意外性と機知に富んだ物語はお好きですか?
私はそういった物語が大好きなので、東野圭吾さんの小説『素敵な日本人』は一気読みしてしまいました。
「読書は、もっと優雅なものでもあるのです」と帯に書かれていましたが、一気読みしてしまったんですよね。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- ラストで驚ける物語が好きな人
- 意外性と機知に富んだ短編が読みたい人
- タイトルに込められた意味を考えてみたい人
- 東野圭吾さんの小説が好きな人
あらすじ:下着姿で神社で倒れていた町長の謎に迫る物語
子供たちが独立し、夫婦二人きりになった前島達之と康代夫婦は、お正月の朝に近所の神社に初詣に行きました。
そこで、お賽銭箱の前で倒れている男性を見つけます。
はじめは酔っ払いかと思っていた前島夫婦でしたが、倒れていたのは町長でした。
前島夫婦はすぐに警察に通報しましたが、やって来た警察官は「新年会があるのに」「正月なのに」と面倒くさがるばかりです。
神社の宮司もお賽銭が少ないとぼやいてばかりいます。
そんな彼らの姿を見ていると、前島夫婦の決意は揺らぎました。
彼らがお正月に立てた決意とは…。という物語が楽しめるミステリー小説です。
感想①:ラストで驚ける短編が楽しめる
『素敵な日本人』は、あらすじで紹介した『正月の決意』を含めて、全部で9つの短編で構成されています。
どれもラストで驚ける物語なので、一気に読みたくなるんですよね。
他の短編について簡単に紹介していくと、
- 大好きだった女性から何の前触れもなく、突然別れを切り出された作家の峰岸が、10年ぶりに彼女から「会えませんか?」と誘われる物語
- 娘が結婚することになり、気むづかしい姑と同居してくれた亡き妻に思いを馳せていた三郎が、実は妻が密かな楽しみを見つけて暮らしていたことを聞かされる物語
- 合コンで出会った女性がどうしてもカラーコンタクトを外さない物語
- エリーという女性が本物そっくりのロボットの赤ちゃんをレンタルする物語
- 裏の仕事を引き受けている俺が現場で家主と鉢合わせになり、思わず殺してしまう物語
- 青色の毛を持つ珍しい猫の交配に、なぜか未久だけが成功する物語
- 日本屈指の女流脚本作家・樅木弥生と付き合っていた劇団の看板役者である黒須が、若い女性と浮気をしたので、弥生を殺そうとする物語
伊坂幸太郎さんの小説『ジャイロスコープ』では、異なるジャンルの短編が楽しめましたが、

この物語では、どれもラストで驚ける短編が楽しめました。
感想②:意外性が楽しめる
この小説では、どの短編でも意外性が楽しめる構成になっています。
夢中になってイッキ読み。寝不足必死のサスペンス。それもいいけれど、読書は、もっと優雅なものでもあるのです。
と帯にも書かれているように、短編集なのにじっくりと楽しめるミステリー小説です。
とはいえ、意外性と機知に富んだ短編なので、ついつい一気読みしてしまったんですよね。
たとえば、劇団の看板役者である黒須が、日本屈指の女流脚本作家・樅木弥生をマンドラの毒で殺そうとする物語では、
アリバイ工作をして弥生に毒を飲ませることに成功した黒須でしたが、その後のクリスマスパーティーで弥生の姿を見かけます。
「一体どうなっているの!?」という思いが沸き上がってきて、続きが気になってページをめくる手が止まらなくなります。
もちろん、他の短編も意外性のあるものばかりです。
池井戸潤さんの小説『不祥事』では、主人公・花咲舞の見た目の美しさからは想像できない意外性のある性格に惹きつけられましたが、

この物語では意外性のある物語にグイグイ惹き込まれました。
感想③:タイトルに込められた意味を考えたくなる
さて、この小説のタイトル『素敵な日本人』には、どのような意味が込められているのでしょうか。
実は『素敵な日本人』というタイトルにも関わらず、素敵な日本人はあまり登場しません。
あらすじで紹介したダメ警官やダメ宮司のような人物ばかり出てきます。
ということは、笑小説シリーズのようにタイトルに皮肉が込められているのでしょうか。
とはいえ、娘が結婚することになった三郎の亡き妻は、自分なりに楽しみながら苦難を乗り越えてきた本当に素敵なお嫁さんでした。
そんな彼女のことを『素敵な日本人』と言っているのでしょうか。
それとも、お正月や雛祭り、クリスマスなどの四季折々の風物を楽しむ日本人を素敵と言っているのでしょうか…。
などなど、タイトルに込められた意味を考える楽しさも味わえる物語です。
まとめ
今回は東野圭吾さんの小説『素敵な日本人』のあらすじと感想を紹介してきました。
意外性と機知に富んだ短編が楽しめる小説なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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