小川糸『ライオンのおやつ』は今を精一杯楽しもうと思える物語

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今を精一杯楽しんでいますか?

私は「この時間が早く終わらないかな…」と思うような時間の過ごし方をしていることも多々ありますが、

小川糸さんの小説『ライオンのおやつ』を読んで、一瞬一瞬を大切にしたくなりました。

死ぬときに後悔しないですむように、今を限界まで楽しもうと思えたんですよね。

おすすめ度:4.5

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こんな人におすすめ

  • 死について恐怖を抱いている人
  • 自分らしく生きたいと考えている人
  • 感動できる物語が好きな人
  • 小川糸さんの小説が好きな人
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あらすじ:ホスピスで人生最後の時間を過ごす女性の物語

物語の主人公は33歳の海野雫。

彼女は癌になり、治ることを信じて抗がん剤を打ってきましたが、ステージ4になりました。

痛みや髪の毛が抜けるのも我慢してきたのに、治ることなく、結果的に身体を痛めつけて、寿命を縮めてしまったのです。

こうして、担当医から残された時間が少ないことを告げられた雫は、ライオンの家というホスピスで過ごすことに決めます。

暖かい場所で毎日海を見ながら残された日々を過ごしたいと願ったからです。

ライオンの家は、瀬戸内海に面する、かつてたくさんのレモンが栽培されていた島にあり、

隠れ家ホテルにいるような、優雅な気分にさせてくれる空間でした。

雫はすぐにライオンの家に来て良かったと思うようになりましたが、

唯一の家族である叔父であり、義父でもある父には、病気になったことも、ライオンの家に行くことも何も言わずに出てきました。

父が結婚して新たな人生を歩んでいたからです。

そんな孤独な雫が、ライオンの家で人生の最後を自分らしく生きる姿が描かれている物語です。

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感想①:ライオンの家という暖かい空間が愛おしく思える

あらすじでも紹介しましたが、ライオンの家には、病院っぽさや庶民的な感じはなく、

まるで隠れ家ホテルにいるかのような、優雅な気分にさせてくれる空間でした。

ここでの暮らしも、老人ホームのように、みんなで一斉にいただきますをしたり、折り紙を折ったり、歌を歌ったりすることはなく、自由な時間が過ごせます。

朝は何時に起きるとか、消灯は何時とか、テレビを見てもいい時間帯とか、携帯電話は使っちゃダメとか、面会時間とか、一切決まりはありません。

洗濯や室内の掃除など、自分でできる間は、自分でする必要があるだけです。

とはいえ、ライオンの家では誰もが自分らしく生きられるように、自分が本当に人から呼んで欲しい名前を書いて部屋の入り口に貼っておく決まりがありました。

ライオンの家を経営している女性は、自らを「マドンナ」と名乗り、隣の部屋にいる男性は「アワトリス」というふざけた名前を名乗っています。

雫は本名を名乗りましたが、この他にも、美味しいお粥が食べられたり、病院では禁止されていたコーヒーが飲めたり、

モルヒネ入りのワインが飲めたり、週に一度誰かの思い出のおやつが食べられたりと、人生の最後に住んでみたくなるホスピスです。

『つるかめ助産院』では、自然に囲まれた南の島で生まれる子供は幸せだろうな…と思える物語でしたが、

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この物語では、海辺の暖かい島で最後を迎えるのも、幸せなことなのかもしれないと思える小説でした。

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感想②:我慢せずに自分らしく生きようと思える

雫は、これまで相手にとっての「いい」「悪い」で物事を決めてきました。

自分の感情を犠牲にしてきたので、癌になったのかもしれません。癌の根本原因はストレスだからです。

つまり、良い子ではなく、もっとわがままに振舞ってよかったんですよね。

このことに気づいた雫は、ライオンの家に来た翌日からウィッグとブラをつけることをやめました。

ライオンの家にいたロッカという犬と仲良く遊ぶようになり、

ロッカの散歩中に出会ったタヒチという青年とデートをしたり、キスをしたりと、これまで以上に自分らしく振る舞います。

そんな彼女の姿を見ていると、今この瞬間から、もっと自分らしく振舞った方が毎日が楽しく過ごせるのではないかと思えてきたんですよね。

『望んでいるものが手に入らない本当の理由』の感想にも書いたように、

今よりもわがままに振舞ったところで、良い子として生きてきた人は、中和されるだけです。

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死に直面したときに後悔しなくてすむように、良い子ではなく、自分らしく生きようと思える物語です。

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感想③:人生にはおやつが不可欠

さて、この物語のタイトルである『ライオンのおやつ』には、

おやつは体には必要のないものだけれど、人生が豊かになるもので、人生のご褒美であり、かけがえのないものだという思いが込められているように思います。

たしかに、ライオンの家で過ごす人たちが「おやつ」を通して人生を振り返る姿を目の当たりにすると、

彼らの一生がおやつに凝縮されているようにさえ思えてきます。

『死ぬときに後悔すること25』の感想にも書きましたが、

  • 仕事ばかりで趣味に時間がさけなかったこと
  • 行きたかった場所に旅行しなかったこと
  • 美味しいものを食べておかなかったこと

など、人生に絶対に必要ではないものほど記憶に残り、それが私たちの人生に彩りを与えてくれていることに気づかされました。

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もちろん、目の前にあることに全力で取り組むことも大切ですが、

あまり頑張りすぎずに、旅行や食事、趣味などを通して楽しく過ごすことが、後悔しない人生を生きる秘訣だと教えてくれる物語でした。

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まとめ

今回は、小川糸さんの小説『ライオンのおやつ』のあらすじと感想を紹介してきました。

死ぬときに後悔しないためにも、今を精一杯楽しもうと思える物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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