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 パズルはお好きですか。

 私は子どもの頃からパズルが大好きで、1000ピースとか2000ピースのパズルをよくしていました。しかし、最近は仕事が忙しくてなかなかできないんですよね。

 ところが、まるでパズルのピースをはめているかのような快感が味わえる小説に出会いました。それが伊坂幸太郎さんの小説『ラッシュライフ』。

 少し暗めの物語ですが、ハマりますよ。

 5つの異なる物語が驚きと共に繋がっていく

 『ラッシュライフ』は5つの不思議な物語が少しずつ繋がっていき、最後にはすべてが繋がっていたことに気づかされる小説です。

 たとえば、5つの物語のメインキャラクターが他の物語に名前を明かさずに登場していたり、ある物語に登場していたサブキャラクターが別の物語のメインキャラクターとつながっていたりと驚きの連続です。

 それだけでなく、バラバラになった死体がいつの間にかくっついたり、死体が何度もトランクから飛び出したり、40億円の宝くじが巡りめぐってある人物の手に渡ったりと、多くの出来事がこれでもかと繋がっていくので、まるでパズルのピースをはめているかのような快感が味わえるんですよね。

 意外なキャラクターや出来事のつながりに夢中になれる小説です。

 黒澤のセリフに心奪われる

 この物語を盛り上げているのは、キャラクター同士のつながりだけではありません。登場人物たちのセリフもそのひとつです。なかでも泥棒の黒澤のセリフに心奪われるんですよね。

 たとえば、

探し出すものなんだ。『未来』は闇雲に歩いていってもやってこない。頭を使って見つけ出さなくてはいけないんだ。あんたもよく考えたほうがいい

 他にも、

「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。まあ、時には自分が人生のプロであるかのような知った顔をした奴もいるがね、とにかく実際は全員がアマチュアで、新人だ」
「はじめて試合に出た新人が、失敗して落ち込むなよ」
「行き詰まっているとおまえが思い込んでいただけだよ。人ってのはみんなそうだな。例えば、砂漠に白線を引いて、その上を一歩も踏み出さないように怯えて歩いているだけなんだ。周りは砂漠だぜ、縦横無尽に歩けるのに、ラインを踏み出したら死んでしまうと勝手に思い込んでいる」

 など、ハッとさせられる言葉が満載です。自分に足りないピースを黒澤にはめられているかのような感覚が味わえるんですよね。

 読めばきっと心に残る言葉が見つかるはず。

 勧善懲悪がテーマなので最後はスッキリ

 現実世界で生きていると、悪が自由にのさばっていますよね。

 そんな中、悪い奴らが滅びていく物語を読むとスッキリできるだけでなく、今の社会に足りないピースはこれなんじゃないかって思えてきます。

 最後にスッキリできるので、達成感が味わえる小説です。

 ◆

 伊坂幸太郎さんの『ラッシュライフ』。まるでピースをはめているかのような快感が味わえる小説です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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