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 「有名企業に就職しても安心できない時代に突入した」という人たちが増えている。かつて日本が誇っていた「終身雇用制度」が終わりを迎え、いまや有名企業に就職したからといって一生安泰とはいえなくなったからだ。実際、シャープや東芝、ソニーといった巨大企業でさえリストラを断行している。

 とはいえ、「就活で選ばれるのは企業にとって使いやすい人間だけだ」とか、「短い時間の面接でいったい何がわかるんだ」とか、「そもそも企業に選ばれる必要なんてない」といった発言を聞くと首を傾げたくなる。なぜなら、私たちは企業だけでなく、いつも誰かに選ばれながら生きているからだ。

 たとえば、恋愛もそのひとつだろう。どれだけ相手に好意をもったとしても、相手から選ばれなければ恋愛は成立しない。

 だから、私たちが考えるべきことは、「就活や恋愛のあり方に文句をつける方法」ではなく、「どうすれば相手から選ばれる自分になれるのか」、すなわち「魅力的な自分になれるのか」だ。

 小説『大金星』の主人公・御手洗くんも魅力がない――学歴も、お金も、かっこよさも、これといった特技もない、どこにでもいそうな大学生だった。彼はこれまでの人生で女性とまともに話した経験さえなかった。もちろん、モテたことなどない。それなのに、彼は自ら行動を起こそうとはせず、ゲーム三昧の毎日を過ごしていた。なぜか。

 女性に声をかけて、笑われたり、バカにされたりして、プライドが傷つくことを怖れていたからだ。しかも残念なことに、彼はいつか美人の女性から声をかけられて付き合うことになると本気で信じていたのである。

 そんな御手洗くんの前に、西郷隆盛を彷彿させる男があらわれる。春男だ。春男は御手洗くんよりもさらに魅力がない人間だったが、なぜか「女性にだけは自信がある」と言い張る。実際、春男が女性たちに声をかけると、彼女たちは立ち止まって春男の話に耳を傾けた。さらに、彼女たちは春男と話すことで笑顔になったのだ。御手洗くんにとって、これは衝撃の事実だった。「自分よりもブサイクな春男がなぜ?」そんな疑問が沸きあがってきた。

 ではなぜ、春男は初対面の女性を立ち止まらせ、笑顔にさせることができたのだろうか。結論からいえば、「何があっても女性と仲良くなりたい」という強い意志があったからだ。他人にバカにされようが、笑われようが、プライドを傷つけられようが、「女性と仲良くなりたい」という一心で行動していたからだ。

 実際、春男はプライドをかなぐり捨てて女性と接していた。誰がみても恥かしくなるような行為――Tシャツに手書きで漢字を書いてボケてみたり、しょうゆ挿しのコスプレをして笑わせようとしたりしていた。そうまでしても「女性と仲良くなりたい」という強い意志があったからこそ、何の後ろ盾もない春男に女性たちは心を動かされたのだろう。

 さて、この物語からわかることは、「強い意志」さえあれば、現状はいくらでも変えていけるということだ。もちろん、強い意志をもたなくても多くの人に選ばれる人もいるだろう。しかし、その人たちをどれだけ羨んでも現実は何も変わらない。だからこそ、私たちは自分で変えられるもの、すなわち「強い意志」をもって行動していく必要がある。

 就活でも、恋愛でも、ブログでも――私たちはいつも誰かに選ばれながら生きている。もし、それらで望んでいる結果を得たいのなら、テンパろうが、バカにされようが、プライドを傷つけられようが、強い意志をもって春男のように行動していこう。そうすれば、今よりもずっと素晴らしい未来が切り開けるはずだ。

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