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 ある日、船を下りて波止場を歩いていた松下幸之助氏は、いきなり大男にぶつかられて海に落ちてしまった。このとき一緒にいた秘書が、「社長、大丈夫ですか。私が文句を言ってきますよ」といったところ、幸之助氏は「ああ、夏でよかった」と答えたという。

 そして、「馬鹿者。今から文句を言ったからといって、私は海に落ちないで済んだのか。海に落ちないで済むのなら、いくらでも文句を言いに行く。だが、そんなことはありえない。いまさら文句を言ったところで私が海に落ちたという事実は何も変わらないじゃないか。先を急ぐぞ」と続け、濡れたスーツを手で払いながら、さっさと歩きだしたそうだ。

 このように、偉人とよばれる人たちの多くは、怒ってもムダなことに対しては怒らない。なぜなら、変えられない事実に対して怒るよりも、未来の仕事に向かっていくほうが得することを知っているからだ。

 では、どうすれば松下幸之助氏のように、無駄なことに怒らずにいられるのだろうか。結論からいえば、次の三つに気付くことだ。

  1. 命と時間には限りがある
  2. 人生は思い通りにいかない
  3. 苦悩と喜びはパッケージ

 私たちの人生は、たった八十年程度の時間しかない。それなら、たとえ一秒といえども、無駄にするのはもったいない。得られる成果が変わらないのなら、イライラしたり、怒ったりしないほうが得である。

 また、「怒る」といった強いストレスを受け続けると、胃潰瘍や高血圧、糖尿病、不眠、膠原病、ガンといった病気につながっていく。すなわち、すぐ「怒る」人ほど早死にしてしまうのである。これでは「怒る」ほうが損をしてしまう。

 さらに、目先でゴネた人が瞬間的に得をすることがあっても、長い目でみれば必ず損をしている。なぜなら、人間は結果ではなく、プロセスから学び成長していく生物だから。プロセスを省略して結果だけ得ても、その後の人生が実りあるものにはならない。だから、「命と時間には限りがある」ことに気付いて怒らない方が得をする。

 では、二つ目に気付いておきたいこと。それは、そもそも「人生は思い通りにはいかないもの」だということだ。たとえば、ゴルフ。ゴルフといっても、自分がイメージしたとおりにボールを打てることなどほとんどない。だからこそ、自分の求めている成果が得られたときに「楽しさ」を感じられる。

 だから、思い通りにいかないからといって怒っていては損をする。すなわち、妥協することは決して悪いことではないということだ。ただし、妥協を一つでも減らしていこうとする努力は必要である。一日に八つ妥協しているのなら七つに、七つ妥協していたら六つにしていく。そうすれば、少しずつできることが増えていくだろう。

 そして三つ目。「苦悩と喜びはパッケージ」であるということ。すなわち、失敗や苦しみを乗り越えていくからこそ、喜びが感じられるのである。先ほど説明したとおりだ。

 そうして、失敗や苦しみを乗り越えていけるようになれば、失敗や苦しみに対する免疫力がつく。すると、大きなアクシデントに出会っても対処できるようになる。失敗を怖れず、苦しみを乗り越えていくことができる。すなわち、新しいことにチャレンジできるようになるということだ。

 こうして、松下幸之助をはじめとする偉人たちは、怒っても無駄なことに対しては怒らないようにしている。その方が時間が増え、免疫力が高まり、新しいことに挑戦できるようになるからだ。もちろん、「怒る」意味があることに対しては怒るべきだろう。しかし、怒っても無駄なことに対しては、怒らない方が得をする。自分のためになる。

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