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 物理って面白くないですよね。

 私は理系の大学を出ていますが、高校のときは物理がまったく面白くありませんでした。

 なぜなら、理屈抜きに数式を暗記し、「問題」の「答え」を機械的に、そして限られた時間内に見つけることを要求されたからです。

 本来、自然科学の楽しみ方は、「理屈を考えること」にありますよね。なぜ信号の赤は止まれなのか…なんて理由をじっくり考えるのが面白いのです。

 そんな物理の面白さに改めて気づかせてくれた本が『いやでも物理が面白くなる』。物理が苦手な人にまず読んで欲しい本です。

 目次

 本書は以下の構成で書かれています。

第1章 光
第2章 電気はなぜ万能なのか
第3章 力とエネルギー
第4章 万物の「究極構造」を考える
第5章 「時間」と「空間」を考え直す

 第1章 光

 ここからは、各章で気になった内容を羅列的に挙げていきます。

 たとえばアンドロメダ星雲を見るとき、私たちは250万年前にアンドロメダ星雲が発した光を見ています。過去の姿を見ているんですよね。

 ところが、そのアンドロメダ星雲が発している光が何者なのかは未だ分かっていません。

 光は当初、粒子だと思われていましたが、ヤングのダブルスリットの実験で否定されました。波の性質を持っていることがわかったからです。

 色について考えると、光の別の側面が浮かび上がってきます。

 色とは、光が目に入り、大脳にその刺激が伝えられたときに生じる「感覚」のこと。そのような感覚を生じさせるエネルギーが光なのです。

 つまり、物には色がついていないんですよね。チューリップが赤く見えるのは、照射される白色光のうち、赤色光のみを反射し、他の色を吸収してしまうからです。

 肉屋の肉が美味しそうに見えるのは、赤みがかかったピンク色の電灯がついているから。

 では、空が青く見えるのはなぜでしょうか。

 実は、空が青く見えるのも、地球が青く見えるのも、波長が短い青色が拡散されやすいからです。

 一方で、朝日や夕焼けが赤く見えるのは、波長が長い赤色以外は大気圏にある物質に邪魔をされ、届きにくくなるから。

 信号の止まれが赤色なのは、可視光の中で雨滴や雪や埃などの粒子に邪魔されにくく、ドライバーや歩行者に届きやすい波長の長い色だからです。

 光に関して20世紀最大の発明はレーザー光です。

 レーザー光は単色で、自然光がプリズムを通ると分光されるのに対して、プリズムを通過しても分光されることなく、出てくる光も同じ単色です。

 また、レーザー光は直進性とエネルギー密度の点で圧倒的に優れており、光通信を始めとする情報処理や計測、測量、機械加工や兵器などの広範囲な分野に応用されています。身近なものでいえば、バーコード・スキャナーや光ディスクなど。

 21世紀になると発光ダイオード(LED)が発明されました。電圧を加えることで発光する半導体素子です。

参考図書

 第2章 電気はなぜ万能なのか

 電流が磁気を生み、磁気が電流を生むことをファラデーが解き明かしたことにより、電磁波という媒体を必要としない波が発見されました。

 テレビやラジオ、パソコン、電話、電子レンジなどほとんどの電化製品は電磁波のお世話になっています。

 光も電磁波の性質を持っています。ただし、アインシュタインによって波動性と粒子性の二面性を同時に持つものであることがわかりました。

 現代文明人に物質的繁栄をもたらしたのが、エレクトロニクスです。私たちが実感する自然界や社会的な現象(アナログ現象)をデジタルとして扱い、情報処理や転送などを容易化しました。

 パソコンやスマホ、インターネットなど、デジタル化がもたらした恩恵は計り知れません。

参考図書

 第3章 力とエネルギー

 速さは距離÷時間で求めることができますが、これに向きを加えたものを「速度」と言います。ベクトルで表すのが便利。

 物理学が扱う力は「物体の運動を変化させるもの」です。この物体の変化を数値で表したのが加速度。

 言い方を変えれば加速度によって力は生じ、物体に力が加えられなければ加速度は決して生まれません。これが有名なニュートンの「慣性の法則」です。

 潮の満ち干が起きるのは、地球と月、太陽の間で万有引力(潮汐力)が働いているからです。1日に2回満潮と干潮が起きるのは、地球が自転しているから。

 エネルギーとは「物体に仕事をさせる能力をもつ何か」のことです。具体的には、力学的エネルギー、光エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギー、核エネルギーなどがあります。

参考図書

 第4章 万物の「究極構造」を考える

 すべての物質は原子からできています。ラザフォードによって、原子の中心には重くて小さい正電荷の原子核が存在し、その周囲の円軌道上を負電荷の電子が周回していることが判明しました。

 そして現在では、原子核は陽子と中性子で構成され、さらに電子や陽子、中性子などは量子ひもで構成されていると考えられています。

 さらに電子は原子核から半径r上に存在するわけではなく、雲のような形で分布しており、空間的な確率のなかのどこかに存在すると考えられています。

参考図書

 第5章 「時間」と「空間」を考え直す

 「相対性理論」はアインシュタインが16歳のときの空想に端を発しています。

 アインシュタインは、もし自分が鏡を持って光速で走ったら、自分の顔が鏡に映るのが見えるかどうか考えました。私たちに物が見えるのは、反射光が私たちの目に届くからです。

 光は他の物質とは異なり、光源や観測者の状態に関係なく、常に一定です。

 たとえば、新幹線に乗ってピストルを撃てば、弾の速度は「新幹線の速度+静止状態で撃った弾の速度」になりますが、光は新幹線に乗ろうが秒速30万kmから変化しません。これが「光速不変の原理」。

 つまり光は別物なのです。そしてこの原理から「時間」や「空間」、「質量」が絶対的なものではなく、相対的なものだと導かれました。

 さらに、アインシュタインは、万有引力の「伝わる速さは無限大」と、特殊相対性理論の「光速以上で伝播するものは存在しない」という矛盾を解決する理論を明らかにしました。物質があれば、そのまわりの空間は歪むと明言したのです。

 2003年には「万物は原子からできている」という古代ギリシャ以来の常識が覆されました。原子が宇宙に占める割合は4%に過ぎず、あとの96%が何で出来ているのか今もわかっていません。

 また、宇宙の起源についても、解き明かされているわけではありません。現時点では「ビッグバン宇宙論」が確かだと考えられていますが。

参考図書

 最後に

 今回は『いやでも物理が面白くなる』参考に物理の面白さについて「さわり」を紹介しました。

 物理が苦手な方や気になった内容があった方は、ぜひ本書を読んでみてください。物理に興味が湧きますよ。

次に読みたい本

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