海堂尊『螺鈿迷宮』は行政に切り捨てられた終末医療の実態がわかる物語

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終末医療に興味を持っていますか?

私はまだまだ先のことだと思い、あまり興味を持っていませんでしたが、

海堂尊さんの小説『螺鈿迷宮』を読んで、終末医療の現状を知り、衝撃を受けました。

終末期の生き方を真面目に考えたくなったんですよね。

おすすめ度:3.5

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こんな人におすすめ

  • 行政に切り捨てられた終末医療に興味がある人
  • 終末医療のあり方について考えてみたい人
  • ラストに驚きがある物語が好きな人
  • 海堂尊さんの小説が好きな人
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あらすじ:落第を繰り返すへなちょこ医学生が主人公の物語

物語の主人公は、落第を繰り返すへなちょこ医学生の天馬大吉。

彼は、交通事故で両親を亡くし、その遺産を頼りにして学業に励まず、麻雀三昧の生活をしていました。

そんな天馬に、小学校からの同級生で、時風新報という弱小新聞社で働く別宮葉子から、碧水院桜宮病院に潜入取材をしてほしいという依頼がきます。

厚生労働省からの依頼で、地雷企画だと聞かされた天馬は断りましたが、

雀荘で怪しげな男を相手に賭け麻雀をして、百万円の借金をしたので、仕方なく潜入取材をすることにしました。

その怪しげな男が、結城という正真正銘の博打打ちで、葉子とグルだったからです。

こうして碧水院桜宮病院に潜入することになった天馬でしたが、そこは死を司る病院だけあって、怪しげな雰囲気が漂っていました。

それだけでなく、結城の義理の息子である立花善二が桜宮病院に入ったきり、消息が途絶えていたんですよね。

そこで天馬は立花を探し始めますが…。という物語が楽しめるミステリー小説です。

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感想①:行政から切り捨てられた終末医療の現状がわかる

天馬が潜入取材することになった碧水院桜宮病院は、お寺を取り入れた珍しい医院でした。

碧水院の前身は東城大学医学部でしたが、その後、東城大学は社会の中心で生の医療を司り、死の医学を桜宮病院に押し付けるようになります。

手術は東城大、再発すれば桜宮病院というように医療の高度化に対する分業体制をとっているのだと主張していましたが、

実際は手の施しようのない患者をポイ捨てするための病院として桜宮病院を扱っていたのです。

なぜなら、終末医療や死亡時医学検索は儲からないからです。点滴で雁字搦めにしても採算は取れません。

行政がそのように舵を切っていたんですよね。

知念実希人さんの小説『仮面病棟』でも、終末医療が儲からない現実が描かれていましたが、

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この物語からも、終末医療を続けていく難しさが伝わってきました。

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感想②:死を司る病院が生き残る方法が提案されている

このように東城大学の後始末をしていた桜宮病院ですが、バチスタスキャンダルがきっかけで終末医療の患者さえも送られてこなくなります。

こうして東城大学から切り捨てられた碧水医院桜宮病院は、生き延びるためにあることを行いました。

それは桜宮病院で終末医療を行い、碧水院を併設して葬儀までをセットにしたのです。

それだけでなく、終末期の人たちをベッドに縛り付けずにボランティアとして働かせることで労働力を確保したんですよね。

食事の用意や経理処理、ネットの運営まで患者の労働力を当てにするシステムを築いたのです。

このシステムは、患者にとってもプラスに働きました。生活の質が向上し、寿命が延びたのです。

小川糸さんの小説『ライオンのおやつ』でも、ホスピスで人生の最後を自分らしく生きる末期癌の主人公の姿が描かれていましたが、

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こういった物語を読むと、病人としてベッドに縛り付けられるよりも、

ひとりの人間として最後まで行動した方が自分らしい一生が過ごせるのかもしれない…と思えてきます。

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感想③:ミステリーとしても楽しめる

さて、この物語はあらすじでも紹介したように、天馬が立花善二の行方を探すミステリーとしても楽しめます。

碧水院桜宮病院を経営している桜宮一家の誰もが怪しすぎるんですよね。

桜宮病院の院長である巌男や、その副院長で娘の小百合、また碧水院の院長である妻の華緒や、その副院長で娘のすみれなど、誰もが怪しく思えてきます。

また、後半になると『チーム・バチスタの栄光』で活躍したあの白鳥が登場するので、面白さが倍増します。

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さらにラストでは、すべての出来事が「これでもか!?」と繋がっていくので、最後まで一気読みしてしまうんですよね。

このように、終末医療の現状がわかるだけでなく、ミステリーとしても楽しめる物語です。

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まとめ

今回は、海堂尊さんの小説『螺鈿迷宮』のあらすじと感想を紹介してきました。

終末医療の現状がわかるだけでなく、ミステリーとしても楽しめる小説なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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