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 時代の変化についていけてますか?

 私は出来るだけ時代の変化についていこうと、最新の本を読んだり、新しい仕事に挑戦したりしていますが、時代の変化についていけないと悲しい結末を迎えることになりかねません。

 川端康成さんの小説『舞姫』は、時代の変化についていけなかったバレリーナを描いた物語。悲しい結末に驚かされます。

 夫にたかられる元バレリーナが主人公の物語

 物語の主人公はかつてのバレリーナである波子。彼女には娘の品子と息子の高男がいましたが、夫の生活費も含めて、すべて彼女が面倒をみていました。

 とはいえ、夫の矢木が働いていないわけではありません。矢木はある大学に籍を置いているだけでなく、二、三の学校も掛け持ちしており、地方の学校へ講義に行くこともありました。

 それらの給料に加えて、原稿料や著者の印税も入っていたので、結構なお金を持っているはずです。

 しかし、矢木は一円のお金も家に入れませんでした。

 そんな父の姿をみてきた高男は、学問ができる父を尊敬していたものの、人としては全く尊敬できずにいました。大学での学生生活を辞めて働きたいと思っています。

 一方の品子は、波子の勧めに従ってバレリーナとして舞台に立つことを夢見て練習に励んでいました。

 しかし、品子にはどこか冷めたところがあり、バレリーナとしての未来を諦めていました。それよりも香山という男性と一緒になりたいと願っています。

 そんな家族と暮らす波子も多くの稼ぎがあるわけではありませんでした。バレエの先生をしているものの、そのほとんどを実家の資産で賄っています。今では土地や物を売って生活費にしていました。

 それにも関わらず…。

 新たな世界に一歩を踏み出す勇気が持てない

 夫の矢木は波子が物を売らないように見張ったり、電気をつけっぱなしにしていると嫌味を言ったりします。

 波子はそんな矢木が家に帰ってくるだけで失神してしまうほど彼を愛していませんでしたが…。

 体の関係を求められると拒めずにいました。矢木に支配されていたんですよね。

 そんな矢木の支配から逃れたい波子は、元恋人の竹原と何度も会うようになります。竹原には妻がいましたが、彼は今でも波子を愛していました。

 とはいえ、波子は竹原と会うだけで、それ以上の関係にはなりません。時代の影響もあったのでしょうが、一歩先へ進めずにいました。

 一方の矢木は、そんな波子の行動を知っているのに黙っていました。しかし、物語のラストで…。

 時代の変化についていけなかったバレリーナの末路は!?

 矢木の驚くような計画が明らかになるんですよね。時代の流れを読んで、自分だけが助かる道を模索していたのです。

 そんなことを全く知らない波子は、竹原との関係に胸をときめかせていました。その結果…。

 この続きは実際に本書を読んでもらうとして、川端康成さんの小説『舞姫』は、時代の変化についていけないと、悲しい結末を迎えることがわかる物語です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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