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 子どもが言うことを聞かないとき、すぐに「叱って」いないだろうか。「片づけなさい」「宿題をしなさい」「早くご飯を食べなさい」などなど。しかし、独立行政法人青少年教育振興機構の調査によると、実は叱るだけムダだということがわかった。具体的には、叱る子育てをしている家庭とそうでない家庭で、次に示す5つのスキルにまったく差が出ないことがわかったのだ。

  1. コミュニケーションスキル:初めて会った人に自分から話しかけるなど
  2. 礼儀・マナースキル:ありがとう、ごめんなさいを言うなど
  3. 家事・暮らしスキル:洗濯物をきれいにたたむなど
  4. 健康スキル:夜更かしをしないなど
  5. 課題解決スキル:目的達成に向けて努力をするなど

 それだけではない。ビッツバーグ大学教育心理学部のワン・ミンテ准教授の調査結果によると、13歳の子どもに対して両親が叱るしつけを1年間繰り返した場合、落ち込んだり、うつ症状になる確率がそうでない子どもに比べて高いことが判明した。あわせて学校で悪さをしたり、親にウソをついたり、盗みや問題行動を起こす確率も高くなったという。

 このように、言うことを聞かない子どもに対して「叱る」のは、効果がないばかりか、精神的・肉体的な健康を損ねる可能性があることがわかる。では、どうすればいいのだろうか。

 精神科医であるベン・ファーマン氏によると、次の5つのステップで励ませば、声を荒げたり、罰で脅したり、モノで釣ったりせずに、子どもの耳をこちらに向けさせ、納得させることができるという。その5つのステップとは:

  1. コンタクト
  2. リクエスト
  3. メリット
  4. 励まし
  5. 約束

 ステップ①:コンタクト

 まずは子どもの目をこちらに向けさせる。そのために、「ねえ聞いて。少しゲームを置いてお話を聞いてちょうだい」などと声かけをしよう。

 当たり前のことだが、いきなり怒鳴りつけたり、イヤなことを言われたら、子どもは耳をふさいでしまう。なぜなら、この後も間違いなく叱られるからだ。私たち大人だって、そんな話は聞きたくない。だから、まずは耳をこちらに向けさせることが大切になる。

 とはいえ、思春期になると、アイコンタクトをとりたがらないかもしれない。その場合には、運転をしながら、お皿洗いをしながら、食事をしながらなど、何かをしながら会話をするようにしよう。そうすれば、子どもも構えずにすむ。

 ステップ②:リクエスト

 次に、してほしいことをはっきりと伝えよう。たとえば、「おもちゃを箱にしまってほしいのよ」というように。

 なぜなら、子どもに何かを禁止するだけでは、私たちがどうしてほしいのか伝わらないからだ。思いを伝えたいときには「~をやめなさい」と注意するのでなく、その代わりにどうしてほしいのかを具体的に伝えよう。

「うるさい」→「もっと静かに話してちょうだい」
「文句ばかり言わないの」→「何かしてほしいときには、ちゃんと言ってね」
「仲良く遊びなさい」→「友達のおもちゃで遊びたいなら借りてもいいか聞いてからにしよう」

 ステップ③:メリット

 してほしいことを伝えたのなら、その理由やメリットを伝えよう。「お片づけをしてね」とお願いしたのなら、「そうすれば、おばあちゃんが来たときに、あなたのお部屋がきれいで素敵でしょ」など、そのメリットを伝える。

 なぜなら、私たち大人だってメリットがなければ行動できないからだ。そして、メリットがわかれば、子どもたちは親に言われたからではなく、自分の意志で行動できるようになっていく。

 大切なのは、悪い結果ではなく、良い結果を想像させるように話しかけること。たとえば、お礼を言うべきときに、何もいわなかったのなら:

【悪い結果】:「ありがとう」を言わなかったら、みんなから「なんて行儀の悪い子だろう」って思われるわよ!
【良い結果】:「ありがとう」を言える子は、みんなから好かれるし、困ったときにはお友達に助けてもらえるのよ!

 ステップ④:励まし

 とはいえ、どれだけメリットを示したところで、これまでの失敗を思い返して行動できない子どももいるだろう。そんなときには励ましてやる気を引き出す。

 「この前あっという間に片付けたのを覚えている?早くてびっくりしたわ」「これは誰にとっても難しいことだけど、あなたにならできるわよ!」「前にもできたじゃない。大丈夫だよ」などと励ましの言葉をかけよう。

 ステップ⑤:約束

 最後に、約束をして終わる。

 そもそも、「約束」は相手を信頼していないとできないことだ。「約束を守れない人」と約束しようと思う人などいないからだ。だから、子どもと約束することは、「あなたを信じている」と伝えることでもある。ぜひ、約束して終えるようにしよう。

 まとめ

 さて、今回は『フィンランド式 叱らない子育て』を参考に、言うことを聞かない子どもには「叱る」のではなく「励ます」ことが効果的だと伝えてきた。たとえば、子どもが汚い言葉を使ったときには:

  1. ハルくん。
  2. その言葉を使うのはやめよう。ほかの言葉を使ったほうがいいよ。
  3. そのほうがみんなにも言いたいことが伝わるし、
  4. ほかの人たちもあなたのことをもっと好きになってくれる。
  5. 代わりにどんな言葉を使ったらいいと思う?よし。約束だ。

 そうすれば、叱ったときのような精神的・肉体的なダメージを受けることなく、子どもは話を聞くようになるだろう。ちなみに、私の子どもたちにもこのやり方は効果があった。以前に比べて私たちの話を素直に聞き、自分で考えて行動するようになった。ぜひ、お試しあれ。

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