webstation plus

(※『ジーキル博士とハイド氏』表紙より)


 性格の悪さを隠していませんか?

 誰もが他人に良く見られたいという思いから、性格の悪さを隠し、自分の良さをアピールして生きていますが、悪い性格を隠せば隠すほど、さらに性格が悪くなってしまいます。

 そのことに気づけたのは、スティーヴンスンの小説『ジーキル博士とハイド氏』を読んだからです。

 そこで今回は『ジーキル博士とハイド氏』を参考に、性格の悪さを隠すとさらに性格が悪くなる理由について考えてみたいと思います。

 『ジーキル博士とハイド氏』ってどんな小説?

 「ジキルとハイド」をご存知でしょうか。

 二重人格者の比喩として警察や探偵物のドラマ、映画、漫画などによく登場してくるアレです。

 ジーキル博士は、善良で誰にでも優しく接する尊敬すべき人物でしたが、彼の遺言状には全財産をハイドという人物に委ねると書かれていました。

 そのハイドという人物。ぶつかった少女が倒れても助けることなく、むしろ踏みつけて置き去りにするような人間。顔を見るだけで嫌悪感でいっぱいになるような人物でした。

 そんな対照的な二人がある殺人事件をキッカケに関係を疑われます。ジーキル博士は関係を否定しますが――。

 結末が予想できても、最後まで夢中で読んでしまう物語です。

 性格の悪さを隠すとさらに性格が悪くなる理由

 それは、悪い性格を否定すればするほど、性格の悪さに焦点があってしまうからです。

 よく心理学の本で、「シロクマのことだけは考えるな!」と言われると、シロクマをイメージしてしまうと書かれていますよね。あれと同じです。

 つまり、悪い性格に目を向ければ向けるほど、そのイメージが膨らみ、どんどん性格が悪くなっていくのです。

 ジーキル博士は完璧主義で、妥協を許せない性格でした。善良で向上心あふれる人生を歩もうと努力していましたが、どうしても攻撃的で快楽主義的な一面が出てきます。

 そこで彼は、善良な面と攻撃的で快楽主義的な悪の面を分離しようと考えました。彼は医学博士でもあったので、その薬を開発。こうして彼は善良なジーキル博士と邪な考えを持つハイド氏に性格を分離することに成功したのです。

 ところが、彼の予想は外れます。善と悪を分離すれば、悪の方は向上心や自責の念から解放されて自由を謳歌することができ、善の方も悪心に惑わされることなく、善行に喜びを見出して向上の道を進んでいけると考えていましたが、実際にはそうなりませんでした。悪心の解放ばかりを望むようになったのです。

 なぜなら、長い間、押さえつけてきた悪心が爆発したからです。その気持ち良さは計り知れません。

 だからこそ、ジーキル博士はハイド氏になって悪事を積み重ねます。人殺しに手を染めてはじめてハイド氏になるのをやめようと決意しますが、それでも彼はハイド氏になることを望んでいました。その結果――。

 誰もが性格の悪さを抱えて生きています。それを隠したり、否定したりするのではなく、受け入れることが大切です。その上で、どうすればより良い人生が歩めるのかを考えるべきだと思わせてくれる物語です。

 最後に

 スティーヴンスンの小説『ジーキル博士とハイド氏』。読めば、良い面も悪い面もともに自分であることがわかる物語です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 関連記事

東野圭吾『予知夢』は科学談義が面白いミステリー小説

(※『予知夢』表紙より)  東野圭吾さんの小説『予知夢』。  警視庁捜査一課の草薙俊平が、帝都大学理工学部の准教授・湯川学とともに科学的な視点で事件を解決していくミステリー小説です。前回紹介した『探偵ガリレオ』の続編。今 …

読書が好きじゃなくても本が読みたくなる小説ーpart3

(※『ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~』表紙より)  読書していますか?  私は『ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち』を読んでから、他の本を放り出して『ビブリア古書堂の事件手帖』シリー …

適量を知ることが自分らしく生きる秘訣/柚木麻子『BUTTER』感想

 首都圏連続不審死事件をご存知ですか。多くの男性を虜にして多額の経済的援助を引き出すことに成功した女性・木嶋早苗さんが犯した殺人事件です。  しかし、彼女は若くもなく、美しくもなく、スリムな体型でもありませんでした。そん …

読書が好きじゃなくても本が読みたくなる小説ーpart6

(※『ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~』表紙より)  読書していますか?  『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズもとうとう6巻目。栞子さんに怪我を負わせた犯人が再び登場するなど、いよいよ物語もク …

悩みの原因は自分にあった!?問題解決のヒント34

 生きていると悩みがつきませんよね。仕事が上手くいかない、時間が足りない、もっとお金が欲しい…などなど、次々と悩みが増えていきます。  しかし、このように悩んだり苦しんだりするのは、信じているものが間違っているからだとし …

何度も挫折しそうになった小説/湊かなえ『未来』感想

(※『未来』表紙より)  湊かなえさんの小説『未来』。 『告白』から10年。湊ワールドの集大成!  と帯にも書かれていたので期待して読んだのですが、途中で何度も挫折しかけました。  今回はその理由について書いてみたいと思 …

仕事も趣味も楽しむ!?50歳からの人生を幸せに生きるためのチェックリスト

 100歳まで生きられる時代になりました。  ベストセラー『LIFE SHIFT』によると、今20歳の人は100歳以上、40歳の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上まで生きられるそうです。  つまり、60歳から65歳で …

小さな力で大きな成果が得られる!?成果につながる自己投資のやり方

「すぐ始めよ、始めた者が成功する」  とは、本『「できる人間」を目指すなら、迷うのはやめよう』に書かれていた言葉ですが、行動しない人に限って「やらない理由」をグダグダ並べています。  「やり方がわからない」「失敗したらど …

ソ連という国についてどれだけ知っていますか?/本城雅人『崩壊の森』感想

 ソ連という国についてどれだけ知っていますか?  私は共産主義であるソ連に対して、なんとなく恐ろしいイメージを持っていましたが、『崩壊の森』を読んで、その恐ろしさが倍増しました。  私が想像していた以上に恐ろしい国なんで …

「現実を愛せない人」に幸せは訪れない/今よりも幸せになる方法

 私たちが苦しんだり、悩んだりしているのは、現実を受け入れられないときだ。たとえば、結婚相手がイメージしていた人と違っていたとき。真面目で優しい人だと思っていた相手が、実は浮気性で夜遊びがヒドイことに気づいたときなど、私 …