百田尚樹『野良犬の値段』は命の値段を地位や名誉で決める社会は生きやすいのか?と考えさせられる物語

おすすめ小説

命の値段を何で決めていますか?

もちろん、人の命に値段なんてつけられないとは思いますが、

百田尚樹さんの小説『野良犬の値段』を読んで、無意識のうちに地位や名誉で人の命に値段をつけていたことに気づかされました。

それだけでなく、ミステリーとしても面白く、一気に惹き込まれる物語でもあったんですよね。

おすすめ度:5.0

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こんな人におすすめ

  • 命の値段を地位で決めるのは正しいのか?と考えさせられる物語を読んでみたい人
  • ホームレスが誘拐されるミステリーに興味がある人
  • ラストに驚きと感動が味わえる物語が好きな人
  • 百田尚樹さんの小説が好きな人
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あらすじ:6人の男たちが誘拐される物語

28歳の佐野光一は24時間営業の定食屋で店員として働いていましたが、

いつか起業して大金と名声を手に入れることを夢見ていました。

そんな彼にチャンスが訪れます。ツイッターで「投資」というタグで検索していたところ、

「私たちはある人物を誘拐しました。近日、この人物を使って、実験を行います。これは冗談やいたずらではありません。」

と書かれたサイトにたどり着いたのです。

佐野はこのサイトに一番乗りしたことに気づき、サイトを紹介すればリツイートされると思って「誘拐犯発見!」と書き込んだところ、

想像以上にリツイートが増え始め、止まらなくなります。

それだけでなく、佐野がつぶやいたとおりに犯人たちが行動したので、彼のアカウントは一気に有名になりました。

ところが、彼の予想を上回り、6人いた人質のひとりが殺されます。それだけでなく…。

という物語が楽しめるミステリー小説です。

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感想①:ホームレスが誘拐されるという設定が面白い

先ほどあらすじで「誘拐サイト」がツイートで拡散されたと書きましたが、

犯人が誘拐したのは6人のホームレスでした。

しかも、犯人は人質とはまったく縁もゆかりもないテレビ局や新聞社に身代金を要求します。

これこそが犯人のいう実験でした。

もちろん、警察やマスコミを含む多くの人たちは狂言や悪戯の可能性が高いと思っていましたが、

人質を映した動画が流れたり、テレビでその動画が流れると人質と面識のある人たちが現れたりと信憑性が高くなっていきます。

それでも、テレビ局や新聞社は断固とした態度で身代金を支払わないと宣言しますが、

「普段は命の尊さを訴えておきながら、いざとなればホームレスは見事しかよ」などという批判も増えていくんですよね。

青山美智子さんの小説『ただいま神様当番』では、悩みを抱える人たちが神様の願いを叶えるという設定にハマりましたが、

青山美智子『ただいま神様当番』は本当にやりたいことに挑戦していこうと思える物語
自分が本当にやりたいことに挑戦していますか? 私は最近、これまでやりたいと思っていた新しいことに挑戦しはじめましたが、 青山美智子さんの小説『ただいま神様当番』を読んで、もっと大胆に、勇気を持って挑戦していこうと思いました。 ...

この小説でも、身代金を支払う義務のないマスコミに身代金を要求するという設定に一気に惹き込まれました。

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感想②:マスコミとネット住民のバカらしさが描かれている

先ほど犯人はテレビ局や新聞社相手に身代金を要求したと書きましたが、

それに対する彼らの反応は読んでいてバカらしくなるようなものでした。

テレビ局は、「誘拐サイト」を取り上げた当初は視聴率を上げるためにコメンテーターに好き放題話させていましたが、

自分たちも身代金要求の対象だとわかると、犯人側の立場に立った発言を控えて欲しいと言い出します。

局としては、今回の犯罪を決して許さない立場なので、それに従えと言うんですよね。

また、身代金を支払うことを拒否した新聞社は、そのせいで人質がひとり殺されたため、購読を取り止めたいという顧客が1%出ました。

これは犯人が要求してきた身代金2億円の5倍にもなる損失でした。

そのため、新聞社の上層部はお金を払った方が良かったのかもと後悔し始めます。

ネット住民たちは、それ以上に酷いもので、感情に任せて適当なことばかり発言していました。

漫画『いぬやしき』でも、マスコミとネット住人たちのバカらしい振る舞いが描かれていましたが、

漫画『いぬやしき』感想/強大な力を手に入れたらどう使う?
強大な力を手に入れたらどう使いますか? 私は自分のために使うと思いますが、漫画『いぬやしき』の主人公は違いました。 弱い人や困っている人たちのために、その力を使うんですよね。 そのため、年老いたサラリーマンが主人公なのに、...

この小説を読んで、マスコミやネット住人たちの感情にまかせた発言に左右されないようにしていこうと改めて思いました。

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感想③:命の値段を地位や名誉で決めていないか?

さて、この物語では、命の値段を地位や名誉で決める社会は生きやすいのか?をテーマに描かれているように思います。

社長の値段は何億円もの価値があるけれど、ホームレスに対しては1円も払う価値がないと多くの人たちが思っている姿が浮き彫りになっていきます。

たとえば、テレビ番組でとったアンケート結果を見ると、身代金を支払ってはいけないという意見が92.7%になりましたが、

この回答をした人たちにはホームレスが死ぬのは仕方ないという前提がありました。

とはいえ、この物語でも描かれているように、誰もがちょっとしたきっかけでホームレスになる可能性があるんですよね。

痴漢の冤罪やマスコミによる偏向報道、早期退職への募集など、ちょっとした環境の変化でホームレスになるかもしれません。

柚月裕子さんの小説『盤上の向日葵』では、宿命を変えることは難しいと思える物語が描かれていましたが、

柚月裕子『盤上の向日葵』感想/親の呪縛からは逃れられないのか?
親の呪縛から逃れたいと思っていませんか? 私もそう思っていた時期はありましたが、 子供をもつ親になった今でも、気づけば親の言いつけを守って行動している自分に気づくことがあります。 柚月裕子さんの小説『盤上の向日葵』を読んで...

この小説では、人の命を地位や名誉で決めている社会、つまり、弱者を切り捨てる社会は、本当に生きやすいのか?と警鐘を鳴らしている物語だと感じました。

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まとめ

今回は、百田尚樹さんの小説『野良犬の値段』のあらすじと感想を紹介してきました。

最後に驚きと感動が味わえるミステリーとしても、弱者を切り捨てる社会は本当に生きやすいのか?と警鐘を鳴らしている物語としても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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