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 他人の不幸を望んでいませんか。

 もしそうだとしたら、心が傷だらけの証拠。今すぐ癒される何かに触れるべきです。

 たとえば、木皿泉さんの小説『カゲロボ』などはいかがでしょうか。

 人の不幸をみて安心したい

 私たちは誰もが他人の不幸をみて安心したいという心の闇を抱えています。

 たとえば、いつも姉と比べられて育てられた人は、姉が不幸にならなければ自分の存在価値がないと思い込んでいます。

 物語に登場するマナミもそのひとり。彼女は何をさせても自分よりも優れている姉と比べられて育ち、小説家として成功しそうな姉の邪魔をしようと考えていました。

 しかし、出版社で働く彼女は、担当する作家からこんな言葉をかけられるんですよね。

自分を傷つけられるのは自分だけよ。

 どれだけ酷い言葉を浴びせられようが、自分をしっかり持っていれば傷つかずにすむということです。

 とはいえ、そんなふうに生きるのは難しいですよね。だからこそ…。

 手触り感がないから悪事に手を染める

 他人を傷つけて優越感を得ようとするのです。

 小学生のチカダもそのひとり。彼は賢という同級生が気に入らず、何かにつけてイチャモンをつけていました。そして、ネコの足を切ったら許してやると言うのですが…。

 賢は実際に切ります。さらに、その足をチカダの筆箱に入れ、写真を撮り、SNSにアップしたことで、チカダが変出者として扱われるようになりました。

 このとき、チカダは実感がありませんでした。イジメをしていたことも、変出者として扱われていることも、そしてこの後、同級生の足を切りつけることも全て手触り感がなかったんですよね。

 だからこそ、簡単に他人を傷つけることができたのです。

 では、どうすれば実際に生きているという実感が得られるのでしょうか。

 見守ってくれる人の存在が不幸から救ってくれる

 それは、自分のことを見守ってくれる人の存在です。

 もちろん、自分の思い通りにコントロールしようとする人ではなく、自分のために心を砕いて行動してくれる人がいるかどうかです。

 そんな人がいれば、他人の不幸を望まなくても、「自分は存在していいんだ」と思えますよね。安心して生きていけます。

 そんな優しさがたくさん詰まった小説が木皿泉さんの『カゲロボ』。他人の不幸を望むのはやめ、自分も誰かの役に立てる存在でありたいと思える物語です。

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