崔実『pray human』は口には出せない苦しみを抱えている人たちの話に耳を傾けようと思える物語

おすすめ小説

口には出せない苦しみを抱えていませんか?

私も昔は抱えていましたが、今の家族と巡り会えて、口に出せるようになりました。

崔実さんの小説『pray human』は、今でも口に出せない悩みを抱えている人たちの話に耳を傾けようと思える物語なんですよね。

おすすめ度:4.0

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こんな人におすすめ

  • いろいろ考えさせられる物語が好きな人
  • 精神科病棟に入院していた主人公が作家になる物語に興味がある人
  • 口には出せない苦しみを抱えている人たちの物語を読んでみたい人
  • 崔実さんの小説が好きな人
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あらすじ:精神科病棟に入院していた主人公が作家になる物語

物語の主人公は、芥川賞の候補になった作家のわたし。

わたしは、17歳のときに精神科病棟に入院していましたが、同じ病棟に入院していた安城さんから「面会に来い」と連絡がきます。

出版元に連絡をしてコンタクトをとってきたのですが、安城さんはわたしをボコボコに殴って歯を一本腐らせた人物でもありました。

わたしは、今でもその原因になったことを安城さんが恨んでいると思っていましたが、

それでも会いにいくと、8年ぶりに病室で再会した彼女は、白血病にかかっていると言い、全身が衰弱していました。

そんな安藤さんは、わたしに何か話をしろと言い出します。そこでわたしが語ったのは…。

という物語が楽しめる小説です。

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感想①:精神病の人たちは少し違う視点から世界をみている

わたしが精神科病棟に入ることになったのは、その前日に時空が歪んでいるのを見たことがキッカケでした。

ビルディングが曲がりに曲がって向かいの建物とくっついてしまったのです。

それだけでなく、ゴッホの『星夜月』に出てくるような不穏な空に大きくて黒い塊が浮かんでおり、

そのこうもりのような黒い塊が追いかけてきたので、恐ろしくなって家に帰って大量の睡眠薬を飲んだからでした。

こうして、精神科病棟に入ることになったわけですが、わたしは5、6歳の頃から、こうもりを何度も見ていました。

その頃のわたしは、絵本で見た小人探しに夢中になっていましたが、

公園で全身真っ黒い格好をして長い棒を振り回している初老の男性と出会います。

その男性の上空には、こうもりがうようよと飛んでおり、彼が棒を振り回す姿をわたしは毎日眺めていました。

さらに、「いっぺん気が狂っちまったら殺すのなんか簡単だ」とその男性がいった言葉が頭から離れなくなっていたんですよね。

伊坂幸太郎さんの小説『SOSの猿』では、複数の視点を持つことが大切だとわかる物語が描かれていましたが、

伊坂幸太郎『SOSの猿』は複数の視点を持たないと簡単に洗脳されてしまうことがわかる物語
複数の視点で物事を眺めていますか? 私はできるだけ複数の視点が持てるように、本を読んだり、ブログを書いたりしていますが、 伊坂幸太郎さんの小説『SOSの猿』を読んで、複数の視点を持たないと簡単に騙されてしまうことがわかりました。...

この小説では、精神科病棟にいる人たちは、複数ある視点のひとつを持っている人だとわかる物語が描かれていました。

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感想②:精神病になったのは崩壊するようなキッカケがあったから

では、なぜわたしが精神病になったのか…といえば、そのキッカケがあったからでした。

わたしは子供の頃から物覚えが悪く、頻繁に母に怒られていました。

毎週のように病院に連れて行かれて、その原因を探られていました。

母が叔母にノロマだと言われたことに腹を立てていたからです。

そのため、母はわたしのノロマを正当化するために病名を明らかにしようとしていたんですよね。

その後も、母は妹の七海は大切にしましたが、わたしには愛情を注いでくれませんでした。

日曜日になると教会に連れて行って置いて帰ったり、塾にも開始時間よりも早く連れて行きます。

さらに、わたしはある出来事に遭遇して…。

瀬尾まいこさんの小説『幸福な食卓』では、家族とは困ったときに甘えられる関係だとわかる物語が描かれていましたが、

瀬尾まいこ『幸福な食卓』は家族とは困ったときに甘えられる関係だとわかる物語
 困ったときに家族に甘えられますか?  私は妻や子供たちが困ったときに相談したり、不満をぶつけられるように振る舞っているつもりですが…。  瀬尾まいこさんの小説『幸福な食卓』を読んで、困ったときに甘えられる関係こそが家族...

この物語では、家族がわたしを精神崩壊に追い詰めていく姿が描かれていたので、ゾッとしました。

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感想③:人の話に耳を傾けられる人間になろうと思える

さて、この小説では「人は本当に苦しいとき、黙るしかない」ことがわかる物語が描かれています。

だからこそ、ひとりで苦しんでいる人たちの話に耳を傾けることが大切だと訴えています。

わたしが電車の中吊り広告を破ったり、コンビニエンスストアで卑猥な写真や文を載せる週刊誌を滅茶苦茶にしたり、アニーの劇で唾を吐いたりしたのもある出来事に苦しんでいたからでした。

わたしの友人である由香も、同じ精神病棟にいた吉田ママも、須藤さんも、竹内さんも、山根さんも、みんな誰にも言えない悩みを抱えていたんですよね。

森絵都さんの小説『ラン』では、誰もが悩みを抱えているけれど、仲間がいれば乗り越えていけるかもと思える物語が描かれていましたが、

森絵都『ラン』は人生は一人旅だけれど走り続ければ仲間に出会えるかも!?と思える物語
人生をエンジョイしていますか? 私はエンジョイしていますが、森絵都さんの小説『ラン』の主人公は違いました。死にたいと思っていたのです。 しかし、ある自転車と出会い、さらにフルマラソンを走ることになって、考えが変わっていくんですよ...

この小説では、口には出せない悩みを抱えている人たちの話に耳を傾けられる人でありたいと思える物語が描かれていました。

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まとめ

今回は、崔実さんの小説『pray human』のあらすじと感想を紹介してきました。

口には出せない苦しみを抱えている人たちの声に耳を傾けられる人でありたいと思える物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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