和田竜『忍びの国』は家庭環境の影響力に衝撃を受ける物語

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家庭独自の習慣はありますか?

私は片付けを徹底するように育てられたので、子供たちがモノを散らかしているとイライラしてしまいますが…。

和田竜さんの小説『忍びの国』に登場する忍者たちは、想像を絶するような倫理観をしていました。

育った環境の影響力に衝撃を受ける物語なんですよね。

おすすめ度:3.5

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こんな人におすすめ

  • 忍者と武士の戦いを描いた物語が好きな人
  • 利益のためなら人殺しにも手を染める主人公が好きな人
  • 歴史ものが好きな人
  • 和田竜さんの小説が好きな人
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あらすじ:利益のためなら何をしてもOKな忍者たちの物語

物語の舞台は戦国時代の日本。

武田や北条など多くの武将が天下を取ろうとしのぎを削るなか、頭角をあらわしたのが織田信長でした。

信長はすでに伊勢、近江、大和など多くの国を制圧していましたが、伊賀攻めには慎重になっていました。

なぜなら、伊賀には虎狼の族(ころうのやから:欲深く残忍な人間)が大勢潜んでいたからです。

一方、伊賀の忍びたちは、信雄が攻めてくるよう策略を仕掛けます。

信雄の軍勢を打ち破れば、織田家の軍勢を打ち破ったものとして、伊賀の武名が天下に轟くからです。

そうなれば、織田家に抵抗する大名たちが争って伊賀の下人を雇い入れるはず。つまり儲けることができます。

そこで伊賀の地侍・下山甲斐は、息子の平兵衛にある策を仕掛けました。

「その腕絶人の域」と評された無門(むもん)に平兵衛の弟(=自分の息子)を殺させたのです。

伊賀忍者たちは、目的のために他人を出し抜き、人を殺すことを何とも思っていませんでした。

しかし、平兵衛は違いました。弟を殺されたことに怒りを覚えたのです。

その結果、平兵衛は信雄軍に下り、伊賀に攻め入るよう信雄に進言します。父の策略どおりに…。

このように、利益になりさえすれば、息子を平気で殺したり、策略にかけたりする伊賀忍者たちに驚愕する物語です。

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育った環境の影響力がすごい!?

とはいえ、伊賀忍者たちは誰もが自分の利益のために行動していたので、下山甲斐自身も裏切られることになりました。

下山甲斐の策略どおり信雄は伊賀に攻めてきましたが、下人の半数以上が逃げ出したのです。

下山甲斐たち伊賀の地侍にとって、下人は奴隷のようなものでした。

小さい頃から「自分の命令は絶対」と頭に刷り込んできたので、逆らうはずがないと思っていました。

しかし、下人たちも伊賀忍者。自分の利益にならないことを悟ると、その多くが逃げ出したのです。

さらに驚くことに、逃げ出した下人たちは、信雄との戦が金になることを知ると、何事もなかったかのように信雄軍に攻めかかります。

目の色を変えて…。

そんな忍者たちの姿をみていると、誰もが育った環境の影響を受けているとは思っていましたが、ここまでの影響力があるとは思っておらず、衝撃を受けました。

子を持つ親としては、子供にとって良い家庭環境を整えようと思える物語です。

すべてを失ってから気づいても遅い

さて、ここまでこの物語の主人公を紹介してきませんでしたが…。

主人公は「その腕絶人の域」と評された伊賀の下人・無門です。

もちろん、彼も自分の利益しか考えていませんでした。そのため、敵だけでなく、仲間までも殺してきたのですが…。

大事な人を失ってはじめてあることに気づきました。それは、

「おのれらは人間ではない」

ということです

まわりにいる人たちが異常であれば、それに同化しても異常とは思いません。

無門も、盗みや騙し、人殺しを当然のこととして生きてきました。

しかし、大切な人が殺されてはじめて、他人の気持ちに気づきます。大切な人を殺されるということが、これほど苦しいものだったのかと…。

自分が抱える問題に気づくのは、何かを失ったときなのかもしれませんが、出来ればその前に気づきたいですね。

まとめ

今回は、家庭環境の影響力に驚く和田竜さんの小説『忍びの国』を紹介してきました。

歴史小説として楽しめるだけでなく、忍者たちの生き様をみることができる物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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