解決できない問題で悩むのは時間のムダだと思っていませんか?
私はそう思っていましたが、東野圭吾さんの小説『真夏の方程式』を読んで考えが変わりました。
たとえ解決できない問題だとしても、問題によっては人生をかけて悩み続けることに価値があることに気づけたんですよね。
湯川准教授の優しさに涙なしでは読めない物語です。
湯川と同じ旅館に泊まった男性が死体で発見される!?
では、あらすじから。
物語は、恭平という少年が夏休みを利用して玻璃ヶ浦にある伯母一家が経営する旅館に向かうところから始まります。
恭平はその途中の電車で居合わせた老人から携帯電話を使うなと理不尽に怒られましたが、このとき彼を助けたのが湯川准教授でした。
湯川は、玻璃ヶ浦の海底からレアメタルなどの鉱物を掘り出そうとする企業・デスメックのアドバイザーとして呼ばれていたのです。
そして、恭平少年との出会いがキッカケで、彼の伯母一家が経営する旅館に泊まることにしたのですが…。
その翌日。もう一人の宿泊客が堤防下の岩場で死体となって発見されます。最初は転落死と思われましたが、その後の調べで他殺の可能性が浮かび上がってきました。
それだけでなく、亡くなったのは塚原という名の元警察官で、16年前に彼が殺人犯として逮捕した仙波英俊の消息を探していることがわかります。
さらに、これまで積極的に捜査に協力したことのない湯川が、なぜかこの事件に首を突っ込み、自らの意志で事件を解決しようと動きはじめました。
その理由は…。
悩むことに価値がある
誰かの人生がねじ曲げられようとしている
からでした。ネタバレになるので、あまり詳しくは書きませんが、この事件の背景には驚くような過去とトリックが隠されていたのです。
しかも、この事件のトリックは解けば良いというものではありませんでした。単純に謎を解き明かすだけでは、湯川が言うように誰かの人生がねじ曲げられてしまいます。
そこで湯川はこれまで非協力的だった捜査に自ら乗り出したんですよね。
さらに、湯川は事件の謎を明らかにした後、ある人物にこんなセリフを言います。
どんな問題にも答えが必ずある。だけどそれをすぐに導き出せるとはかぎらない。人生においてもそうだ。今すぐ答えを出せない問題なんて、これから先、いくつも現れるだろう。そのたびに悩むことに価値がある。しかし焦る必要はない。答えを出すためには、自分自身の成長が求められている場合も少なくない。だから人間は学び、努力し、自分を磨いていかなきゃいけない。
さらにこの後にも感動のセリフが続くのですが、ネタバレになるので気になった方は、実際に読んでみてください。
湯川の優しさに涙なしでは読めない物語
とにかく、東野圭吾さんの小説『真夏の方程式』は、たとえ解決できない問題だとしても、問題によっては人生をかけて悩み続けることに価値があることを教えてくれる物語です。
それだけでなく、子供嫌いな湯川が恭平から「はかせ」と呼ばれて彼と仲良くなっていく姿が微笑ましくなる物語としても、
最後に驚きの結末が待っているミステリーとしても、湯川の優しさに涙なしでは読めない物語としても楽しめるので…。
気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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