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 一年前の自分と比べて成長していますか?

 私は一年前と比べてブログを書くスピードが劇的に速くなりましたが、米澤穂信さんの小説『遠回りする雛』の主人公も大きく成長していました。

 省エネ主義の奉太郎が千反田えるのために自ら行動を起こそうと思うようになるんですよね。

 学校の噂話の謎を奉太郎が解く!?

 では、あらすじから。

 奉太郎とえるが出会って間もない頃。えるは、放課後の音楽室でピアノがひとりでに音楽を奏でていたという噂話に興味を持っていました。

 ある女生徒が音楽室から流れてくるピアノソナタ『月光』を聴き、その演奏があまりにも素晴らしかったので賛辞を伝えようと音楽室に入ったところ…。

 ピアノの前には誰も座っていなかったのです。それだけでなく、部屋の隅にはぐったりとして目が血走った女生徒がいました。一体どういうこと!?

 えるはこの謎を解き明かして欲しいと思って奉太郎に話しかけたところ、奉太郎は里志を促し、別の噂話をえるに聞かせました。

 その噂話は、「秘密倶楽部の勧誘メモ」というもので、毎年どこの部活かわからない勧誘ポスターが貼られていると言います。

 ノートの切れ端みたいな紙に集合場所と日時だけが書いてあるのですが、活動目的は不明で、どういう生徒が入れるのかもわかりません。

 わかっているのは「女郎蜘蛛の会」という名前だけです。

 そこで奉太郎は、この噂話に興味を持ったえると一緒に謎解きに向かうのですが、なぜ奉太郎はこの謎を解くことにしたのか!?

 奉太郎の成長を描いた短編集

 この謎の答えは実際に本書を読んでもらうとして、米澤穂信さんの小説『遠回りする雛』は全7篇で構成されている短編集です。

 ここで他の6編について簡単に紹介しておくと、

・えるが数学の先生と口論をしたのはなぜ?
・民宿で首吊りの影がぼんやり浮かんだのはなぜ?
・教頭の柴崎が放課後に緊急で生徒を呼び出したのはなぜ?
・納屋に閉じ込められたえると奉太郎はどうやって抜け出すのか?
・摩耶花のバレンタインチョコを盗んだ犯人は誰?
・生きた雛人形を遠回りさせたのは誰?

 です。えると奉太郎が出会った頃から、その一年間がそれぞれの短編で描かれているのですが、

 最初は省エネ主義を貫いていた奉太郎も、最後の短編では自らえるの手伝いを申し出ようとするんですよね。

 そんな奉太郎の姿を見ていると…。

 一年で人は大きく成長する

 一年で人は大きく成長することに気づき、自分も一年後には成長していたいって思えてきます。

 もちろん、米澤穂信さんの小説『遠回りする雛』は、誰も死なない青春ミステリーとしても、古典部シリーズの続編としても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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