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 「リーダーシップ」と一言でいっても、いろいろなタイプがある。たとえば、織田信長。彼は自分に反抗する勢力を徹底的に打ち壊して、自分が理想とする社会を実現しようとした。いわゆる「破壊者」「革命児」タイプのリーダーシップを発揮している。

 これが豊臣秀吉になると、「人たらし」タイプのリーダーシップとなる。彼は、お金をばら撒いたり、豪遊したり、脅しをかけたりすることで、他人をうまくのせた。そうやって天下を勝ち取ったのだ。

 徳川家康はどちらのタイプでもない。彼は「堅実的」なリーダーシップを発揮している。規律や常識を好み、それらからはみ出すような考えや行動を嫌う。現代でいうところの官僚的な考え方の持ち主だ。

 そして、小説『のぼうの城』の主人公である成田長親は、大人の甘さをもったリーダーシップを発揮する人物だった。ちなみに、「のぼう」とは「でくのぼう」の略。それに申し訳程度に「様」をつけて、「のぼう様」と呼ばれるような人物だった。

 彼は侍でありながら農作業が大好きで、よく領民の作業を手伝いたがったが、断固拒否された。不器用なため、手伝いになるどころか、かえって迷惑になるからだ。剣術はめっぽう苦手。馬にさえ乗れない。策略が立てられるわけでもないし、美男でもない。要するに、強くもなく、賢くもなく、美しくもない、ただ大きいだけの人物。それが成田長親である。

 しかし、長親は豊臣秀吉の小田原攻めに際して、わずか3000人の軍勢で石田三成を総大将とする2万3000人の大軍から居城の忍城(おしじょう)を守り抜く。なぜ、守れ抜けたのか。それは、優秀な成田家の家臣――漆黒の魔人との異名をもつ正木丹波守利英、筋骨隆々とした巨漢・柴崎和泉守、毘沙門天の化身と自称する酒巻靱負といった家臣たち、そして領民たちが決死の覚悟で戦ったからだ。

 では、なぜ、家臣や領民たちは、自らの命をなげうってまで石田軍と戦ったのだろう。素直に考えれば「のぼう様」と呼ばれる長親につくよりも、石田軍に降ったほうが得である。

 結論からいえば、長親を慕っていたからだ。命を投げ出してもかまわないと思えるほどの人物だったからだ。たしかに、長親には、武力も、知力も、外見的な魅力もない。しかし、彼には「あるもの」があった。それは「並外れた誇り」だ。

 強き者が強き者を呼んで果てしなく強さを増していく一方で、弱者は際限なく虐げられ、踏みつけられ、一片の誇りを持つことさえも許されない。小才がきく者だけがくるくると回る頭でうまく立ち回り、人がましい顔で幅をきかす。ならば無能で、人が好く、愚直なだけが取り柄の者は、踏み台となったまま死ねというのか。「それが世の習いと申すなら、わしは許さん」

――と、危機迫る状況で言い放てるほどの「並外れた誇り」を持っていたのである。

 おもえば名将とは、人に対する度外れた甘さを持ち、それに起因する巨大な人気を得、それでいながら人智の及ばぬ悪謀を秘めた者のことをいうのではなかったか。すなわち、長親は名将だったのだ。普段の生活でみせている甘さの底に、人知れない苦さ(誇り)をもつ名将だったのである。

 さて、私たちはこの物語から何を学べばいいのだろう。それは、次の二つ。ひとつは、人は見た目では判断できないということ。いくら「でくのぼう」のように見えたとしても、「いざ」というときにこれほど頼りになる人物はいない。そして、もうひとつが、人にはそれぞれ固有の才能があり、それを生かすことこそが「リーダーシップを発揮する」ということである。

 織田信長や豊臣秀吉、徳川家康、そして成田長親。彼らはそれぞれ自分にあったリーダーシップを発揮し、戦国時代を生き抜いてきた。私たちも「現代という戦国時代」を生き抜くには、自分らしいリーダーシップを発揮していくしかない。あなたは、どんなリーダーシップを発揮して現代を生き抜くつもりだろうか。

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