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 読書していますか?

 私は読書が好きで毎日のように本を読んでいますが、村山早紀さんの小説『桜風堂ものがたり』を読んで、今まで以上に本を大切にしたくなりました。

 著者だけでなく、書店員さんや本に関わっている多くの人たちの頑張りを知ることができたので、これまで以上に本に愛着が湧いたんですよね。

 他人と関わらずに生きようとする書店員が主人公の物語

 物語の主人公は書店員の月原一整。彼は星野百貨店の六階にある銀河堂書店に勤めていましたが、トラウマがあったので同僚とも距離をとって生きていました。

 それでも、店長からは「思わぬ宝物を探してきて当てるのがうまい天才だ」と言われるほど書店員としては評価されていました。

 ところが、万引きを繰り返していた中学生を追いかけたことで世間から批判されるようになります。その中学生が走って逃げ出し、車にはねられたからです。

 その中学生は幸いにも無事でしたが、「車にはねられるまで追いかける必要はないだろう」とSNSで批判されるようになります。

 それだけでなく、直接書店にやってきて嫌味を言われたり、電話やハガキでの「辞めさせろ」といった批判が後を絶たなくなりました。

 そこで一整は…。

 批判する人もいれば助けてくれる人もいる

 自ら銀河堂書店を辞めることにします。

 同僚たちは引き止めてくれましたが、本屋さんを取り巻く環境が厳しいことを知っていた一整は辞める決意を揺るがせませんでした。共倒れになることを恐れたからです。

 とはいえ、次の当てがあるわけではありません。一整は学生時代から書店員としてのアルバイト漬けだったので、他の仕事が出来るわけではありませんでした。

 そこで一整は、人生を終わらせようとしますが…。

 ちょっとした奇跡が起こり、次の一歩を踏み出す決意をします。その一歩とは、ネット上で仲良くしていた桜風堂の店主に会いに行くことでした。

 その結果、一整は…。

 多くの人に支えられている本を大切にしたくなる

 過去のトラウマを乗り越え、再び書店員として働けるようになるんですよね。

 それだけでなく、彼が心から売りたいと願っていた小説が多くの書店員さんに支えられ、奇跡的に売れるようになります。手作りのPOPやオリジナルの帯、ポスターを用意して応援してくれたのです。

 実は、彼がこの小説を応援していたのは、ある理由があったからでした。その理由とは…。

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、村山早紀さんの小説『桜風堂ものがたり』は、多くの人に支えられて私たちの手元に届く本を今まで以上に大切にしたくなる物語です。

 それだけでなく、今すぐ本屋さんに行って、書店員さんのおすすめ本を読んでみたくなるんですよね。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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