仕事で期待以上の成果を出していますか?
私は期待以上の成果を出す努力をしているつもりでしたが、知念実希人さんの小説『祈りのカルテ』を読んで反省しました。自分の枠にとらわれていることに気づいたからです。
本署は知念実希人さんらしい医療系ミステリーが楽しめるのはもちろんのこと、仕事で成果を出したいと願っているビジネスパーソンにもおすすめの物語です。
睡眠薬を多量服用して入退院を繰り返す女性の物語
では、あらすじから。
物語の主人公は、純正医科大学附属病院で初期臨床研修を受ける諏訪野良太。
この病院では、基礎知識をつけるために、数カ月ごとに内科や外科、小児科、産婦人科などの異なる科で研修を受けるシステムを導入していました。
そんな純正医大の精神科で諏訪野が研修を受けていたある夜のこと。彼のもとに睡眠薬を多量服用した女性患者が救急搬送されてきます。
ところが、先輩医師や看護師たちは、他の患者が搬送されてきた時とは違い、緊張感をもっていませんでした。
なぜなら、彼女は常連さんだったからです。毎月のように睡眠薬を多量服量して入退院を繰り返していたからでした。
彼女の腕には「あきら」という別れた夫の名前が火傷として刻まれていたことから、元夫の気を惹くために入退院を繰り返していると医師たちは考えていましたが、諏訪野は違和感を覚えました。
なぜなら、彼女は決まって5日に退院していたからです。元夫の気を惹くためなら5日にこだわる必要はありません。
そこで諏訪野は、この謎に迫るべく調査を始めました。その結果…。
目の前にある問題を解決することが医者の仕事ではない
この続きは実際に本書を読んでもらうとして、諏訪野は目の前にある病気や怪我だけを治そうとはしませんでした。その先にある患者個人の問題を解決しようとしていたんですよね。
なぜなら、患者個人の問題を解決しない限り、根本的には解決しないからです。
DVもそうですが、どれだけ怪我の治療をしても、暴力を振るう人間がいなくならない限り、怪我は絶えませんよね。
だからこそ、諏訪野は患者個人の問題に踏み込んでいくわけですが…。他の先輩医師たちは批判的でした。普段の医療業務が忙しく、時間的な余裕がなかったからです。
それでも、諏訪野は自分の時間を削って挑戦していきました。心から納得するまで仕事に向き合いたいと考えていたからです。
そのため、彼は精神科だけでなく、外科でも、皮膚科でも、小児科でも、内科でも、患者個人の問題に向き合っていくんですよね。
そうすることで、彼は期待を上回る成果を出し、患者だけでなく諏訪野自身も心から喜ぶことができました。目の前にある問題を解決するだけでは味わえない喜びです。
納得するまで追求することが想像以上の成果を出す秘訣
というわけで、知念実希人さんの小説『祈りのカルテ』は、医療系ミステリーとして楽しめる物語ですが、それだけでなく…。
自分の枠にとらわれず、納得するまで仕事と向き合おうと思える物語です。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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