webstation plus

worry_01

 「やりたいことが見つからない」「一生懸命頑張っているのにまわりから認めてもらえない」「わかっているのに同じ失敗を繰り返してしまう」――もし、こういった悩みを抱えているようなら、「前提条件」を疑ったほうがいいだろう。「悩まなくてもいいこと」に悩んでいる可能性があるからだ。

 「モダンジャズの帝王」と呼ばれるマイルス・デイビス氏も、若い頃にはトランペットで「力強い音が出せない」ことを悩んでいた。当時のジャズは、「ビバップ」と呼ばれるピアノやサックスなどのパート同士が激しくソロをぶつけあう、力強くてスピード感あふれるジャズが主流だった。しかし、お坊ちゃん育ちで小柄なマイルス氏には、激しいビバップにあった力強い音がどうしても出せなかった。そのため、当時結成していたバンドを去る羽目になる。

 それでもジャズをあきらめきれなかったマイルス氏は、その屈辱と劣等感から立ち直るために考えぬく。そうして生まれたのが、派手なビバップとは対極にある静かな夜を彷彿させるジャズだ。私たちが「ジャズ」と聞いたときに思い浮かべる「あのジャズ」である。

 このエピソードからわかることは、弱みを必死になおそうとするよりも、それを個性として生かす方法を考えるべきだということ。言い換えれば、「悩まなくてもいいこと(力強い音が出せないこと)」を悩むのではなく、「考えるべきこと(力強い音が出せないことをどう生かせるか)」を考えるべきだということだ。

 では、どうすればマイルス氏のように「悩み」を「個性を生かすチャンス」に変えることができるのだろう。それは次の三つのステップを実践することだ。

  1. 悩みの元になる事象を明らかにする
  2. 前提となる枠組みを見つけ出す
  3. フレームを変えて悩みを見直す

 まずはじめに、悩みの元となる事実を明らかにしていく。たとえば、職場の後輩がミスをしたので、それを指摘したとする。すると、どうやら後輩はそのことに触れてほしくなかったようで、想像していた以上に落ち込んでしまった。このとき、「私はなんて空気が読めないんだ」と悩んでしまうと――その悩みは解決できなくなってしまう。

 なぜなら「空気が読めない」というのは事実ではなく、あくまでも自分の解釈や判断だから。事実とは「本当に起こったこと」だ。具体的には、「個人主義的な行動をとることが多い」「周囲に安易に同調しようとしない」「他人への配慮が欠けているときがある」といったことがそう。あくまでも「自分の行動」を客観的に捉えるのである。

 「事実」が明確になれば、次は「なぜ、その行動で悩んでいるのか」を考える。先ほどの例なら、「触れてはいけないことを指摘して後輩が傷ついてしまった」ことで、なぜ悩んでいるのかを考えるのだ。

 たとえば、「触れてほしくないことには、触れるべきではないから(道徳や規範)」「傷つけてしまうと、後の仕事がやりづらくなるから(成功法則)」「いつも私はそうしてしまうから(知覚)」といったことが考えられるだろう。これが「前提となる枠組み(フレーム)」だ。もし、前提条件が見つけられないのなら、「なぜ、なぜ、なぜ…」と、思考や行動の理由を掘り下げていけばみつけられるはず。

 そして最後に「前提条件を覆す(=フレームを変える)」ことで悩みを見直す。「触れてほしくないことなんて人それぞれ違うのだから気にしなくてもいいのでは?」「これくらいで凹んでいるようなら仕事が任せられない後輩なのでは?」「触れてはいけないところを指摘するからこそ、後輩も成長できるのでは?」――このような質問を自分にぶつけるのだ。そうすれば悩む必要などなかったことに気付くだろう。

 さて、私たちはいつも何かに悩まされている。それは、特定の前提条件にとらわれて選択肢を狭めていたり、自分では解決できないことを解決しようとしたりしているからだ。だからこそ、何かに悩み始めたのなら、すぐに今回紹介した方法を試してみてはどうだろうか。そうすれば、悩んでも仕方のないことには悩まないようになれる。そして、悩むはずだった時間を他のことに使えるようになる。そうすれば 、今よりも楽しい毎日が過ごせるはずだ。

 関連記事

自分のために「怒らない人」になろう/『怒らない技術』

 ある日、船を下りて波止場を歩いていた松下幸之助氏は、いきなり大男にぶつかられて海に落ちてしまった。このとき一緒にいた秘書が、「社長、大丈夫ですか。私が文句を言ってきますよ」といったところ、幸之助氏は「ああ、夏でよかった …

「自分に自信がない人」が自信を持つために今すぐやるべきこと

 それは、服装やメイクを変えることだ。  アメリカの心理学者フィリップ・ジンバルドの実験によると、「服装」が人格にまで影響を及ぼすことがわかった。彼は新聞で公募した24名を無作為に「囚人役」と「看守役」にわけ、囚人役には …

説得力を高める3つの要素/『ツカむ!話術』

 なぜ、アメリカ人は「自己主張」がうまくできるのだろう。自分の発言に説得力をもたせ、相手に聞く耳をもってもらえる。人の心を惹きつけ、動かしていける――。なぜ、そんな話術を身につけているのだろうか。  結論からいえば、子ど …

結婚運がない人がやってしまいがちな3つの勘違い

 先日、知り合いのおじさんから、こんな話を聞きました。  「最近、娘が結婚したんやけど、ほとんど旦那の言うことに従ってるみたいやねん。自分の意見と旦那の意見が一致しないときもあるやろ?そのときは、旦那の意見を自分の意見と …

「人は騙せても自分は騙せない」というのは嘘/『限りなく黒に近いグレーな心理術』

 「恐怖管理理論」をご存知だろうか。人は恐怖や不安を感じると、無意識に安心できて楽しいものを求めてしまう――という心理学の理論である。たとえば、中学生が殺害されたニュースを見たあとに、高級車や高級腕時計のCMをみると、多 …

「悩み」の原因は自分にあった/『解決!ナイナイアンサー魔法の言葉』

 私たちは、「自分が信じてきたもの」の逆を示されると間違いなく抵抗する。しかし、今、何かに悩んだり、苦しんだりしているのなら、実はその「信じてきたもの」が間違っている可能性がある。「間違った考え方に洗脳されている」ともい …

愛とは互いに見つめ合うことではない/夫婦円満の秘訣

 愛とは相手に変わることを要求せず、相手をありのままに受け入れることだ。 (ディエゴ・ファブリ)  とはいえ、私たちはパートナーに変わることを求めてしまう。「なぜ、そんなキツイことを言うの?」「なぜ、こんなことをするの? …