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 結婚して子どもが生まれると「やるべきこと」が驚くほど増えますよね。

 仕事をするのは当たり前として、子どもと遊んだり、勉強を教えたり、買い物に行ったりと、子どもと共に行動する日々が続きます。

 これで本当に子育てができているの?と不安になるほど忙しい…。そもそも、父親の役割って何なの?

 父親に求められる役割は意外と多い

 伊坂幸太郎さんの小説『オー!ファーザー』の主人公・由紀夫には父親が4人もいました。

 ギャンブルが何よりも大好きで裏社会とつながっている鷹。女性を見たら見境なく声をかける男前の葵。頭脳明晰で大学教授の悟。中学校で体育教師をしているスポーツ万能の勲。

 そんな彼らに育てられた由紀夫は、スポーツもできて頭も良く、女性の扱いにもなれているモテまくりの高校生でした。

 とはいえ、所詮は高校生。怖ろしい現実に適応する力は備わっていません。

 そこで、鷹の登場です。一見、何の役にも立たないギャンブル好きのダメ親父ですが、事件に巻き込まれた由紀夫を救うキーマンになります。

 このように、父親に求められる役割はいろいろありそうですが、一人では全部こなせませんよね。そこで大切になのが…。

 父親に求められる一番の役割とは?

 どんな状況になってもドッシリと構えることです。

 由紀夫が富田林という裏社会のボスに狙われたとき、4人の父親はとても落ち着いているように見えました。そんな彼らをみて不審に思った由紀夫は、どうして落ち着いていられるのか尋ねたところ、

「落ち着いている?」「俺たちが?」「大慌てだよ」「やれることをやるしかない」

 と答えます。そして、

「それでもどうにもならなかったとしても、大丈夫だ。俺たちでおまえは守ってやるよ」

 と続けます。これこそが父親の役割なんですね。

 それともう一つ。

 カッコいい父親になろう

 ある出来事が原因で「父親を信じちゃいけないと悟った」と言った由紀夫のために、父親4人は不可能を可能にします。

やろうと思えば、そんなことはできるってとこを見せてやろうと思ったんだ。

 父親は、不安があってもドッシリと構え、子どもに希望を持たせる強い存在であるべきなんですね。

 そんなカッコいい父親になりたいと思える物語です。

 ◆

 伊坂幸太郎さんの小説『オー!ファーザー』。子どもとの接し方を見直したくなる物語です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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