この前のエントリで「導関数の公式」を自力で求めるときに必要な「二項定理」を紹介しましたが、今回は導関数…つまり微分の紹介です。

微分は「瞬間の変化率」を求めるときに役立ちます。
たとえば、ある時刻における新幹線の瞬間速度や、ある動画の画素の輝度変化を捉えたりするときに役立つんですよね。
そこで今回は、『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』を参考に、微分と導関数の公式の求め方について紹介します。
微分って何?
微分は「瞬間の変化率」を捉えるときに役立ちます。
たとえば、新幹線のある時刻における瞬間速度を求めたい場合、式は以下のようになります。
速度(\(v\)) = 位置の変化(\(x\)) / 時刻の変化(\(t\))
小学校で習った「おはじき」を思い出せば簡単ですよね。
しかし、このままでは平均速度になってしまいます。そこで瞬間速度が求められるように式を変形します。
たとえば、「位置」が「\(t^2\)」に従って変化する場合(位置が時刻の2乗に従って変化する場合)、「時刻」が\(t\)から\(t+h\)まで変化すると、速度\(v\)は次の式で求められます。
\begin{align*}
v & = \frac{(t+h)^2-t^2}{(t+h)-t} \\
& = \frac{t^2+2th+h^2-t^2}{t+h-t} \\
& = \frac{2th+h^2}{h} \\
& = 2t+h \\
\end{align*}
ここで、「瞬間の変化率を捉えたい」ということは、「時刻の変化量\(h\)を極力\(0\)に近づけたい」ということですよね。
そこで先ほどの計算結果「\(2t+h\)」の\(h\)に\(0\)を代入します。その結果、「\(2t\)」が求められましたが、これが時刻\(t\)における瞬間速度です。
つまり、「\(t^2\)」を\(t\)で微分すると「\(2t\)」になるということです。
微分の公式「\(x^n\)」を\(x\)で微分すると、「\(nx^{n-1}\)」(\(n\)を係数に下して、指数を\(-1\)する)と同じ結果が導けました。
では、この微分の公式(導関数の公式)はどうやって導かれたのでしょうか?
微分(導関数)の公式を自力で求めてみよう
先ほど、新幹線のある時刻における瞬間速度を求めましたが、
それと同じように、\(f(x)=x^n\)の場合における「\(x=a\)」から「\(x=a+h\)」まで変化したときの「瞬間の変化率」を求めてみましょう。
$$f'(a)=\lim_{h \to 0} \frac{f(a+h)-f(a)}{h}=\lim_{h \to 0} \frac{(a+h)^n-a^n}{h}$$
ここで、\(\lim_{h \to 0}\)は、\(h\)を\(0\)に近づけていくことを意味しています。
さて、この式を何も変形せずに解くのは難しいですが、この前のエントリで紹介した「二項定理」を使えば解けそうですよね。
ここで改めて二項定理を紹介しておくと、
\begin{align*}
(a+h)^n & = _n C _0a^n+_n C _1a^{n-1}h+_n C _2a^{n-2}h^2+\cdots+_n C _nh^n \\
& = a^n+na^{n-1}h+\frac{n(n-1)}{2}a^{n-2}h^2\cdots+h^n
\end{align*}
というものです。この二項定理を先ほどの式に代入すると、
\begin{align*}
f'(a) & = \lim_{h \to 0} \frac{(a+h)^n-a^n}{h} \\
& = \lim_{h \to 0} \frac{\{a^n+na^{n-1}h+\frac{n(n-1)}{2}a^{n-2}h^2\cdots+h^n\}-a^n}{h} \\
& = \lim_{h \to 0} \frac{na^{n-1}h+\frac{n(n-1)}{2}a^{n-2}h^2\cdots+h^n}{h} \\
& = \lim_{h \to 0} \{na^{n-1}+\frac{n(n-1)}{2}a^{n-2}h\cdots+h^{n-1}\}
\end{align*}
となり、\(h\)に\(0\)を代入すると、\(na^{n-1}\)となります。
微分の公式である\(f(x)=x^n\) ⇒ \(f'(x)=nx^{n-1}\)を求めることができましたね。
まとめ
今回は、『数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて』を参考に、微分と導関数の公式を自力で求める方法について紹介してきました。
微分は「瞬間の変化率」を捉えることができるので、速度や加速度を求めるときに役立ちますが、それだけでなくディープラーニングの数式を理解するときにも役立つので、ぜひ覚えておきましょう。
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