知念実希人『崩れる脳を抱きしめて』は無性に恋したくなる恋愛ミステリー小説

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 最近、誰かに恋していますか?

 私は結婚して子供もいるので、朝起きるたびに妻や子供たちに恋していますが、知念実希人さんの小説『崩れる脳を抱きしめて』を読んで、改めて「恋っていいなぁ」と思いました。

 それだけでなく、本書はミステリー要素も楽しめるのでおすすめの恋愛ミステリー小説なんですよね。




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 純粋な恋をしたことがない主人公の物語

 では、あらすじから。

 物語の主人公は研修医の碓氷蒼馬(うすいそうま)。彼は幼い頃に借金をつくって愛人と逃げた父親を今でも恨んでおり、大金を稼いで恨みを晴らそうと必死になって勉強していました。

 ところが、ただでさえキツイ初期臨床研修の最中に、睡眠時間を削って勉強したせいで、心身共に限界に達します。そこで、自然に囲まれた富裕層向けの療養型病院「岬病院」で研修を受けることになりました。

 岬病院には残された時間が少ない患者が大勢いました。弓狩環(ゆがりたまき)ことユカリさんもそのひとりです。

 彼女の脳にはグリオブラストーマと呼ばれる最悪の腫瘍があり、いつ亡くなってもおかしくない状態でした。

 そんなユカリさんは、蒼馬のことを「爛れている」と指摘します。蒼馬は、見た目が良いので多くの女性と性欲目的で付き合ってきましたが、そのことを知ったユカリさんが「爛れている」と指摘したのです。

 さらに彼女は、本当の恋とは「この人と一生を共にしたい」と思える運命の相手とするものだと言うんですよね。

 蒼馬は、そんな幼い発言をするユカリさんのことをバカにしていましたが、ユカリさんと接するようになって徐々に考え方が変わっていきました。なぜなら…。

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 恋とはこれまでの世界観が一変するもの

 恋とはこれまで思い込んでいた価値観や世界観が一変するものだと気づいたからです。

 蒼馬は、父親に縛られて生きていました。脳外科医になろうとしていたのも、大金を手に入れるためです。

 ところが、ユカリさんは、蒼馬の借金を簡単に支払えるほどの大金持ちでした。むしろお金があることで、遠い親戚から命を狙われ、ひとりで外出できないほどでした。

 また、どれだけお金があっても、いつ破裂するかわからない脳の腫瘍が消えてなくなるわけではありません。限られた時間を楽しく過ごすには、お金は何の価値もなかったのです。

 しかし、蒼馬はお金のために命を削って働こうとしています。そこで、ユカリさんは、彼を父親の呪縛から解き放つために、ある推理をするんですよね。

 その結果、蒼馬は父親の呪縛から解き放たれ、これまでとは世界観が一変し、ユカリさんに恋心を抱くようになりました。蒼馬にとって心から好きになった女性は彼女が初めてです。

 そこで勇気を振り絞ってユカリさんに気持ちを伝えようとしますが…。

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 無性に恋したくなる恋愛ミステリー小説

 ユカリさんは、蒼馬の想いを受け止めることなく帰らぬ人になりました。しかし、ユカリさんの死には、いくつかの疑問が残りました。その疑問とは、

・なぜユカリさんは蒼馬の想いを受け止めなかったのか?
・なぜユカリさんは岬病院から車で1時間以上かかる横浜で亡くなったのか?
・なぜ岬病院の人たちは、ユカリさんがはじめから存在しなかったように振る舞うのか?

 これらの謎の答えは実際に本書を読んでもらうとして、知念実希人さんの小説『崩れる脳を抱きしめて』は、無性に誰かに恋したくなる恋愛ミステリー小説です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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