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 経営再建を進めるシャープは、台湾メーカーの鴻海精密工業(ホンハイ)に買収される方向で検討を進めている。この買収が成立すれば、シャープも立ち直れるかもしれない。しかし、今回の件でホンハイの会長は、私たち日本人に怖ろしい事実を突きつけた。それは、次のコメントからもわかるだろう。

「40歳未満の従業員の雇用は守るから安心してほしい」

 言い換えれば、40歳以上の社員は「いらない」ということである。本来なら、40歳以上の社員は「会社にとって貴重なノウハウを持つ人材」のはず。それを不要だと判断したのは――労働市場からすれば40歳以上の社員に「まったく価値がない」と判断したからだ。つまり、どれだけシャープという会社で評価されていたとしても、労働市場ではまったく価値がないと判断されたのである。

 もちろん、この問題はシャープだけにとどまらない。これは日本で働くすべての人に突きつけられた問題だ。では、私たち日本人はこれからどうやって生き残っていけばいいのだろうか。その方法は次の三つ。

  1. 常識を知る
  2. 徹底的に取り組む
  3. 仕事を好きになる

 笑いをとるために必要なことは「常識を知ること」だと、吉本総合芸術学院(NSC)の講師である本多正識氏はいう。たとえば、劇作家の世界では、人を悲しませたり、怒らせたり、感動させたり…といった人の感情に訴える物語をつづるには、セオリー(=常識)を学ぶことが前提条件となる。一般社会においても、画期的な技術を発見したり、新商品を作ったり、人とは違った斬新な発想を生み出すには、やはりセオリーを知らなければならない。つまり、「非常識」は「常識」があるからこそ成立するのである。

 では、常識を知るにはどうすればいいのか。結論からいえば「ニュース」をみることだ。ニュースは一つのジャンルに偏ることなく、あらゆる事象を平均的に扱っているため、常識を効率よく学ぶことができるからだ。

 実際、南海キャンディーイズの山ちゃんこと山里亮太さんは、ニュースを欠かさず勉強することで現在のポジションを確立している。当時池上彰さんがやっていた「週刊子どもニュース」を毎週欠かさず見るだけでなく、楽屋にまで「子どもニュースの本」や「政治・経済のハードカバー本」を5~6冊持ち込み勉強していたそうだ。「紳助さんやさんまさんに、山里どうやねんて言われたときにすぐに返事ができないと僕のポジションはなくなりますから。だから一番勉強してます」――と、山ちゃん本人が言うほど、誰よりも常識を学ぶことで現在のポジションを確立したのである。

 このように何をするにも「徹底的にやる」ことが大切だ。キングコングの西野さんも、売れない時代には、目が覚めたらすぐに相方の梶原さんと集合して、1日17~18時間くらい、ずっと漫才の練習をしていたという。「やるだけのことはやってきたから、結果はどうあれ落ち込むことはない」といえるほど、準備段階でやりきっていたのである。

 ナインティナインの岡村隆さんも徹底的に笑いに取り組んできた。あるインタビューで「技術的な部分以外で売れた理由は何?」と聞かれた岡村さんは、「一つだけあるとしたら、真面目に不真面目なことに取り組んできたっていうことでしょうか」と答えている。「テレビに出たい」「いい車に乗りたい」「いい女抱きたい」「お金ほしい」といった理由だけでやっていたら、ここまで来れることはなかっただろう…と言われている。「どうしたら笑いがとれるのか」と、とにかく真面目に徹底的に考えてきたというのだ。

 では、そこまで徹底的にできるのはなぜか。それは「今やっていることが本当に好き」だからだ。ウーマンラッシュアワーの村本さんも、自分の好きなネタをやることで今のスタイルが確立できたという。

 村本さんが芸人を始めて6~7年目の頃は、自分では納得できない仕上がりだったので、1年以上もオーディションには参加していなかったそうだ。出演者が自分たちで舞台運営もする「インディーズライブ」には参加していたそうだが、何をやってもウケなかったし、ファンもできなかったので、ストレスで体重が100kgまで増えたという。そのときに「もう、お客さんを笑わすよりも、自分が楽しめるネタをやろう」と思い、ネタを変えた。それが今のスタイルになっている。

 つまり、誰もが模範解答を出そうとしているけれども、本当は「自分の好きなことをやること」が正解。なぜなら、お笑いでも、新商品の開発でも、答えは一つではないし、百点満点なんてないからだ。自分が好きだと思っていること、これでいけるんだと思っていることをやるしかないのである。それを世間が認めてくれなかったら、それはそれで仕方がない。

 このように、吉本芸人たちは、常に楽しみながら常識を学び、自分のアタマで考え、徹底的に行動することを繰り返している。一方で、私たちはどうだろう。常識を学び続けているだろうか。自分のアタマで考えて仕事をつくり、それを実現するために徹底的に行動しているだろうか。もし、そうでないのだとしたら、シャープの40歳以上の人たちと同じ運命をたどることになるだろう。もちろん、今からでも遅くはない。吉本芸人を見習って生き残れるように行動していこう。

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