東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』感想/嘘をついてまで守りたいものはありますか?

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嘘をついてまで守りたい名誉やプライドはありますか?

残念ながら私にはありませんが、東野圭吾さんの小説『嘘をもうひとつだけ』に登場する人たちは違いました。

大切なものを守るために人生をかけた嘘をつくんですよね。

おすすめ度:3.5

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こんな人におすすめ

  • 加賀恭一郎シリーズが好きな人
  • 人生をかけた嘘をつく人たちの物語に興味がある人
  • 驚きのある物語が好きな人
  • 東野圭吾さんの小説が好きな人
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あらすじ:15年前までプリマとして活躍していた女性の物語

物語の主人公は、15年前までプリマドンナとして第一線で活躍していた寺西美代子。

彼女は、今でも弓削バレエ団の事務局長としてバレエに関わっていましたが…。

ある日。美代子の同僚である早川弘子が、自宅マンションの敷地内にある植え込みの中で、亡くなっている姿で発見されます。

バルコニーから落ちたのです。

しかし、現場をみた加賀はすぐに自殺ではなく他殺だと見抜きました。

部屋の鍵が閉められていなかったことと、亡くなる少し前に翌朝の早朝に放送予定だったバレエ番組が録画予約されていたからです。

さらに、弘子は近々バレエ教室を始めようとしていたのですが、そのための資金一千万円が何者かによって銀行に振り込まれていたことがわかります。

加賀は弘子と同じマンションに住んでいる美代子が犯人だと確信しますが、彼女を追い詰めることができませんでした。

決定的な証拠がなかったからです。

そこで加賀がとった行動は…、という物語が楽しめるミステリーです。

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感想①:人生をかけた嘘をつく人たちの物語

あらすじでも紹介しましたが、寺西美代子はある事実を守るために、人生をかけた嘘をつきました。

これを自分に置き換えてみると…。

私には思い当たりませんが、たとえば降田天さんの小説『すみれ屋敷の罪人』では、

ある人物が自分を犠牲にして尽くしてくれたので、それに報いるために、大勢の人たちが嘘を重ねていきました。

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東野圭吾さんの小説でいえば、『沈黙のパレード』もそのひとつです。

ある人物を守るために、大勢の人たちが嘘をつくんですよね。

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このように考えると、嘘をつくことは良いことではありませんが、

周りの人たちが嘘をついてでも守りたいと思える存在になっていきたいと思えてきます。

とはいえ、『嘘をもうひとつだけ』に登場する多くの人たちは、自分のために嘘をついていたのですが…。

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感想②:嘘を重ねるがテーマの短編集

『嘘をもうひとつだけ』は、5編の短編から構成された短編集で、どの物語でも「嘘を重ねていく人たち」をテーマに描かれています。

先ほど紹介した物語以外にも、妻が殺され、1歳になる息子が行方不明になった男や、

娘を器械体操の選手に育てるためにすべてを犠牲にしてきた女性、

一週間前に交通事故で夫を亡くした未亡人や、

様々な事業のプロデュースを請け負う仕事をしている加賀の友人など、多くの人たちが人生をかけた大きな嘘をつきます。

伊坂幸太郎さんの小説『アイネクライネナハトムジーク』では、恋愛をテーマにした短編が描かれているので、

読み進めていくと、「恋愛っていいな」という気持ちになってきましたが、

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『嘘をもうひとつだけ』を読み進めていくと、同じように嘘をついてまで守りたいものがあることが羨ましく思えてきました。

人生をかけた嘘をつく人たちの物語が楽しめるミステリーです。

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感想③:嘘を積み重ねて幸せは手に入るのか?

とはいえ、彼らに訪れた結末は、とても悲しいものでした。

米澤穂信さんの小説『いまさら翼と言われても』でも、

嘘をついていじめを繰り返してきた生徒が悲しい結末を迎える物語が描かれていますが、

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他人を陥れるような嘘をつくと、その結末は悲劇になることがわかる物語なんですよね。

とはいえ、それは加賀恭一郎という真実を見抜く人物がいたからであって、

シェイクスピアの小説『リア王』で描かれているように、嘘を信じてしまうと、その末路は悲惨なものになります。

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まとめ

今回は、東野圭吾さんの小説『嘘をもうひとつだけ』のあらすじと感想を紹介してきました。

嘘を重ねる人たちに惑わされることなく、加賀恭一郎が真実を見抜いていくミステリーが楽しめます。

気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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