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 仕事ができると自慢していませんか?

 私はそれほど仕事ができると思っていないので自慢しませんが、私のまわりにも仕事ができると自慢してくる人がいます。

 しかし、東野圭吾さんの小説『新参者』を読んで、仕事ができないからこそ自慢してくることに気づきました。

 本当に仕事ができる人は、自慢しなくても周りが勝手に気づくんですよね。

 日本橋署に着任したばかりの加賀恭一郎の物語

 では、あらすじから。

 あることがきっかけで警視庁から日本橋署に異動させられた加賀は、警視庁の人間と組んで殺人事件の調査をしていました。

 その事件とは、独り暮らしの45歳の女性が自宅マンションで首を締められて殺されているのが見つかったというもので、部屋が荒らされていなかったことから、顔見知りの犯行だと思われていました。

 しかし、加賀は所轄の刑事ということもあり、殺人事件よりも、そのまわりで起きた不可解な事件を調査します。

 保険外交員である田倉のアリバイ調査もそのひとつ。

 田倉は被害者の家を訪れた後、煎餅屋に寄ってから会社に戻り、帰宅したと証言していましたが、それだと空白の30分がうまれ、犯行を行うことができました。

 そこで加賀は、煎餅屋に行き、娘の菜穂と祖母の聡子に話を聞きます。菜穂の母は彼女が小学校に入る前に交通事故で亡くなっており、彼女たちは父の文孝と3人で暮していました。

 そして、元気だと思っていた聡子が2ヶ月ほど入院したので、保険外交員の田倉に入院給付金の手続きをしてもらったというのですが…。

 加賀は、田倉が煎餅屋を訪れたときにスーツの上着を着ていたことを聞き、あることに気づきました。加賀が気づいたこととは…。

 事件によって傷つけられた人たちの問題を解決していく

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、加賀恭一郎は所轄に異動してもクサることなく仕事をしていました。

 むしろ、殺人事件そのものよりも、事件によって傷つけられた人たちも被害者だと考え、彼らの傷を癒すために真実を明らかにしていくんですよね。

 先ほど紹介した煎餅屋の物語以外にも、

・夫の浮気に悩む女将
・嫁姑問題に悩む瀬戸物屋
・娘を勘当した時計屋の親父

 といった事件とはまったく関係のない家族の問題を解決していきます。

 もちろん、被害者家族やその友人に起きた問題も解決していきますが、それだけでなく、警視庁の刑事が抱えていた過去まで解決するんですよね。

 そんな加賀恭一郎の姿を見ていると…。

 仕事ができる人ほど自慢をしない!?

 本当に仕事ができる人は自慢することなく仕事に向き合っていることがわかります。自分に与えられた仕事だけでなく、他の仕事も次々と成し遂げていくんですよね。

 だからこそ、自慢しなくても、周りが勝手に気づくのです。

 というわけで、東野圭吾さんの小説『新参者』は、仕事ができる人ほど自慢しないことがわかる物語ですが、それだけでなく、

 次々と謎が提示されるミステリーとしても、最後に驚きが待っている物語としても、加賀恭一郎の優しさに胸が熱くなる物語としても楽しめるので、

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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