあらゆるバッシングが書き込まれます。

そのため、弁護士からは、殺害現場に行っても、花を供えてはいけないと言われました。

情状酌量を狙ったパフォーマンスだと騒がれるからだと言うのです。

また、被害者とその家族もバッシングを受けていました。

殺されたのは、ある意味自業自得だとか、被害者家族に向かって「悲劇のヒロイン風に会見しちゃうんだろうな」など、神経を疑うような書き込みをしている輩までいたんですよね。

湊かなえさんの小説『白ゆき姫殺人事件』でも、ネット上で悪意を振りまく人たちの姿が描かれていましたが、

湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』は小さな悪意が大きな悪意を生み出すことがわかるミステリー小説
他人をあれこれ評価していませんか? 私もついつい評価してしまうことがありますが、 湊かなえさんの小説『白ゆき姫殺人事件』を読んで、悪意ある評価はしないでおこうと思いました。 こうした小さな悪意が、大きな悪意へと繋がっていく...

この小説でも、ネットには「誰でもいいから叩きたい」と考えている精神が異常状態になっている人たちが大勢いることがわかる物語が描かれていました。

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感想③:罪と罰は別のもの

さて、この小説では、「罪と罰は別のもの」をテーマに描かれているように思います。

被害者家族や加害者家族にとって、唯一頼りになるはずの刑事や検察、弁護士は、本当の意味で味方になってくれるわけではないからです。

まず、検察や弁護士は、お互いの主張を通し合うゲームのような戦いを繰り広げます。

そのため、被害者や加害者の家族が納得できない主張があっても、それがたとえ事実と違っていても、求刑を左右しない事実は些細なことだと言います。

警察もそうです。

一旦、事件が解決したと判断されてしまえば、事件を覆すような重要な証拠が見つからない限り、再捜査することはありません。

つまり、実際に犯した罪と、裁判で決まる罰は別物なんですよね。

『トッカイ』では、悪事に手を染めて大金を手にし、優雅に暮らしていても、借金を返そうとしない、罪の意識をまったく感じていない商人たちの姿が描かれていましたが、

バブルの怪人と闘う「トッカイ」をご存知ですか?
バブルの怪人と闘うトッカイをご存知ですか? 「整理回収機構 不良債権特別回収部」という国が設立した組織で、 バブル時代に悪事に手を染め、バブルが崩壊してからも借金を返そうとしない商人たちから不良債権を回収しようとする人たちのこと...

この小説では、犯した罪と与えられる罰との間にある隔たりに、いろいろ考えさせられました。

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まとめ

今回は、東野圭吾さんの小説『白鳥とコウモリ』のあらすじと感想を紹介してきました。

犯した罪と与えられる罰との間には大きな隔たりがあることがわかる、読み始めるとページをめくる手が止まらなくなるミステリーが楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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