宇佐美まこと『羊は安らかに草を食み』は優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くないことがわかる物語

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人に優しくしていますか?

私はできるだけ優しく接しているつもりですが、

宇佐美まことさんの小説『羊は安らかに草を食み』を読んで、優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くないことがわかりました。

それだけでなく、最後に衝撃を受けるほどの驚きが味わえる物語でもあったんですよね。

おすすめ度:5.0

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こんな人におすすめ

  • 認知症になった友人の過去を探る老女たちの物語を読んでみたい人
  • 戦争の悲惨さが伝わってくる物語に興味がある人
  • 優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くない理由を知りたい人
  • 宇佐美まことさんの小説が好きな人
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あらすじ:認知症になった友人の過去を探る老女たちの物語

物語の主人公は、80歳になった持田アイ。

彼女は、20数年前に俳句教室で出会った86歳の都築益恵と77歳の須田富士子と仲良く過ごしていましたが、

3年ほど前から益恵の認知症の症状が少しずつ進んでいったので、彼女の夫・三千男から益恵を旅に連れて行って欲しいとお願いされました。

益恵には何かつっかえがあり、不安や恐怖の感情に囚われることが多くなったので、どうにかして解放したいと言うのです。

そこで、アイと富士子は、益恵がかつて暮らしていた滋賀県大津市、愛媛県松山市、長崎県國先島に彼女を連れて行き、仲の良かった人たちと再会させることでつっかえを取ろうとしますが…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:戦争の悲惨さが伝わってくる

あらすじで、アイたちは益恵の過去を明らかにする旅を始めたと紹介しましたが、その過去は想像を絶するようなものでした。

益恵は、10歳のときに家族と満州で暮らしていましたが、

関東軍が益恵たち民間人を見捨てて先に逃げ出したことで悲惨な目に遭いました。

ソ連軍が銃で撃ってきたり、満人が荷物を奪ったり、女子供を連れ去ったりと昼夜問わず攻撃してきたからです。

そのため、母親が子供を見捨てて自分だけ逃げ出したり、手榴弾で集団自決する人たちが現れるなど、大勢の人たちが異常な行動をとるようになりました。

町に逃げ延びてからも、泥棒をするのは当たり前で、道に転がっている死体から服を引き剥がして売ったりしなければ、生き延びられませんでした。

もちろん、益恵もそのひとりです。

むしろ、彼女は町に着くまでに家族全員が亡くなっていたので、孤児として誰の助けも借りずに生き延びなければいけませんでした。

深緑野分さんの小説『ベルリンは晴れているか』では、悲劇は戦争中だけでなく、戦後も続くことがわかる物語が描かれていましたが、

深緑野分『ベルリンは晴れているか』感想/戦争で得する人は誰もいない!?
 戦争の物語を読むのはツライですよね。  もちろん、今回紹介する小説『ベルリンは晴れているか』も残酷なシーンが多く、読むのがツラくなりますが、読み終わってみると、ツラさよりも「戦争って誰が得するんだろう」という思いが強くなりま...

この小説では、戦争は死ぬまで関わった人たちに悲劇をもたらし続けることがわかる物語が描かれていました。

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感想②:人生の終焉に手を携えていける友達がいるのが羨ましい

先ほども紹介してきたように、益恵の過去を明らかにする旅を始めたアイと富士子でしたが、

実は彼女たちもこれが最後の旅になると感じていました。

アイには息子と娘がいましたが、彼らは自分勝手に振る舞うだけでなく、偉そうにしていました。

息子はアイが同居するために用意した家で妻の両親と暮らすと勝手に決め、

娘は離婚してアイが住んでいる家で一緒に暮らしてあげると上から目線で言ってきました。

これが実現すれば、これまでのように好きに外出することはできません。

一方、富士子は生涯独身でしたが、実はある男性と付き合っていたことがあり、しかもある重大な事実を隠して生きていたんですよね。

そんな彼女たちが、悩みを抱えながらも、益恵のために行動していく姿に感動します。

伊坂幸太郎さんの小説『ゴールデンスランバー』では、濡れ衣を着せられた主人公を手助けする友人たちの姿に感動する物語が描かれていましたが、

伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』感想/人間の最大の武器は信頼と習慣
どれだけの人に信頼されていますか? 私は、家族には信頼されていると思いますが、それ以外の人たちにはどのように思われているかわかりません。 結構、いい加減なところがあるからです。 そのため、伊坂幸太郎さんの小説『ゴールデンス...

この小説では、人生の終焉に手を携えていける友達がいるのが羨ましくなる物語が描かれていました。

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感想③:優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くない

さて、この小説では、「優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くない」をテーマに描かれているように思います。

先ほども紹介した益恵の満州での体験もそうですが、その後、彼女が生きた生活すべてが甘いものではありませんでした。

益恵は、三千男と結婚する前に、別の男性と結婚していましたが、凄まじい暴力に耐えてきました。

彼との間にできた娘も亡くなっていましたが、死なせたのは自分だと言いながら、ある秘密を抱えて生涯を閉じようとしていました。

この事実を知ったアイと富士子は、益恵のつっかえが何かを知り、思わぬ行動に出ます。

その行動とは…。

シェイクスピアの小説『リア王』では、信じるものを間違るだけで恐ろしい結末を迎える、つまり人生は甘くないとわかる物語が描かれていましたが、

シェイクスピア『リア王』感想/信じる相手を間違えると恐ろしい結末に!?
私たちは何かを信じて生きていますよね。お金だったり、学歴だったり、家族だったり、恋人だったり…。 しかし、その信じているものが間違っているとしたら、どのような結末を迎えることになるのでしょうか。 シェイクスピアの小説『リア王』は...

この小説では、人生は甘くはないので、自分の人生を生きるためには手段を選んでられないことがあるとわかる物語が描かれていたので、衝撃を受けました。

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まとめ

今回は、宇佐美まことさんの小説『羊は安らかに草を食み』のあらすじと感想を紹介してきました。

優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くないことがわかる物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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