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 世の中には、私たち凡人には想像もつかないような生き方をしている人たちがいる。『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』の著者である河合江理子さんもそのひとり。彼女の経歴をみれば、そのチャレンジ精神に驚くことになるだろう。

 河合さんはハーバード大学を卒業後、野村證券に入社するも1年で退社。当時は女性を「お茶汲み」や「男性の補助業務をさせる要因」として扱っていたので、彼女にはそれが我慢できなかったのだ。

 しかし、他の日本企業に転職しても女性の扱いは大差ない。そこで彼女は、フランスのビジネススクール(INSEAD)に通うことを目指すのだが、学費がなかったため、まずは外資系ベンチャー企業に転職する。週末は通訳のアルバイト、週2回の夜は語学学校でフランス語を習いながらINSEADを目指した。その結果、1年半後に見事合格する。

 INSEADを卒業した河合さんは、マッキンゼーのパリオフィスに入社。以降、イギリスのウォークバーグ銀行、フランスの証券リサーチ専門会社など、金融に関わる仕事に携わっていく。

 もちろん、これだけでは終わらない。河合さんの夫がポーランドに異動することなったのをキッカケに、彼女もポーランドにある山一證券の合弁会社に転職する。しかし、山一證券が倒産したため、スイスのBIS(国際決済銀行)に国際公務員として転職した。

 BISといえば、福利厚生がよく、年金が多くもらえることで有名で、多くの人たちがそこで働くことを望んでいた。しかし、一方で変化を嫌う風潮があり、決められた枠組みのなかで一生、何の変化もない仕事をすることへの退屈さと絶望感から心の病をわずらってしまう人もいた。

 河合さん自身も、なんとか仕事以外で自分を満たそうと、テニスやヨガをしたり、エッセーを書き始めたりしたそうだが、どうしてもやりがいが見出せない。しかし、BISからも抜け出せない。なぜなら、1度ぬるま湯につかってしまうと、抜け出せない理由を探してしまうからだ。

 とはいえ、安定を求めることほど退屈なものはなく、ましてや、これからの時代、安定はリスク以外の何ものでもない。日々の仕事に成果を見出すことができず、続ければつづけるほど出口が見えなくなっていく不安に悩まされるようなら、環境が変わらない以上、残り続けることではなく、そこから抜け出すしかない。このことに気づいた河合さんは、「自分の小さな鳥カゴ」から飛び立つ決意をし、フランスのOECD(経済協力開発機構)に転職する。

 さらに、彼女は「複雑化する国際社会のなかで日本のために議論できる人材育成に関わりたい」と考えるようになり、京都大学に転職。現在は、京都大学大学院総合生存学館(思修館)で教鞭をとっている。

 このように、彼女は自分の本心に忠実に、目標を見つけたらそれを絶対に手放さずに追い続けてきた。その結果として、他の人たちにはマネできないようなキャリア、つまり成功を手に入れたのである。

 さて、私たちは「安定」を手に入れるとどうしてもそれを手放したくなくなる。どれほど仕事がつまらなくても、たくさんのお金が手に入る安定した職業を選んでしまいがちだ。しかし、河合さんのように自らの本心に忠実に行動したほうが成功する確率は高まる。実際、あるビジネススクールの学生1500人を対象にした調査結果では、「安定した職業を選ぶ」と答えた学生よりも、「今すぐ夢を追いかける」と答えた学生のほうが、圧倒的に大富豪になっている確率が高かった。

 すなわち、相対的に恵まれた環境にいて、失うものが大きくなるほど、そこから飛び出せなくなるという落とし穴があるが、そこにいたらダメだという危機感があるのなら、今すぐ飛び出したほうがいい。そうしなければ、一生自分の小さな鳥かごのなかで暮らすことになるからだ。だから、ぬるま湯につかっているようなら、今すぐそこから飛び出そう。

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