webstation plus

(※『おもかげ』表紙より)


 浅田次郎さんの小説『おもかげ』。

 定年を迎えたサラリーマン・竹脇正一が、送別会の帰りに倒れ、病院内で不思議な体験を繰り返す物語です。

 読めば、彼の生き様や家族の温かさに心揺さぶること間違いなし!?

 今回は『おもかげ』のあらすじとおすすめポイントを紹介します。

 『おもかげ』のあらすじ

 商社マンとして定年まで働き続けた竹脇正一。彼は送別会の帰り道に地下鉄で倒れ、病院に運ばれました。

 彼の容態は厳しく、助かる見込みはありません。そんな彼に多くの見舞客が訪れ、彼との思い出を語ります。

 一方、意識を取り戻した竹脇は、不思議な体験をします。身体から抜け出し、マダム・ネージュと名乗る年上の女性と食事に出かけることになったのです。

 その後も、入江静、榊原勝男、峰子…と不思議な体験を繰り返します。

 この謎が解き明かされたとき、心揺さぶられること間違いなしの物語です。

 『おもかげ』のおすすめポイント

1. 視点を変えながら竹脇正一の人生が浮き彫りになっていく

 『おもかげ』は、浅田次郎さんお得意の視点を変えながら物語を紡いでいく構成の小説です。

 会社の同僚で、現在は社長の堀田憲雄の視点から物語が語られはじめ、妻、幼なじみ、竹脇正一、義理の息子、看護師…と視点を変えながら、少しずつ竹脇正一という人物が浮き彫りになっていきます。

 また、看護師や同じ病室に入院している老人など、一見物語の本質に関係がない人物も語り始めるのですが、最後にすべてが繋がるので、スッキリするんですよね。

 視点の切り口が絶妙なので、ページをめくる手が止まらなくなる小説です。

2. 物語最大の謎は臨死体験を共に過ごす女性!?

 竹脇正一は、危篤状態で、意識が戻った後もベッドの上からまったく動けませんでした。指ひとつ動かせない状況です。

 しかし、マダム・ネージュと名乗る女性と出会ったことをキッカケに、食事に出かけたり、銭湯に行ったり、地下鉄に乗ったり出来るようになりました。

 もちろん身体はベッドに横たわったままなので、死神がやって来たのか?と疑っていた竹脇でしたが、自分にとって望ましいことばかり起こるので、この不思議体験を楽しむようになりました。

 とはいえ、竹脇正一の不思議体験に現れるのは、歳上の見知らぬ女性ばかり。一体、彼女たちは何者なのか!?

 この物語最大の謎に惹き込まれること間違いなし!?

3. 最後には感動が!?

 竹脇正一の生き様を知り、マダム・ネージュの正体がわかったとき、私は涙がとまりませんでした。浅田次郎さんの温かさが心にしみたからです。

 家族の温かさに心揺さぶられる物語です。

 最後に

 浅田次郎さんの小説『おもかげ』。読めば、竹脇の生き様や家族の温かさに心揺さぶること間違いなし!?

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 こちらのエントリでも紹介しています。

 関連記事

春ちゃんが結婚!?畠中恵『ねこのばば』は魅力あるキャラクターが多数登場する時代小説

(※『ねこのばば』表紙より)  畠中恵さんの小説『ねこのばば』。  しゃばけシリーズ第3弾の本作は、魅力あるキャラクターが多数登場する時代小説です。ついに若だんなの幼馴染・春ちゃんが結婚する!?  今回は『ねこのばば』の …

畠中恵『ぬしさまへ』は若だんなの大人になりたい想いに感動する小説

(※『ぬしさまへ』表紙より)  畠中恵さんの小説『ぬしさまへ』。  『しゃばけ』シリーズ第2弾の本作は、病弱で両親や妖怪たちから甘やかされて育った若だんなが大人になりたいと強く願う物語です。読めば自分も頑張ろうと思えるこ …

『土佐堀川』は自分の悩みがちっぽけに思える小説

(※『土佐堀川』表紙より)  古川智映子さんの小説『土佐堀川』。  NHK連続テレビ小説「あさが来た」の原作で、広岡浅子さんの生涯を描いた物語です。読めば自分の悩みがちっぽけに思えること間違いなし!?  今回は、『土佐堀 …

再読間違いなし!?伊坂幸太郎『グラスホッパー』は驚きの結末を迎える小説

(※『グラスホッパー』表紙より)  伊坂幸太郎さんの小説『グラスホッパー』。  殺し屋の鯨と蝉、そして復讐者の鈴木がそれぞれの目的を成し遂げるために殺人を犯したり、逃げ惑ったりする物語です。読めば再読したくなること間違い …

仕事に人生をかけてる?塩田武士『騙し絵の牙』は大泉洋をあてがきした小説

(※『騙し絵の牙』表紙より)  仕事に人生をかけてますか?  私はかけていません。仕事の悩みは星の数ほどありますが、どれも「叱られたくない!」というネガティブな感情からスタートしています。  「成し遂げたいことがある」な …

『子育てはもう卒業します』は自分らしく生きようと思える小説

(※『子育てはもう卒業します』表紙より)  垣谷美雨さんの小説『子育てはもう卒業します』。  3人の女性の青春時代から中年になるまでの人生を描いた小説です。読めば「子ども優先で生きるのはやめ、自分らしく生きよう」と思うこ …

人の不幸の上に幸せは築けない!?東野圭吾『容疑者Xの献身』は泣ける小説

(※『容疑者Xの献身』表紙より)  東野圭吾さんの小説『容疑者Xの献身』。  数学教師の石神が隣の部屋に住む女性を守るために、人生をかけて献身する物語です。読めば「人の不幸の上に幸せを築くことなんてできない」と思うこと間 …

『ふくわらい』は幼い頃に感情を失った女性を描いた小説

(※『ふくわらい』表紙より)  西加奈子さんの小説『ふくわらい』。  この前のエントリで紹介した『コンビニ人間』の主人公とよく似た女性――他人の感情や言動が理解できない女性が、他人との関わりを通じて感情を取り戻していく過 …

加賀恭一郎が初登場!?東野圭吾『卒業』はモラトリアムから抜け出したくなる小説

(※『卒業』表紙より)  モラトリアムから抜け出せていますか。  もし、「友人と過ごす時間がいちばん楽しい」と感じているようなら、子どもから大人に移行する橋渡し期間(=モラトリアム)から抜け出せていない証拠。今すぐ考え方 …

人と対等に付き合ってる?伊坂幸太郎『チルドレン』は口達者な家裁調査官が奇跡を起こす物語

(※『チルドレン』表紙より)  人と対等に付き合っていますか?  私は対等に付き合っていると思っていましたが、伊坂幸太郎さんの小説『チルドレン』を読んで反省しました。障害のある人たちを「可愛そう」という視点で見ていること …