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 以前、テレビ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!』に小倉優子さんが出演されていた。ウソのキャラクターを演じ、しくじった先生として登場したのである。番組中、小倉さんはありのままの自分をさらけ出し、「ウソのキャラクターを演じるのはやめましょう」と泣きながら訴えられていた。その授業を聞いて、「フレッシュレモンになりたいの」で有名になった市川美織さんの心にも響くものがあったのだろう。何度も泣きそうになっている彼女の姿が映し出されていた。

 もちろん、「ウソのキャラクターを演じないほうがいい」のは、小倉さんや市川さんに限った話ではない。私たちも他人とコミュニケーションをとるときには、「ウソのキャラ」を演じてしまいがちである。たとえば、上司とのコミュニケーション。本音では「何を言ってるんだ」と思っていても、作り笑いをしてやり過ごしたり、本当はやりたくない仕事でも、楽しそうに振舞ったりしている。こうして本来の自分とは違う「ウソのキャラ」を演じてしまうのだ。

 しかし、「ウソのキャラ」ばかりを演じていると、自分の言葉がウソ臭くなる。誰の心にも響かなくなってしまう。そればかりか、自分自身でさえ何を考えているのかわからなくなってしまうだろう。

 だからこそ、自分の言葉で語り、本来の自分を取り戻す機会が必要になる。そうすれば、その言葉は必ず誰かの心に響く言葉になる。実際、しくじり先生でありのままの姿をさらけ出した小倉優子さんをみて、小倉さんのことが好きになった人は多い。それだけ「自分の言葉」には力があるのだ。

 では、どうすれば「自分の言葉で語る」ことができるのだろうか。それには次の三つの方法を実践することだ。

  1. 正しい答えではなく、体験した事実を語る
  2. 体験した事実がないときには、視点を変えて語る
  3. 何よりも気持ちをストレートに出す

 ブログで意見を書くとき、会議で発言をするとき、あるいは、恋人や夫婦で話をするとき、あなたは正しい答えを出そうとしていないだろうか。正しい知識を提供しようとしていないだろうか。もし、そうだとしたら、その意見や発言はつまらない。なぜなら、ウィキペディアをみれば「正しい答え」は簡単に手に入るからだ。

 だから、「正しい答え」よりも「体験した事実」が大切になる。他人が経験したことのないような体験を多く積めば、それだけ「自分の言葉」で語りやすくなるからだ。しかし、だからといって、「体験の量」がすべてではない。同じ体験をしても、新しい発見をすれば自分の言葉で語れる。そのためには、人とは違う「視点」が必要になる。

 たとえば、次の問題にあなはた何と答えるだろうか。「A君とB君がいて、2人の前にりんご3個とみかん5個があったとする。果物を切らずにわけるとき、2人とも納得するわけ方にするにはどうすればいいか」。――もし、「りんごとみかんの合計が同じになるように分ける」といったありきたりな答えを出しているようなら、その答えはつまらない。「りんご1個みかん2個ずつを2人でわけ、残りを誰かにあげる」というような、人とは視点をずらした答えをだすべきだ。

 つまり、既に議論し尽くした話題であっても、視点を変えれば新しい考えが生み出せるのである。「新しい体験などしていないし、自分らしく語るなんて無理…」と諦める必要などないのだ。

参考:「面白い!」といわれる文章の書き方/『文は一行目から書かなくていい』

 では、最後に「何よりも気持ちをストレートに出す」ことについて。どんなにうまい正しい文章が書けたとしても、ストレートな気持ちを出さなければ読者は共感してくれない。すなわち、何の役にも立たない文章になってしまう。

 では、どうすればストレートな気持ちが出せるのか。それには、逃げ道をつくらないことだ。「~かもしれない」「~と思う」「~だろう」といった曖昧な表現をできるだけ減らし、言葉にピリオドを打っていくのである。そうすれば、自分の気持ちがストレートに表現できるだろう。

 さて、私たちは、他人とコミュニケーションをとるときには、他人との距離感をとるために、本来の自分とは異なるキャラクターを演じてしまいがちだ。もちろん、他人との摩擦を避けるためにはそれも必要なことなのだろう。しかし、すべてのコミュニケーションにおいてウソのキャラクターを演じているようなら、自分自身がわからなくなり、生きるのがつらくなってしまう。

 だからこそ、ブログでも、夫婦でも、友達でもいい。とにかく、「自分の言葉で語る」機会をつくっていこう。そうすれば、小倉優子さんのように、その言葉は相手の心に響くだろう。

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