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 数学者と言うと堅いイメージがありますよね。世間で騒がれているような些細なことに興味がない人が多いように思います。

 しかし、そんな数学者だからこそ、私たち凡人とは違う視点で生き方について考えられるんですよね。

 『数学する人生』は、数学者である岡潔さんの考えがぎっしり詰まった本。数学の本ではなく、どちらかと言えば人生哲学について書かれています。

 日本人がダメになったのは西洋文化を取り入れたから

 「生きがいが感じられない…」なんて思うことありますよね。その原因のひとつに、西洋文化を取り入れたことが挙げられると岡潔さんは言います。

 人は本来、物質的自然の中に住んでいるのではなく、魚が水の中に住んでいるように、心の中に住んでいます。

 ところが、日本は終戦後にアメリカから唯物主義と個人主義を取り入れ、その考えを中心に起きました。

 その結果、多くの人が、本当はわかっていない「自分」や「自然」について、勝手に「こうだ」と決めつけ、その決めつけたイメージと現実とのギャップに苦しむことになったんですよね。

 たとえば、お金。私も含めて多くの人がお金があれば幸せになれると信じて、今も必死に働いていますが、本当にそうなのでしょうか。

 学問でも同じことが起きています。西洋の学問や思想は、「時間」や「空間」がある前提で考えはじめます。

 しかし、時間、空間というものが本当にあるのか?その本体は何か?と言うことは決して考えようとしませんでした。

 その代わり、時間と空間という枠の中で、五感でわかるものだけがあり、わからないものはないのだと、こう決めたのです。

 ところが、科学的に調べてみると、不安定な素粒子というものが出てきました。こうして、物質の世界が独立して存在するはずだという大前提が覆されてしまったんですよね。

 それにも関わらず…。

 科学では説明しきれない世界を無視している

 たとえば、小川のせせらぎ。小川は実にきれいにせせらぎますね。

 あれは重力とその他二、三の法則によってそうなるのですが、法則からせせらぎを生みだすには各瞬間、各水滴が、それぞれの情勢に応じてどちらの方向へどれくらいの速さで流れたらよいかをすぐに判断し、その通りに行動する必要があります。

 つまり、物質には、ラプラスの方程式よりもっと難しい数式をただちに解いてしまうような知力があると思うほかないんですよね。そうでなければ、せせらぎは生まれないからです。

 このことを、西洋人たちは「ラプラスの魔」と呼びました。微分方程式を瞬間に解く知力を持っている魔物がいるとすれば、自然はこれでみな説明がつくのではないかと考えたのです。

 ところが、説明できそうもないとなると、すぐにその方面への関心は薄れ、忘れさられてしまいました。

 その結果、また五感で感じられる世界に閉じこもることになったのです。

 宗教的な考えを取り入れて視野を広く持とう

 自然科学は非常に価値のある、重要な二つの結果を得ています。

 まず第一に、不安定な素粒子の発見によって、五感ではわからないものがあるということを示しました。

 第二に、五感でわかるものだけを丁寧に調べても、いつまで経っても生命現象は一つもわかってこないということを実証してみせました。

 「人は一日をどう暮らせばよいか」というのも、生命現象の問題です。そのため、五感でわかるものだけを調べても、わかるはずがありません。

 ではどうすればいいのでしょうか。五感でわからないものを知るためには、たとえば仏教の高僧に働いたような大智力がいります。

 つまり、充実した人生を過ごすには、宗教のいう基本的なことは取り入れて、その上で、あとは自分の目で見、自分の頭で考えていくより仕方ないのです。

 ところが、多くの日本人がこうした宗教的な考えを強く否定しています。その結果、幸せをあまり感じられなくなったんですよね。

 最後に

 『数学する人生』は、今、あまり幸せを感じられてない人に、ぜひ読んで欲しい本です。

 宗教的な考えを否定する人が増えている日本にあって、五感だけに頼って生きていくことがどれだけ心許ないことなのかを教えてくれます。

 それだけでなく、学び続けないと人生というものはツマラナイものになるのだと気づかせてくれる本でした。

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