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 「毒親」とは、子どもに対するネガティブな行動パターンを執拗に繰り返し、それによって子どもの人生を支配するようになってしまう親のこと。では、そんな親に育てられた子どもはどうなってしまうのか。

 結論からいえば、自らの感情を抑圧する大人になってしまう。なぜなら、親に対して感情を出すことが、自らの存在を脅かすことになると直感的に感じているからだ。子どもにとって親の存在はとてつもなく大きい。生きていくためには、否が応でも親の助けを借りなければならない。そのため、子どもは親に気に入られようと無意識に振舞ってしまう。

 では、子どもが自らの感情を抑圧してまで親に気に入られようとすると、どんな弊害が出てくるのだろうか。大人になっても人間関係のなかでそのクセがあらわれるようになる。具体的には、「自分の意見を主張できない」「喜怒哀楽が出せない」「怒りの感情が出せない」といった状態に陥ってしまうのだ。

 このように、相手に気に入られることを優先するあまり、自分の感情を隠してしまう大人になると、親と同じように身近な人間を支配し、コントロールするような相手を無意識に引き寄せてしまう。無意識なので、そのことに気づかず、同じような相手とばかり出会ってしまい、その結果、慢性的に人間関係に苦しむことになるのだ。

 もちろん、毒親に育てられた弊害はこれだけではない。友達付き合いや習い事の選択、受験であれば塾や受験校の選択など、本来、子どもの意思が尊重されるべき部分にまで介入してくる親もいる。なかには就職先や結婚相手など、本人にとって今後の人生を左右することまで、親が決めてしまうこともあるようだ。

 しかし、こういった毒親の元で育った子どもは、今まで自ら選択する経験をしてこなかったので、「自分で好きに選んでいいよ」といわれても選べない。幼い頃から親に支配されて育ってきたので、自分の意見を言うことに相当な恐怖を伴い、自分から何かを感じて、その感情に従って素直に動くことが簡単にできないからだ。

 本来、親に反抗できるほうが自然である。たとえ反抗的な態度でも、自分の意見を主張していれば感情を出すことができるからだ。だから、感情を抑えつけて自分の意見を主張していない状態が続くと、ストレスがたまっていく。自分の感情をあらわさずに我慢することは、自分を裏切っていることでもあるので、気づかないうちに相当な負担を自分自身に強いていることになる。

 さらに、家族のネガティブな話題を誰かに話すことは、「家族の秘密を周囲にばらしているのでは?」という「罪悪感」にもつながり、親を裏切っているような感覚に陥るので、誰にも相談できない。そこで、「親は自分のためを思っていろいろしてくれた」と自ら言い聞かせることで、罪悪感を感じないようにしてしまうのだ。

 すると、どうなるのか。他人の評価や目線を必要以上に気にする大人になってしまう。「失敗したくない」「ダメなヤツだと思われたくない」「期待に応えなきゃ」と必要以上に自分をよく見せようとしてしまう。このような思いが強すぎると、身体の反応となってあらわれてくる。

 たとえば、人前で話すと声や手が震えたり、異常に発汗したり、赤面したり、吃ったりする。では、なぜそこまで他人の評価を気にしてしまうのか。それは、親の言うことに従わないと自分には価値がない、つまり「ありのままの自分には価値がない」と思っているからだ。そのように感じてしまうのは、毒親が「ありのままの自分」を受け入れてくれなかったからだ。

 すなわち、毒親に支配された子どもは、「自分の感情が出せない」「自分では選択できない」「自分には価値がない」と思い込んでいる大人に育ってしまう。では、どうすれば毒親の支配から解放されるのだろうか。

 まずは、思い込みを捨てることだ。社会心理学博士であるクラウディア・ブラックによると、機能不全家族には次のような暗黙のルールがあるという。

  1. <話すな>問題について話し合うのはよくない。
  2. <感じるな>感情を素直に表すのはよくない。
  3. <信頼するな>人を信じてもろくなことはない。

 もちろん、これらは思い込みでしかない。これに加えて、毒親に育てられた子どもには、共通して「親の期待に応える必要がある」という思い込みがある。もし、あなたがそのように思い込んでいるのなら、「親の期待に応えなくてもいい!」と口に出していってみよう。そうすれば、頭(理屈)では理解できなくても、自然にそのことを受け入れられるようになっていくはずだ。

 他にも、親への怒りの感情を吐き出すこともひとつの方法。ずっと「いい子」だった人にとっては、遅れてやってきた親への反抗期だといえるかもしれない。しっかりと自分の感情を感じて、解放すれば、気持ちはすっきりと軽くなるはず。もちろん、解放しただけでは問題が解決するわけではないが、解決への大きな一歩を踏み出したことにはなる。だから、まずは自分の感情を大切にしていこう。

 そうして、親に対する怒りの感情を吐き出したあとは、親に感謝するようにしていこう。いくら毒親といえども、子どものことを考えない親などいない。そうして感謝するようにしていけば、親に囚われる必要がなくなる。本当の意味で自分の人生を歩めるようになるだろう。

 さて、私たちの悩みの根本にあるのは、親子関係で解決できなかった問題といっても過言ではない。それほど親子関係は難しいのだ。なぜなら、親子ともに欠けている部分があるからだ。それなのに――毒親は自分を大きく見せようとする、自分の正しさを子どもに認めさせようとする。だから、親子関係がおかしくなってしまうのだ。

 つまり、毒親は「自分の弱さを認められない」親だということ。そんな親の言うことに従っていては、自分の人生を台無しにしてしまう。ぜひ、今回紹介した方法を駆使して毒親とは別の自立した人生を歩めるようにしていこう。

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