愛とは相手に変わることを要求せず、相手をありのままに受け入れることだ。
とは、イタリアの劇作家、ディエゴ・ファブリの言葉ですが、私たちはどうしても相手に変わることを求めてしまいますよね。
「なぜ、そんなキツイことを言うの?」
「なぜ、こんなことをするの?」
「なぜ、わかってくれないの?」
などなど、相手に責任をなすりつけます。
だからこそ、結婚生活がうまくいかず、離婚している人が多いのでしょうが、ではどうすれば、夫婦仲良く暮らすことができるのでしょうか。
家族から見捨てられたおとうさん
物語の主人公である「おとうさん」は、妻と娘と仲良く暮らしていました。
そんなある日、娘が子犬を拾ってきます。「絶対に面倒を見るから」という娘の言葉を信じて、おとうさんはハッピーと名付けた子犬を飼うことに決めました。しかし…。
娘はすぐにハッピーの面倒を見なくなるんですよね。友達と遊んだり、テレビを観たり、ゲームをしたりする方が面白いからです。
そこで、おとうさんがハッピーの面倒を見ることになったのですが、今度はお父さんが家族から捨てられることになりました。
なぜなら…。
妻と娘は自分のことばかり考える性格だったから
妻にとって持病を抱えて職を失ったおとうさんを支えていく理由が見つからなかったからです。自分がしんどい思いをしてまで、なぜ一緒に暮らす必要があるのかわからないって言うんですよね。
つまり、妻も娘も自分のことばかり考える性格だったのです。だからこそ、彼女たちはハッピーやおとうさんの面倒をみるのをやめました。
こうして、ひとり残されたおとうさんは、これから先、長生きするのは無理だろうと考え、ハッピーと一緒に旅に出かけることにします。人生最後の旅です。
おとうさんとハッピーは二人でいろいろな場所へ出かけました。贅沢はできませんでしたが、二人の時間を楽しみます。
そうして最後にたどり着いた場所がキャンプ場です。ここなら、おとうさんがいなくなっても、ハッピーが食べ物に困らないと考えたからです。
ところが…。
夫婦円満の秘訣とは?
ハッピーはおとうさんが亡くなってからも彼の側を離れようとしませんでした。「ずっと一緒にいよう」という約束を守って…。
さて、この物語からわかるように、愛とは「相手との約束を守り続けること」だと言えます。
しかし、私たち人間はハッピーのように約束を守り通すことができません。おとうさんの妻や娘のように、約束よりも自分の利益を優先してしまうからです。
また、冒頭で紹介したように、相手をありのままに受け入れることもできませんよね。
では、どうすればいいのでしょうか。
愛する――それはお互いに見つめ合うことではなく、 いっしょに同じ方向を見つめることである。
と、サン・テグジュペリが言うように、同じ目標をもつことが夫婦円満の秘訣なのかもしれません。
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原田マハさんの『小説 星守る犬』。読めば感動すること間違いなしの物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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