降田天『すみれ屋敷の罪人』は心にじわっと響くミステリー小説

おすすめ小説

ミステリーはお好きですか?

私は大好きで、これまで多くのミステリーを読んできましたが、降田天さんの小説『すみれ屋敷の罪人』は心にじわっと響く物語でした。

驚きが味わえるだけでなく、洋館で暮らす名族とその使用人たちの人間関係に心揺さぶられる物語なんですよね。

おすすめ度:4.5

スポンサーリンク

こんな人におすすめ

  • 洋館に住む名族と使用人が織りなす人間ドラマに興味がある人
  • 心にじわっと響くミステリーを読んでみたい人
  • 驚きのある物語が好きな人
  • 降田天さんの小説が好きな人
スポンサーリンク

あらすじ:紫峰邸の屋敷から発見された白骨死体の謎に迫る物語

物語の舞台はすみれが綺麗に咲いていた紫峰邸。

この紫峰邸の屋敷から白骨化した遺体が二体発見されます。

ただし、年齢、性別、死因および埋葬時期、そのすべてが不明だったので、西ノ森という若い刑事が関係者から事情聴取をすることになりました。

彼がはじめに話を聞いたのは、橋本信子というおばあさん。

彼女は、今から65年ほど前に紫峰邸で女中として2年ほど働いていたと言います。

このとき、紫峰邸には彼女を含めて7人の使用人がおり、信子は三姉妹の次女である桜の世話をすることになりました。

桜は父親の言いつけを守る律儀な性格でしたが、長女の葵は、きまぐれでわがまま放題だったので、桜との衝突が絶えませんでした。

一方、三女の茜は誰からも好かれる天真爛漫な性格でしたが、東京の音楽学校を辞めて帰ってきてからは、夜中にピアノを弾くなど異常な行動をとるようになります。

そんな少し変わった三姉妹と暮らすことになった信子でしたが、憧れの暮らしを間近で見ることができたので喜んでいました。

ただし、信子は彼女の後にやってきた唐沢ヒナという顔に傷がある女中に恐怖を覚えていました。

長女の葵が芸者の見習いをしていたヒナを連れてきて使用人にすると言い出したのですが、信子は彼女にすべてを見透かされているようで恐怖を感じていたのです。

とはいえ、何事も起こらずに働き続け、信子の母が病気になったので女中を辞めて今に至ると言うのですが、実は…。

という物語が楽しめます。

スポンサーリンク

次々と新たな謎が提示されるミステリー

ここまで紹介してきたのは、全体の1/5くらいまでのあらすじですが、

西ノ森は、女中だった信子に続けて、雑用係として雇われていた岡林誠や父が紫水邸の料理人だった山岸皐月、

屋敷に出入りしていた材木屋の息子・広瀬竜吉に事情聴取をしていきます。

ところが、彼らはすべて本当のことを話しているわけではないので、次々と謎が浮かび上がってきました。

先ほどあらすじでも紹介しましたが、「なぜ信子は二年で女中を辞めたのか」「音楽学校を辞めた茜が異常な行動をとるようになったのはなぜか」といった謎が次々と浮かんでくるんですよね。

それだけでなく、事情聴取をしている西ノ森は本当に刑事なのか?という疑いまで浮かんできました。

さらに、これらの謎が、屋敷から白骨化して発見された二体の遺体は誰なのか?という大きな謎とも絡まってくるので、ページをめくる手が止まらなくなります。

では、なぜ彼らは本当のことを話さないのかというと、それぞれ事情があるのですが、核心に迫る嘘はある人物に関係していました。

その人物とは…。

最後は心にグッとくる展開が!?

この続きはネタバレになるので、実際に読んでもらうとして、

この物語に登場する多くの人たちが悪意を持って行動しているわけではないので、犯人も含めて悪感情を抱くことはありませんでした。

むしろ、ボタンのかけ違いが連鎖していく姿が描かれているので、読んでいて胸が締めつけられます。

とはいえ、最後は悲しい中にも希望が持てる終わり方をするので、読了後も不快な気持ちになることはなく、むしろ爽やかな気持ちにさえなれました。

というわけで、降田天さんの小説『すみれ屋敷の罪人』は、じわっと心に響くミステリーが楽しめる物語ですが、

それだけでなく、次々と提示される謎とその答えに驚かされる物語としても、人間ドラマに胸がグッと締めつけられる物語としても楽しめるので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

ちなみに、ラストは少しわかりにくいかもしれませんが、私はあの人たち二人は生きていたと読み解きました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました