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 シャープや東芝をはじめとする、いわゆる日本の大企業が軒並みダメになっている。なぜだろう。

 2004年にApple日本法人代表取締役をスティーブ・ジョブズ氏から託された前刀禎明氏は、「日本人一人ひとりがセルフ・イノベーション(自己革新)をしておらず、しかもその事実に気づいていないから」だという。

 では、セルフ・イノベーションとは何か。簡単にいえば、「だれの真似もしない」「過去の自分さえも真似しない」ということ。すなわち、人から言われたことをやり続けたり、同じことを繰り返しているようではまったくダメで、つねに変わり続けていく必要があるということだ。そうすれば、「自分だけが持っている価値」を生み出せるようになる。

 しかし、日本では子どもの頃から「セルフ・イノベーションの機会」を奪われてしまいがち。たとえば、今から10年ほど前に、子どもたちに「未来の携帯電話の絵を描いてみよう」というテーマを与え、もし天才的な子どもがキーボードのない電話を描いたとしたら――。大人たちは「○○ちゃん、携帯電話にはボタンがついているものだよ」といったに違いない。

 そんな環境で育った子どもたちが大人になると、どうなるのか。たとえば、次のような問題が起きてくる。

 AppleがiPhoneを発表した1年後、NECの役員は「iPhoneなんてニッチな商品。脅威ではない」と公言していた。その結果、NECは2013年にスマホ事業から徹底せざるを得なくなった。すなわち、同じことを繰り返していた(似たような商品をバージョンアップしてきた)NECの役員たちは、新しい価値を生み出したiPhone(イノベーションを起こした製品)を正当に評価することさえできなかったのである。

 また、こんなエピソードもある。前刀氏がパナソニックの講演に招かれたときのこと。パナソニック製のドアホンの真正面に「Panasonic」というロゴと品番が表示されていることに気づいた前刀氏は、社員に「なぜ?」と聞いてみた。すると、社員は「そこにロゴと品番を入れることが、社内規定で決まっているんですよ」と答えたという。本来、玄関のいちばん目立つ場所にあるドアホンに社名と品番を入れる必要などない。会社にとっては意味があるのかもしれないが、マンションの住人や来客者には不要である。それにも関わらず、「社内規定で」という理由でそのままにしておくのは、思考停止といわれても仕方がない。

 では、どうすればセルフ・イノベーションが起こせるのだろうか。それには、次の三つのステップを実践することだ。

  1. 五感全部で感じ
  2. 自分の頭で考え
  3. 自発的に行動する

 「五感全部で感じる」とは、たとえば美術館では、絵のとなりにある「説明文を読む」のはやめ、「絵そのものを見る」ようにする。絵を自分の目でみて、どう感じ取って、何を思ったのか。そして、それをどう表現するのか――を大切にする。よくわからなければ、わからないままでいい。とにかく、自分の感性を信じるのだ。

 同じように、ベストセラーという理由で本を手にしないこと。自分が知りたいと思うかどうかが判断基準。他人のレビューやランキングなど気にする必要はない。

 「自分の頭で考える」とは、上司からの指示や命令を何も考えずにそのまま受け入れないのはもちろんのこと、テレビから流れてくるニュースや、他人とのふとした会話も含めて、外部から入ってきた情報を一旦疑ってみる。自分で見たり聞いたりしたわけでもなく、さらに深く考えてもいない情報については、意地でも「なるほど、そうなのか」と納得しないことだ。

 そして、「自発的に行動する」とは、自分で決めたことを確実に実行していくということ。どれだけ「自分の頭」で考えたところで、行動しなければ何も変わらない。

 このように、セルフ・イノベーションとは、五感で感じ、想像し、行動して初めて実現できるもの。人の話を聞くだけでは決して実現できない。だから、まずはこのエントリからはじめてみてはどうだろうか。このエントリを読んでどう感じたのか、何を考えるのか、そしてどんな行動を起こしていくのか――。正解、不正解などない。自分で決めて行動を起こしていこう。

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