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 私がまだ大学生だった頃。アルバイトで家庭教師をしていたのですが、少し風変わりな男の子に出会いました。

 その男の子は中学二年生で、理数系の科目が苦手ということで私が呼ばれたのですが、初めて会った瞬間から、どことなく嫌な雰囲気が漂っていました。親の話にわざとらしく頷いていたからです。

 私が中学二年生だった頃は、親の話なんてほとんど聞いていませんでした。いわゆる反抗期の真っ只中で、「うるさい」「うざい」「ほっといてくれ」と、まるで自分ひとりで生きているかのように振舞っていました。

 今思えば、恥ずかしい話なのですが、そういった振る舞いを許されていたからこそ、自分らしく生きられたのだと思います。しかし、その子は…。

 親に反抗できない子は歪んでしまう

 親の前では素直な良い子を演じていましたが、部屋に入り、私と二人きりになると、いきなりモデルガンを向けて叫んできました。「俺をなめるなよ、撃つぞ!」と。

 もう意味がわかりません。モデルガンだし、怖くもないし、そもそもなめてもいないし、何に不満を持っているのかさえわかりません。

 あまりの変わりように、落ち着いて話をするよう促しましたが、聞く耳を持ってくれませんでした。勉強を教える以前の話です。

 後で分かった話ですが、その子の家庭教師は私で三人目だったそうです。一人目は故郷に帰ったという理由で辞め、二人目は突然連絡がつかなくなったそうです。三人目の私はその日のうちに断りました。

 では、なぜ彼の心が歪んでしまったのかと言うと、親の前では素直な良い子でないといけない、そうしないと愛されない…と思い込んでいたからでしょう。親がそういう育て方をしたのだと思います。

 子どもはみんな問題児

 そもそも、私たちは誰もが問題を抱えて生きています。嫌な奴だったり、ひがみっぽかったり、ネガティブ思考だったり。

 子どもなら尚更です。ありのままの自分を出しすぎると、他人から嫌われる、うまく付き合っていけないことを学んでいないので、誰もが問題児のように振舞います。

 しかし、私たち大人は、そういう振る舞いをすると、他人から嫌われ、損することを知っていますよね。

 だからこそ、子どもの行動を変えさせようとするのですが、このとき親の手出し・口出しがあまりにも行き過ぎると、先ほど紹介した中学生のように歪んでしまうのだと思います。

 言い換えると、親に子どもの問題を受け止める度量がなければ、子どもは自分らしく生きられないということ。

 子どもの問題を受け止めるとは?

 民俗学者の柳田国男さんは、「子どもの嘘は創意の所産」だと言われています。誰かを傷つけるような虚偽はダメですが、誰かを楽しませるための嘘は豊かな発想力を伸ばす行為だと言われています。

 喧嘩をするのもそうです。一方的に暴力を振るうのは論外ですが、それぞれが自分の言い分をぶつける行為は、自分と他人は考えが違うと認識するために必要なプロセスです。相手を深く理解するキッカケにもなります。

 こうした問題と思える行動を親が受け止められるかどうか。それが子どもが自分らしく生きられるかどうかにつながります。そもそも、「子どもと自分は違う」と親自身が認識できているかどうか、という問題もありますが…。

 子育てには、「抱いて」「降ろして」「ほっといて」の三つのステージがあるそうです。

 「抱いて」は幼児期で、保育園や幼稚園を卒業するまで。成長すると「降ろして」「ほっといて」と言うようになり、これが親にとっては反抗に思えるのですが、子どもの意見を尊重しなければ、子どもはいつまで経っても自分らしく生きられません。酷いケースになると、先ほどの中学生のように心が歪んでしまうでしょう。

 だからこそ、子どもの問題行為を受け止められる親になる必要があります。親の言うことを聞く素直な良い子ではなく、問題児に育てるくらいの度量が必要です。

 この本を読みながら、二人の子をもつ親としてそんなことを考えていました。

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