伊坂幸太郎『PK』感想/臆病は伝染する。そして勇気も伝染する

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 勇気を振り絞って生きていますか?

 私はできるだけ勇気を振り絞りながら生きているつもりですが、伊坂幸太郎さんの小説『PK』を読んで、臆病も勇気も伝染することに気づきました。

 そのため、今よりも勇気を振り絞って生きていこうって思えたんですよね。




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 一人の勇気が次々と伝染してく物語

 では、あらすじから。

 伊坂幸太郎さんの小説『PK』は、3篇の短編で構成されています。そのうちの2編『PK』と『超人』では、同じ時期の2つの異なる世界が描かれています。

 まず『PK』では、サッカーワールドカップのアジア予選で、日本代表の小津選手が脅されながらも、子供の頃にみたヒーローを思い出し、圧力に屈せず、ゴールを決めるシーンが描かれます。

 彼が子供の頃にみたヒーローとは、マンションの4階から落下した子供を受け止めて助けた大臣のことでした。その大臣も今では幹事長から偽証を強要されています。

 そして、ある作家は謎の人物から小説を手直しするように圧力をかけられていました。

 要求に従えば物語の内容は薄っぺらくなりますが、従わなくても読者の人生を変えるほどの力ある物語にはなりません。

 そこで作家は妻に相談したところ、

「簡単だよ。何をしても、大きな影響がないんだったら」
「子供たちに自慢できるほうを選べばいいんだから」

 この言葉にハッとしたんですよね。どんな選択をしても影響がないのなら、子供たちに自慢できる選択をした方がいいですよね。

 このように、『PK』はある人物の勇気が次々と伝染してく物語を描いていますが、一方の『超人』では…。

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 同じ時代の異なる世界が描かれる!?

 『PK』と同じ時期の異なる世界が描かれています。

 物語はマンションから落下したときに大臣に助けられた本田毬夫が、27年ぶりに大臣と再会することを、訪問販売で訪れた作家の三島に話すところから始まります。

 ところが毬夫は、その大臣を殺さなければいけないと言い出しました。彼には、未来に事件を起こす人物を特定する能力があり、これまで多くの未来の殺人者を殺してきたと言います。

 そして、次に殺すべき相手が大臣だったのです。そこで毬夫は…という物語なのですが、『超人』は『PK』と同じ時期の異なる世界が描かれています。

 たとえば、ワールドカップが日韓ワールドカップになっていたり、大臣の父親の浮気がゴキブリのおかげでバレなかったのがバレたりと、『PK』とは異なる世界が描かれているんですよね。

 このように異なる世界になった理由を3つ目の短編『密使』で明かされるのですが、そこにはある生物の存在が大きなキーになっていました。その生物とは…。

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 臆病は伝染する。そして勇気も伝染する

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、伊坂幸太郎さんの小説『PK』は、臆病も勇気も伝染することに気づける物語です。

 歴史を紐解くと、第一次世界大戦のように、一人ひとりがどのような行動をとっても、まるで運命に導かれたかのように起こるべくして起こったと思える出来事もあります。

 しかし、すべての出来事が運命によって決まっているわけではありません。

 たとえ第一次世界大戦のような大きな出来事は変えられなくても、一人ひとりが勇気をもって行動すればその後の人生は変えられるはずです。

 そんな想いにさせてくれた小説が伊坂幸太郎さんの『PK』です。もちろん、サスペンスとしても、すべての謎がある結論へとつながっていく物語としても楽しめるので…。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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