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 推理していますか?

 私は前作『どちらかが彼女を殺した』を読んでから、ミステリーを読むときは犯人を推理するよう心がけていますが、東野圭吾さんの小説『私が彼を殺した』では前作以上に難しい問題が提示されるんですよね。

 もちろん、最後まで犯人は明かされませんが、訓練してきたおかげで、何とか犯人を特定できました。

 歪んだ愛情を育んできた兄妹

 では、あらすじから。

 小説家で、脚本家でもある穂高誠は、神林美和子と婚約していました。

 しかし、穂高は美和子を愛していたわけではありません。話題作りのために彼女と結婚しようとしていたのです。

 美和子が書いた詩がベストセラーになったので、映像化したかったんですよね。

 それだけでなく、穂高は、美和子と彼女の兄である神林貴弘が肉体関係をもっていることに気づいていたので、離婚するときはそのことをバラして話題作りにしようと考えていました。

 もちろん、神林兄妹は穂高がそんな考えをもっていたとは知りませんでしたが、兄の貴弘は妹を取られたという理由で穂高に殺意を抱いていました。

 とはいえ、穂高は恨みを買うような行動ばかりとってきたので、貴弘の他にも二人から殺意を抱かれていたんですよね。

 その二人とは…。

 殺されても仕方ない男が殺される

 ひとりは穂高と同級生で彼のエージェントとして働いている駿河直之です。

 駿河はもともとは別の会社で働いていましたが、会社の金を横領し、それがバレて大金の返済を迫られていました。そんな彼に手を差し伸べたのが穂高です。

 これがキッカケで穂高のもとで働くことになった駿河でしたが、穂高は、駿河が愛していた浪岡準子と付き合い、弄んで捨てました。

 さらに、彼女が妊娠しているとわかると、「時期が来たら結婚するから」と嘘をついて堕胎させるんですよね。

 そのため、駿河は穂高を殺したいほど憎んでいましたが、美和子の編集者である雪笹香織も穂高を憎んでいました。

 雪笹香織も穂高の子供を身篭り、堕胎していたからです。

 そんな穂高が美和子と結婚することになったわけですが、結婚式の当日、これからバージンロードを歩こうというときに、口から泡を拭いて倒れます。

 その前日に浪岡準子が毒を飲んで自殺していたのですが、彼女と同じ毒で殺されたのです。

 ところが…。

 加賀恭一郎が犯人が仕掛けた難問に挑む

 容疑者である彼ら三人には毒を飲ませるチャンスがなかったことが判明します。この難問に挑むことになった加賀恭一郎は…。

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、東野圭吾さんの小説『私が彼を殺した』は最後まで犯人が明かされないので、推理が楽しめる物語です。

 もし犯人がわからなくても、文庫本の袋とじに「推理の手引き」がついているので、それを読めば犯人が特定できると思います。

 とにかく、『私が彼を殺した』はとても面白いミステリー小説なので、気になって方は、ぜひ読んでみてください。

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