山本文緒『自転しながら公転する』は幸せのカタチはひとつではないことがわかる物語

おすすめ小説

世間一般で言われている幸せを追い求めていませんか?

私は、自分にあった幸せを追い求めているつもりですが、

山本文緒さんの小説『自転しながら公転する』を読んで、改めて幸せのカタチはひとつではないことがわかりました。

恋愛と結婚で悩んでいる女性におすすめの物語です。

おすすめ度:2.5

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こんな人におすすめ

  • 中卒の男性と付き合って将来が不安になる主人公の物語に興味がある人
  • 他人に依存して生きると自己中心的になる理由を知りたい人
  • 幸せのカタチはひとつではないことがわかる物語を読んでみたい人
  • 山本文緒さんの小説が好きな人
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あらすじ:中卒の男性と付き合って将来が不安になる主人公の物語

物語の主人公は、アウトレットのお店で働く33歳の与野都(よのみやこ)。

彼女は、台風の日に仕事がうまくいかず、車のエンジンもかからず、最終バスも行ってしまって困って泣いていたときに、

声をかけてきた回転寿司屋の店員・羽島貫一と付き合うようになりました。

都は貫一と出会ってすぐに彼の家に行き、体も心も許す関係になりましたが、

彼が中卒で、将来のことを真剣に考えていなかったので不安になります。

それだけでなく、仕事もうまくいかず、家でも問題を抱えていたので、すべてが嫌になっていたところ、ベトナム人のニャンくんが現れたことで…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:恋愛と結婚で悩む女性の葛藤が描かれている

あらすじでも紹介したように、主人公の都は中卒の貫一と付き合ったことで将来が不安になりました。

とはいえ、友達からは付き合う前からやめといた方がいいと言われていました。

元ヤンキーで、やる気のない寿司屋の店員だったので、他にいい男がいると言われていたのです。

それでも、貫一と付き合った都でしたが、将来を考えると不安で仕方なくなるんですよね。

結婚を考えないのであれば、いい恋人だけれど、何も考えていなそうなので結婚には踏み切れず、

かといって、結婚しないで一生を過ごすのは、両親が亡くなったときに一人で老いていくのが怖いので嫌だ…という自分勝手な悩みを抱えていました。

それだけでなく、都はベトナム人のニャンくんに誘われると、デートをして、手を繋いだり、キスをしたりします。

小野寺史宜さんの小説『ひと』では、主人公の同級生が自己中心的な男性と付き合うことで心が削られていく物語が描かれていましたが、

小野寺史宜『ひと』感想/あなたの大切なものは何ですか?
 あなたにとって大切なものは何ですか?  お金や車、学歴や地位、家族などいろいろあると思います。なかでも私が大切にしているのは自由です。  たとえば、他人を自分の思い通りに動かそうとする人がいますよね。行きたくもない場所...

この小説では、主人公が自己中心的な悩みに葛藤する物語が描かれていました。

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感想②:他人に依存して生きると自己中心的になる

では、なぜ都は自己中心的な悩みを抱えていたのでしょうか。

それは、他人に依存して生きていたからだと思います。

都の母は、更年期障害がひどく、うつ病のような症状が出ていましたが、都はそんな母を見るのが嫌で、貫一の家に外泊するようになりました。

母の看病をするために実家に帰ってきたのに、父に任せきりで逃げ出します。

仕事でも、前の職場で問題を起こして傷ついたことがトラウマになり、今の職場でも積極的に人と関わらないように距離をとっていました。

とはいえ、人から嫌われることを極端に恐れていたので、店長とアルバイトの間に入って、両方に愛想を振りまきます。

そんな自分が嫌で、自分らしく振る舞える貫一と付き合うようになった都でしたが、

今度は彼が何も考えてない、将来が不安だと言って、文句をつけ始めるんですよね。

つまり、自分の問題を他人に解決してもらうのが当然だと思っていたのです。

古川智映子さんの小説『土佐堀川』では、主人公の女性が次々と襲いかかって来る困難に立ち向かう物語が楽しめましたが、

古川智映子『土佐堀川』は自分の悩みがちっぽけに思えてくる物語
悩みを抱えていませんか? 私は最近はあまり悩んでいませんが、以前はよく悩んでいました。 しかし、古川智映子さんの小説『土佐堀川』を読んで、自分の悩みがどれだけちっぽけだったのかを思い知らされたんですよね。 広岡浅子さんのよ...

この小説では、次々と襲ってくる困難を避け続ける主人公の姿が描かれていました。

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感想③:幸せのカタチはひとつではない

さて、この小説では、「幸せのカタチはひとつではない」をテーマに描かれているように思います。

世間一般の幸せを追い求めて、現実逃避しつづけてきた都が、あることを決断し、苦労を乗り越え、幸せになっていく姿が描かれていたからです。

とはいえ、苦労した部分は省略されているので、この小説で描かれているのは、自己中心的な悩みで葛藤する都の姿だけです。

そのため、恋愛と結婚で悩んでいる女性には共感できる物語だと思いますが、

すでに結婚して子育てをしている世代の人には、グダグダ悩んでいるだけのように思えてしまい、物足りなく感じるかもしれません。

また、登場する女性のほとんどが都よりも深刻な問題を抱えていたり(結果として都の決断がよく見える)、

病気だった親が突然元気になったり、読書家で行動力があり、物分かりのいい貫一が、なぜか貧困手前だったりと、現実味が感じられないところが多々ありました。

谷瑞恵さんの小説『語らいサンドイッチ』では、恋に仕事に人間関係に、すべてに優しい気持ちになれる現実味のある恋愛物語が描かれていましたが、

谷瑞恵『語らいサンドイッチ』はトゲトゲしい気持ちがふわっと消えていく物語
トゲトゲしい気持ちで日々の生活を送っていませんか? 私は仕事やプライベートで忙しくなると、どうしてもトゲトゲしい気持ちが出てきますが、 谷瑞恵さんの小説『語らいサンドイッチ』を読んで、そんな気持ちがふわっとどこかへ消え去りました...

この小説では、恋愛と結婚で悩んでいる女性に向けて「幸せのカタチはひとつではない」というメッセージが込められた現代版シンデレラのような物語が描かれていました。

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まとめ

今回は、山本文緒さんの小説『自転しながら公転する』のあらすじと感想を紹介してきました。

幸せのカタチはひとつではないことがわかる物語が楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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