webstation plus

(※『マスカレード・ナイト』表紙より)


 一流と呼ばれる人たちは、異業種の仕事でもすぐにできるようになりますよね。

 たとえば、ホリエモン。ITという得意分野を活かしながら、食やエンタメ、ロケット事業などにも参入しています。

 ビートたけしさんや松本人志さんもそうです。お笑いだけでなく、映画監督やコメンテーター、小説家としても活躍されています。

 では、なぜ一流の人たちは異業種の仕事でもすぐに成果が出せるのでしょうか。

 東野圭吾さんの小説『マスカレード・ナイト』のあらすじとおすすめポイントを紹介しながら考えてみたいと思います。

 ※ビートたけしさんの小説もあわせてどうぞ

 『マスカレード・ナイト』のあらすじ

 練馬区で独居女性が殺害されます。通報してきたのは警察も通報者を特定できない匿名通報ダイアルでした。

 なぜ通報者は女性が殺害されたことを知っていたのか――誰もが不審に思うなか、警察庁に一通の手紙が届きます。そこにはホテル・コルテシア東京のカウントダウンパーティに犯人が現れると書かれていました。

 そこで再び新田がホテルクラークとなって潜入捜査をすることに。

 通報してきた人物は誰か、手紙の差出人は誰か、犯人は一体誰なのか――。今再び仮面舞踏会の幕が開きます。

※前作を読まれてない方はこちらから

シリーズ第1弾『マスカレード・ホテル』

シリーズ第2弾『マスカレード・イブ』

 『マスカレード・ナイト』のおすすめポイント

1. 前作よりもエンタメ性が強化

 物語の舞台は前作と同じホテル・コルテシア東京。ということで、怪しいお客様が次から次へと現れます。

 そんなお客様にコンシェルジュに昇進した尚美が接客するのですが、「お客様からの無理難題をどのように解決していくのか」が気になり、物語に惹き込まれていくんですよね。

 たとえば、あるお客様は「レストランを貸し切りにしてプロポーズをしたい」と要求してきます。一方で、そのプロポーズ相手からは「プロポーズは断りたいけれど、相手との関係は続けていきたい」と相談されます。どう考えても無理な話ですよね。

 他にも一目惚れした女性と食事をしたいとか、夫の誕生日に食品用サンプルのケーキを用意してほしいなど、次から次へと難題が押し寄せてきます。

 これらの難題に尚美はどう立ち向かうのか?

 犯人探し以外の謎解きも楽しめるミステリー小説です。

2. プロの仕事ぶりがよくわかる

 この物語の面白いポイントは、刑事の新田がホテルクラークの仕事をそつなくこなすところです。

 一方の尚美も刑事の仕事をよく理解しており、事件解決につながる助言をしていました。

 では、なぜ彼らは異業種の仕事に精通しているのでしょうか。

 それは互いの共通点をよく理解しているからです。

 ホテルクラークと刑事。「お客様を信頼する立場」と「疑う立場」。正反対で共通点がないように思えますが、共に人を見る目がなければ仕事になりません。

 たとえは、不倫をしていることを見抜けなければ、コンシェルジュとしてお客様のプライバシーを守ることが出来ないように、刑事としては犯人の動機を解き明かすことができません。

 つまり、違う職種でも共通点は多々あるのです。だからこそホリエモンやビートたけしさん、松本人志さんといった一流の人たちは異業種の仕事でも成果が出せるんですよね。

 何かひとつを極めることが一流への道だと教えれくれる物語です。

3. ラストで悲しい事実が明らかに

 あらすじでも紹介したように、独居女性が殺害されます。電気コードを使って感電死させられたのです。しかも彼女は妊娠していました。

 ところが、どれだけ捜査を進めても男性とお付き合いをしている形跡が見つかりません。その代わり、ボーイッシュな服装を好んでいた彼女の部屋から多くのロリータファッションが見つかりました。

 一体、どういうことなのか?

 一方で、匿名での情報提供者は明らかに犯人を知っています。それにも関わらず、犯人を特定する手がかりは教えてくれません。教えてくれるのは犯人が現れる場所だけ――。

 これらの謎が解き明かされたとき、悲しい事実が浮かび上がってきます。脅くこと間違いなしの物語です。

 最後に

 東野圭吾さんの小説『マスカレード・ナイト』。読めば、ミステリーとエンタメ系の謎解きに惹きこまれるだけでなく、自分も何かのプロになろうと思えること間違いなし!?

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 関連記事

自分らしく生きるとは?柚木麻子『BUTTER』は首都圏連続不審死事件をテーマにした小説

(※『BUTTER』表紙より)  柚木麻子さんの小説『BUTTER』。  首都圏連続不審死事件をテーマに、なぜ木嶋早苗(作品内では梶井真奈子として登場)に多くの人たちが注目したのかを、その背景と共に描いた小説です。  読 …

離婚はイヤ!?滝口悠生『茄子の輝き』は妻を大切にしようと思える小説

(※『茄子の輝き』表紙より)  滝口悠生さんの小説『茄子の輝き』。  数年前に妻と離婚した男性があれこれ過去を振り返る物語です。読めば「妻を大切にしよう!」と思うこと間違いなし!?  今回は『茄子の輝き』のあらすじとおす …

本当の恋をしていますか?知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』は心揺さぶられる恋愛ミステリー小説

(※『崩れる脳を抱きしめて』表紙より)  知念実希人さんの小説『崩れる脳を抱きしめて』。  研修医の碓氷蒼馬(うすい そうま)が、脳に爆弾を抱える弓狩環(ゆがり たまき)と出会い、恋に落ち、そして彼女の死の謎に迫る恋愛ミ …

なぜ因果は巡るのか?柚月裕子『盤上の向日葵』感想

(※『盤上の向日葵』表紙より)  最近、将棋をテーマにした物語が増えていますよね。  柚月裕子さんの小説『盤上の向日葵』もそのひとつですが、物語のメインはあくまでも人間ドラマ。人物描写が秀逸なミステリー小説です。  なか …

読書は優雅なもの!?東野圭吾『素敵な日本人』は意外性にあふれたミステリー小説

(※『素敵な日本人』表紙より)  短編はお好きですか。  私は小説に驚きや感動、励ましのようなものを求めているので、物語の世界観にどっぷり浸れて、イッキ読みできる長編を好んでいました。  今もその思いは変わりませんが、東 …

愛情が足りない!?西加奈子『i(アイ)』は人の気持ちに寄り添いたくなる小説

(※『i(アイ)』表紙より)  人の気持ちに寄り添っていますか。  私は歳をとるにつれて、自分のことばかり考えるようになりました。東日本大震災の報道を見ても、どこか他人事です。  そんな私に人の気持ちに寄り添う大切さを思 …

終わりがある方が面白いのはなぜ?畠中恵『ちんぷんかん』感想

(※『ちんぷんかん』表紙より)  畠中恵さんの小説『ちんぷんかん』。  しゃばけシリーズ第6弾の本作は、兄・松之助の縁談が決まったり、幼馴染・栄吉の弟子入りが決まったりと、若だんなに様々な別れが訪れる物語です。  なかで …

悩むことに価値がある!?東野圭吾『真夏の方程式』は感動間違いなしの小説

(※『真夏の方程式』表紙より)  東野圭吾さんの小説『真夏の方程式』。  仕事で玻璃ヶ浦(はりがうら)にやってきた湯川准教授が小学五年生の恭平と出会い、思わぬ事件に巻き込まれる物語です。読めば感動すること間違いなし!? …

『子育てはもう卒業します』は自分らしく生きようと思える小説

(※『子育てはもう卒業します』表紙より)  垣谷美雨さんの小説『子育てはもう卒業します』。  3人の女性の青春時代から中年になるまでの人生を描いた小説です。読めば「子ども優先で生きるのはやめ、自分らしく生きよう」と思うこ …

病弱でも強くなれる!?畠中恵『しゃばけ』は妖怪が活躍するミステリー小説

(※『しゃばけ』表紙より)  10年ほど前に買った畠中恵さんの小説『しゃばけ』。  久しぶりに読みましたが、病弱なのに難題に立ち向かう若だんなの姿に感動しました。読めば自分も頑張ろうと思えること間違いなし!?  今回は『 …