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(※『マスカレード・イブ』表紙より)


 誰もが自己顕示欲を持っていますよね。出世したかったり、モテたかったり、贅沢な暮らしをしたかったりと、人と比べてスゴイと思われるような生活に憧れています。

 しかし、その欲求の裏側には、それ相応の闇が存在します。心の闇が深ければ深いほど、光を求めてしまうのです。その闇が深すぎると――。

 今回は、心に深い闇を抱えた人たちの末路を描いた小説『マスカレード・イブ』のあらすじとおすすめポイントを紹介します。

 『マスカレード・イブ』のあらすじ(『それぞれの仮面』)

 ホテル・コルテシア東京で働く山岸尚美のもとに、元恋人の宮原隆が偶然やってきました。

 彼は元プロ野球選手のマネージャーのような仕事をしており、テレビの企画で海外に行く前にこのホテルに泊まると言います。尚美はそんな彼から「夜に会えないか?」と誘われましたが、断りました。

 ところが、夜になると宮原から電話がかかってきます。「不倫相手に逃げられたので助けて欲しい」というのです。

 その不倫相手はこれまで何度も自殺未遂をしていました。しかも今回は去り際に「サヨウナラ」と言い残したというのです。

 そこで尚美は仕方なくその女性を探そうとしますが――。

 驚きの結末が待っている物語です。

 『マスカレード・イブ』のおすすめポイント

1. 『マスカレード・ホテル』ファンにはたまらない前日譚

 前作『マスカレード・ホテル』では、刑事の新田浩介とフロントクラークの山岸尚美が出会ってからの物語が描かれていますが、『マスカレード・イブ』は彼らが出会う前の前日譚が描かれています。

 彼らの新人時代の物語や前作で触れられたセリフや場面のエピソードが描かれているのでファンにはたまらない一冊になっています。

 しかも、新田と尚美が間接的にお互いの存在を知るエピソードも描かれているので、面白くて仕方ないんですよね。

 『マスカレード・ホテル』好きなら、ぜひ読んでおきたい一冊です。

2. 心に闇を抱えた犯人たちに驚かされる短編集

 『マスカレード・イブ』は全4編からなる短編集です。新田と尚美が交互に主人公になり、物語が進んでいくのですが、どの物語の犯人も心に深い闇を抱えているんですよね。

 たとえば、『ルーキー登場』では夫を殺害された妻の悲しみが描かれます。

 殺された夫は数多くの飲食店を経営する実業家で、社員思いの人物。家族の行事を無視して仕事をする社員を叱るほど家族思いの人でした。

 そんな夫と数年前に結婚した彼女は、高級タワーマンションで暮らし、また彼女が経営する料理教室も順調で、何もかもが順風満帆に見えました。

 ところが、輝かしい仮面の下には怖ろしい素顔が隠されていたのです。

 本書のタイトルにもなっている『マスカレード』は、仮面舞踏会のこと。犯人たちはおぞましいほどの心の闇を仮面の下に隠しながら、輝かしい舞台で踊り続けています。

 心の闇が深い人ほど輝かしい光を演出することがわかる物語です。

3. ミステリーとしても十分楽しめる

 短編集と聞くと、どうしてもミステリー要素が楽しめないのでは?と思う方も多いのではないでしょうか。しかし、『マスカレード・イブ』は違います。

 犯人たちがつけた仮面が剥がれたとき、その周りにいる人たちの仮面まで剥がれていくのですが、想像を超えた裏切られ方をするので驚きの連続です。

 それが4作品も楽しめるとなると――読むしかないですよね。おすすめの一冊です。

 最後に

 心に深い闇を抱えた人たちの末路を描いた小説『マスカレード・イブ』。読めば光だけを追い求めるのではなく、闇にも目を向けていこうと思える物語です。

 気になった方は、ぜひ読んでください。

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