webstation plus

brothers_02

 日本における自殺の統計情報を見てみると、男女差がとても大きいことがわかります。下図がそれなのですが、パッと見ただけで大差があることがわかりますよね。実は、男性の自殺率は女性の2倍以上もあるのです。

jisaturitu_02

 では、なぜ女性よりも男性のほうが自殺する人が多いのでしょうか。警察庁の統計情報(平成27年中における自殺の状況)によると、男性が自殺する理由として「経済・生活問題」や「勤務問題」が全体の約33%を占めており、しかも同理由で自殺した女性に比べて約8.2倍と圧倒的に多いことがわかります。つまり、会社の倒産や生活苦、失業や仕事疲れなど「仕事関連の悩み」が原因で自殺する男性が多いということです。

 これは、過去を振り返ってみても同じです。1997年以降、男性の自殺率が跳ね上がっていることがわかりますよね。これは、1997年頃から多くの企業がリストラを始め、一部の企業が倒産に追い込まれた年だからです。

 しかし、残念なことに、今後も日本が経済成長する可能性は低いといわざるを得ません。少子高齢化が進む日本では、多くの市場が縮小傾向にあるからです。それにも関わらず、「仕事がすべて」「会社に頼った生き方」をしていては、ますます自殺に追い込まれる男性が増えることになるでしょう。

 そこで、「会社以外にも自分の居場所」を持つ必要が出てくるわけです。

 「ワーク・ライフ・ソーシャル」の3つの居場所をもとう

 三井物産ロジスティックス・パートナーズ株式会社の代表取締役である川島高之さんは、著書『いつまでも会社があると思うなよ!』で、「ワーク・ライフ・ソーシャルの3つの居場所をもとう」と提案されています。具体的には:

  • (お金を得る)仕事「ワーク」に、最大限の努力をする
  • 子育てなど「ライフ(プライベート)」に、しっかりと時間を取る
  • 地域活動や社会貢献など「ソーシャル」に、コミットした活動をする

 そうすれば、たとえ「仕事関連の悩み」で苦しむことになったとしても、自分の居場所があるという安心感が生まれ、人生の幸福度が上がります。さらには「ビジネスパーソンとしての仕事能力まで飛躍的に向上する」といわれています。なぜでしょうか。

なぜ、人生の幸福度が上がるのか

 ひとつは、先ほども説明したように、たとえ職場で居場所を失ったとしても、他の居場所があるという安心感が生まれるからです。たとえば、子どものために野球のコーチをしながら、PTAの役員に就いたとしましょう。すると、仕事以外にも「親」として、「野球のコーチ」として、「PTAの役員」としての居場所ができます。

 もちろん、仕事を失えば、経済的な不安に悩まされることになるでしょう。しかし、「自分には生きる価値などない」と思わずにはいられそうですよね。少なくとも、子どもやPTAからは必要とされているのですから。

 また、「人生は一度きり」です。せっかく生まれてきたのですから、仕事一点張りの人生よりも、親として、パートナーとして、子どもとして、そして地域社会の人間として…と、いろいろな役割を楽しんだほうが、人生が豊かになると思いませんか。

 このような理由で、会社以外にも居場所をもったほうが「人生の幸福度」が高まるわけです。

なぜ、ビジネスパーソンとしての仕事能力が飛躍的に向上するのか

 子育ての経験がある方はお分かりだと思いますが、10歳未満の言葉数も少ない幼児や学童に、こちらの考えを伝えるコミュニケーションは本当に難しいですよね。叱り飛ばせばいいというものではないからです。

 同じように、PTAの女性たち、少年野球のコーチのおっさんたち、学校の先生方、町内の長老などとは、価値観や共通語が異なるので、コミュニケーションをとるだけでもひと苦労。しかし、こうした苦労こそがコミュニケーション力を飛躍的に向上させます。

 もちろん、コミュニケーション力だけではありません。たとえば、NPOや地域社会での活動(PTA活動もそのひとつ)では、自分で手をあげさえすれば、いつでもプロジェクトリーダーになれます。すると、組織運営力や人脈、視野や多様性といったビジネスパーソンに求められるスキルが飛躍的に向上することが容易に想像できますよね。

 一方、会社では若手に大きな仕事を任せない傾向が強まっています。不況の煽りもあり、失敗できない状況に追い込まれているからです。このような状況を考えると、会社でダラダラ残業している時間がもったいないと思いませんか。

 最後に

 というわけで、私も「ワーク・ライフ・ソーシャル」の3つの居場所がもてるように挑戦することにしました。具体的には、「ライフ」は子育て、「ソーシャル」は町内の月1回の集まりに顔を出すことにしたのです。

 すると、少しずつですが、人脈が広がったり、視野が広がったりしています。これまで付き合ったことのない異業種の人たちや幅広い年代の人たちとの交流は本当に新鮮です。世の中にはいろいろな人がいるんだなぁ…という気づきにもなりました。

 また、そうした方たちの話を聞くと、「自分だけがツライ思いをしている」なんて妄想に取りつかれずにすみます。「死にたい」なんて思わずにいられそうです。だからこそ、時間をつくって「ワーク・ライフ・ソーシャル」の3つの居場所をもってみてはどうでしょうか。私も引き続き挑戦していきます。

 関連記事

「不労所得」という名の花見酒には毒がある

 落語にこんな話がある。酒屋の番頭からお酒を借りて商売をしようとした二人の幼馴染がいた。花見シーズンだったので、花見の場所に行きさえすれば必ずお酒が売れると二人は考えていたのである。酒飲みは、酒がなくなるとすぐに飲みたく …

35歳から始まる「第二の人生」を楽しむためのチェックリスト5つ

 35歳という年齢は、第二の人生のスタート地点だといわれています。  たとえば、仕事。「転職35歳限界説」が巷でささやかれているように、35歳を過ぎると転職のハードルが高くなり、よほどスゴイ専門性があるか、あるいはマネジ …

「必要とされる人」になろう/『ローマ法王に米を食べさせた男』

 この世界には3種類の人間が存在する。それは、「いてはいけない人」、「いてもいなくてもいい人」、そして「いなくてはならない人」だ。  できることなら、「いなくてはならない人」「必要とされる人」になりたい――と、誰もがそう …

人気の吉本芸人が考える「売れる秘訣」とは!?

 「お笑い芸人になりたい」「小説家になりたい」「ハンドメイド作家として活躍したい」…などなど、夢を実現するために挑戦している人は大勢います。しかし、そのなかで成功できるのは、ほんの一握りの人たち。  では、成功できる人と …

「グーグルの働き方」が当たり前の時代がやってくる

 グーグルの社員は、実力がある人たちばかりだと言われていますよね。たとえば、35歳でグーグルに転職し、グーグルマップに写真を組み込むプロジェクトを牽引した徳生健太郎さんは、  「グーグルに入社したときは、本当に衝撃を受け …

なぜ、彼らは「どん底」から這い上がれたのか

 仕事やプライベートで、「どん底だ!」と思ったことありませんか?  私はあります。つい先日も仕事が思うように進まず、上司から叱られたときに、どん底だと思っていました。しかし、私が思うどん底なんて大したことがないんですよね …

「仕事ができない人」が「できる人」になる方法/『仕事をしたつもり』

 毎日忙しく仕事をしている。まわりもそれを認めていて、非難する人はいない。それなのに、成果がでない。なぜだろう。  結論からいえば、いまの業績の8割以上は、働いているうちの2割程度であげることができ、残り8割の時間は、ほ …

「仕事がつまらない」ときの対処法は3つしかない

 仕事がつまらない。そんな状況に陥ったとき、私たちが取れる対処法は3つしかありません。 転職する 仕事以外の何かにのめりこむ 目の前にある仕事で実績をつくる  まず、一つ目の「転職する」という選択ですが、「仕事がつまらな …

ビジネス書を100冊読んでも99%の人が成功者になれない

 私たちは、なぜ読書をするのでしょうか。  「自己投資になるから」「想像力がつくから」「センスが磨かれるから」「本質を見抜く力が養えるから」「日本語力が上がるから」「教養が身につくから」「面白いから」「現実逃避になるから …

なぜ、優秀な社員が「追い出し部屋」に追い込まれるのか

 『切り捨てSONY』を読み終えるまでは、「リストラ部屋(追い出し部屋)に追いやられた人=仕事ができない人」だと思っていました。  しかし、そうではない人たちも大勢いるんですよね。すなわち、優秀な人たちも「リストラ部屋」 …