櫻田智也『サーチライトと誘蛾灯』は少し重たいテーマを扱ったユーモア溢れるミステリー小説

おすすめ小説

重たいテーマを扱った物語はお好きですか?

私は、軽快なタッチで描かれた物語も重たいテーマを扱った物語も両方好きですが、

櫻田智也さんの小説『サーチライトと誘蛾灯』は、少し重たいテーマを扱っているのに気軽に楽しめました。

主人公のユーモア溢れる言動で、堅苦しい雰囲気にならなかったからです。

おすすめ度:4.0

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こんな人におすすめ

  • ユーモア溢れるミステリーを読んでみたい人
  • 昆虫に因んだ短編ミステリーに興味がある人
  • 少し重たいテーマを扱った物語が好きな人
  • 櫻田智也さんの小説が好きな人
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あらすじ:昆虫が大好きな主人公が謎解きをする物語

物語の主人公は、昆虫が大好きなエリ沢泉。

彼は夜の公園でカブトムシを捕まえるためにテントのような道具を張っていたところ、ボランティアで見回りをしていた吉森に咎められました。

その公園は、以前は多くのホームレスがいましたが、2か月前に条例で寝泊まりが禁止されたため、強制撤去したばかりだと言います。

公園を綺麗な状態に保つために先ほどベンチに座ってイチャつくカップルに注意をした吉森が、エリ沢をホームレスと勘違いしたのです。

こうして公園の外に追いやられることになったエリ沢でしたが、その途中で公園のベンチで酒を飲んで寝転がっている男性を見つけます。

その男性は泊(とまり)という私立探偵で、今も公園にはホームレスがいることを示唆しましたが、

翌朝、彼は遺体となって発見されました。

彼が所持していたカメラのメモリーカードも抜き取られていたのです。

犯人は誰で、何の目的があって泊を殺害したのか…。という物語が楽しめるミステリー小説です。

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感想①:昆虫に因んだ短編ミステリーが楽しめる

この小説では、先ほどあらすじで紹介した『サーチライトと誘蛾灯』を含めて、5つの短編が楽しめます。

それぞれ簡単に紹介していくと、

  • アマクナイ岳の遊歩道を歩いていた丸江が、なぜか落ちていた空き缶にこっそりマークをつける物語
  • 「ナナフシ」というバーで揉めながらも妻と楽しくお酒を飲んでいた保科敏行が、その翌日に妻に殺害される物語
  • 旅館を営む兼城譲吉が、彼が小学生のときに昆虫標本を残して一家心中をした二ツ森裕也との思い出を語る物語
  • 5年前にアルコール依存症の通り魔に妻を殺害された鎌足牧師が何者かによって殺される物語

どれも殺人事件を描いたミステリーですが、エリ沢が好きな昆虫が謎を解く鍵になるんですよね。

坂木司さんの小説『和菓子のアン』では、和菓子と関わりのあるミステリーが楽しめましたが、

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この小説では、さまざまな昆虫と関わりのある物語が描かれていたので、これまでとは一味違うミステリーが楽しめました。

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感想②:推理力があるけれどドジな主人公に惹きつけられる

物語の主人公であるエリ沢は、鋭い推理力をもっていましたがドジでした。

たとえば、「ナナフシ」というバーに寄ったエリ沢は、

山で大量のキノコが取れたけれど、どうしていいかわからなかったので、マスターにお願いしてメニューにはない「キノコのクリームパスタ」を作ってもらいます。

ところが、実はエリ沢がもってきたものは全て毒キノコだったので、マスターが気を利かせてエリンギを入れて作ってくれたのです。

そもそも、バーに寄ったのも、遠く離れた山に行った帰りに、駅にたどり着く前に力尽きたからだと言います。

おしゃれなバーだから寄ったのではなく、そこにバーしかなかったから寄ったと言うんですよね。

他にも、「銚子」を「拍子木」と聞き間違えたり、ビールを注いでもグラスから溢してしまうなど、そのドジっぷりを披露していきます。

三上延さんの小説『ビブリア古書堂の事件手帖』では、栞子さんのドジなのに見事な推理力に惹きつけられましたが、

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この物語でも、エリ沢の憎めない性格と見事な推理力に惹きつけられました。

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感想③:どの短編も少し重たいテーマを扱っている

さて、ここまでユーモア溢れる物語だと紹介してきましたが、その一方で少し重たいテーマを扱っています。

たとえば、5年前にアルコール依存症の通り魔に妻を殺害された鎌足牧師が何者かによって殺される物語では、

鎌足牧師が「妻を殺害された被害者遺族としての感情」と、「キリスト者としての信仰」の間で懊悩していた事実が明かされます。

旅館を営む兼城譲吉が、彼が小学生のときに昆虫標本を残して一家心中をした二ツ森裕也との思い出を語る物語でも、

なぜ裕也が一家心中をする必要に迫られたのか…が描かれていたので胸が締め付けられました。

伊坂幸太郎さんの小説『重力ピエロ』でもテーマの重さに胸が締め付けられましたが、

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この小説でも軽いタッチで少し重たいテーマが描かれていたので、いろいろ考えさせられました。

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まとめ

今回は、櫻田智也さんの小説『サーチライトと誘蛾灯』のあらすじと感想を紹介してきました。

少し重たいテーマを扱ったユーモアあふれるミステリーが楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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