劉慈欣『三体』は人類は今後も生きる価値があるのか?と問いかけてくるSF小説

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人類は今後も生きる価値があると思いますか?

私はもちろん生きる価値があると思っていますが、劉慈欣さんの小説『三体』を読んで、生きる価値がないと考えている人たちの思考が少しわかりました。

それだけでなく、最先端の科学技術を駆使したSF物語が描かれていたので、ページをめくる手が止まらなくなったんですよね。

おすすめ度:4.5

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こんな人におすすめ

  • 気になる謎が次々と提示される物語が好きな人
  • 最先端の科学技術が楽しめる物語に興味がある人
  • 人類は今後も生きる価値があるのか?をテーマに描いた物語を読んでみたい人
  • 劉慈欣さんの小説が好きな人
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あらすじ:謎の脅迫を受ける応用研究者の物語

物語の主人公は、ナノマテリアルの応用研究をしている汪森(おうびょう)。

彼は、軍人と警察官の4人組が突然家にやってきて、「科学フロンティアに接触したか?」「午後の会議に出席しろ」と言われたので戸惑いましたが、

仕事があるからと断ったところ、すでに上司の許可を取られていたので、会議に出席することになります。

その会議では、優秀な物理学者が立て続けに自殺していたことがわかりました。

しかも、彼が密かに想いを寄せていた楊冬(ようとう)も、数日前に「物理学は存在しない」という謎の遺書を残して亡くなっていました。

そこで汪森は、彼女が自殺した謎を解くために、科学フロンティアのメンバーである申玉菲(しんぎょくひ)に接触したところ、今すぐ研究をやめろと脅されます。

それだけでなく、謎のカウントダウンが写真や網膜に映るようになりました。

さらに、申玉菲がプレイしていたVRゲーム「三体」にログインしたところ…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:気になる謎が次々と提示される

この小説では、気になる謎が次々と提示されます。

まず物語は、葉哲泰(ようてつたい)という物理学者が、文化大革命によって、アインシュタインの相対性理論を教えていたことを非難され、

多くの人たちの前で痛めつけられ、殺されるところから始まります。

その後、物語の主人公は、哲泰の娘である葉文潔(ようぶんけつ)に移ります。

彼女も父と同じように無実の罪で拘束され、ヘリコプターで謎の施設に運ばれました。

その施設には、巨大なアンテナがあり、レーダーを照射すると、空から鳥が落ちてくるほどのエネルギーが出力できることがわかります。

葉文潔は専門知識を活かしてこの施設で働くことになりましたが、何の研究をしているのかはまったく教えてもらえませんでした。

そしてこの後、あらすじで紹介した物語へとつながっていくのですが、

  • なぜ優秀な物理学者が次々と自殺したのか?
  • 科学フロンティアとは何を目的とした集団なのか?
  • 三体というVRゲームは何なのか?

など気になる謎が次々と提示されるんですよね。

ギヨーム・ミュッソさんの小説『ブルックリンの少女』でも気になる謎が次々と提示される物語が楽しめましたが、

ギヨーム・ミュッソ『ブルックリンの少女』は洋画を観ているかのようなスピーディーな展開に惹きつけられる物語
洋画はお好きですか? 私は洋画が大好きなので、よく観ていますが、 ギヨーム・ミュッソさんの小説『ブルックリンの少女』は、まるで洋画を観ているかのようなスピーディーな展開に一気に惹きつけられました。 次々と気になる謎が提示さ...

この小説でも気になる謎が次々と提示され、しかも何度も驚きが味わえる物語が楽しめました。

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感想②:最先端の科学技術が楽しめる

この物語では、最先端の科学技術を散りばめながら、ディープな知識が語られます。

たとえば、ゲーム『三体』もそのひとつです。

ゲームそのものがVRというだけでなく、三体問題に知識を駆使して挑んでいくという設定に惹き込まれます。

三体問題とは、三つの天体がたがいに万有引力を及ぼし合いながらどのように運動するのかという問題で、一般的には解けないことが証明されていますが、

三つの太陽を持つ惑星に文明が生まれたとしたら?という設定で、プレイヤーが生き延びるために太陽の動きを予測する過程が楽しめます。

もちろん、科学的な裏付けもあるので説得力があります。

他にも、汪森が研究していたナノマテリアルには、人類を地球の引力から解放できる可能性があることが示されたり、

陽子に人工知能を搭載することで実現するであろう未来社会が描かれるなど、最先端の科学知識がこれでもかと思うほど盛り込まれているんですよね。

冲方丁さんの小説『天地明察』では、新しい暦をつくろうと算術に奮闘する主人公の物語が楽しめましたが、

冲方丁『天地明察』感想/「退屈」こそが人生を切り拓く!?
 好きでもない仕事に多くの時間を割いていませんか?  以前の私は「忙しいことが正義」だと考えていたので、やりたくもない仕事を増やして時間を埋めていましたが、今では暇な時間を楽しめるようになりました。なぜなら、退屈こそが人生を切...

この物語では、最先端の科学技術を駆使して、目の前の問題に挑んでいく登場人物たちの姿が楽しめました。

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感想③:人類は今後も生きる価値があるのか?

さて、この小説では「人類は今後も生きる価値があるのか?」をテーマに描かれているように思います。

文化大革命によって父が殺された葉文潔は、母の自分勝手な振る舞いに衝撃を受けました。

彼女の母は、革命中は父を非難することで難から逃れ、革命後は非難していた側の権力を持つ人物と再婚することで、有名大学の学長にまで上り詰めます。

しかも、母は父を犠牲にしたことをまったく反省せずに、むしろ上から目線で「父のことは蒸し返すな」と文潔に言ってきたんですよね。

また、エヴァンズという多国籍石油企業CEOの御曹司は、原油が海に流出する事故が起きた時に父から聞かされた事実に衝撃を受けました。

彼の父を含む多くの人たちが、人類の生存と快適な生活を保証することを最優先事項とし、それ以外はすべて小さな問題だと思っていたからです。

この星では、世界の興味を惹かない種が白亜紀を大きく上回る速度で毎日のように絶滅していますが、

豊かな国は自分の国だけを守り、汚染源となるような産業は貧困国に移転し、貧困国では貧しいため自分の生存だけを考えて暮らしています。

つまり、誰もが自分が生き延びるために犠牲が出るのは仕方がないことだと思っていたんですよね。

宇佐美まことさんの小説『羊は安らかに草を食み』では、自分勝手な振る舞いをする人間は死んでも仕方がないと思える物語が描かれていましたが、

宇佐美まこと『羊は安らかに草を食み』は優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くないことがわかる物語
人に優しくしていますか? 私はできるだけ優しく接しているつもりですが、 宇佐美まことさんの小説『羊は安らかに草を食み』を読んで、優しさだけで生き延びられるほど人生は甘くないことがわかりました。 それだけでなく、最後に衝撃を...

この小説では、それだけでなく、自分の生存しか考えない人類そのものに生きる価値があるのか?と問いかけてくる物語が描かれていたので、考えさせられました。

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まとめ

今回は、劉慈欣さんの小説『三体』のあらすじと感想を紹介してきました。

人類は今後も生きる価値があるのか?と問いかけてくるSF物語が楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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