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 ハーバード大学に在籍したことのある286名を対象に、卒業後も毎年健康診断と心理テストを行い、戦争、仕事、結婚や離婚、育児、老後といった彼らの人生を追跡調査した研究によると、「母親との温かな関係が子どもの将来の年収の高さと関連している」ことがわかった。すなわち、母親が愛情を注いだ子どもほど、年収が高く、専門分野で成功を収めていることがわかったのである。

 では、「母親の愛情」とは具体的にどうすることなのだろうか。

 子育てのゴールは「子どもの自立」

 結論からいえば「子どもの自立をサポートすること」だ。「子育てのゴールは子どもの自立」と多くの専門家が言っているように、「経済的な自立」「社会的な自立」、そして「精神的な自立」の三つを兼ね備える人物に子どもを育てることが子育ての目的である。

 ここで、「経済的な自立」とは、自分ひとりで食べていけるだけの収入を得ること。将来的には配偶者や自分の家族を養えるだけの基盤をつくることである。「社会的な自立」とは、公私にわたる人間関係のなかで、「あなたは必要です」と求められる人材として力をつけていくこと。そして、「精神的な自立」とは、自らの確固たる価値観や人生観をもち、どのような環境でも生きがいがもてる人間になることである。

 ひきこもりは自立できていない顕著な例であるが、それ以外にも、経済的には収入を得て自立していても、自分の価値観や人生観を持たず、精神的に自立していない人もいる。あるいは、価値観は大切にしているものの、「社会が自分にあわない」といって仕事に就くことができず、経済面で親の援助を受けている人もいる。このような自立できていない状態では幸せな人生を送ることができない。

 では、どうすれば子どもが「経済的」「社会的」「精神的」に自立できるのだろうか。

 成功体験と失敗体験が「子どもの自立」を促す

 それには、できるだけ多くの成功体験や失敗体験を積ませることだ。

 クイーンズランド工科大学生物医学研究センターのAdrian Barnett博士の調査結果によると、オーストラリアン・フットボール・リーグ(AFL)の選手には12月生まれの選手より、1月生まれの選手が圧倒的に多いことがわかった。オーストラリアでは1月から学年が始まるため、1月生まれの子どもは、12月生まれの子どもよりも1年近く発達しており、この体格差をいかした子どもの頃の成功体験がプロスポーツ選手を目指すキッカケになったのではないか、とBarnett博士は考察している。

 他にも、9月に学年が始まるイギリスでは、秋生まれの子どもがスポーツ(特にサッカー)で成功していること、また学年のはじめに生まれた生徒は学業面でもよい成績をおさめ、自分に自信を持っていることがわかった。

 これらの研究結果から、子どもの頃の成功体験が「ブレない自信」となり、大人になってからの活躍につながっていることがわかる。

 もちろん、成功体験を積むためには失敗体験が必要だ。エジソンでも、スティーブ・ジョブズでも、イーロン・マスクでも、多くの失敗体験を積みかさねてきたからこそ、成功できたのである。そもそも、もまれ体験、失敗体験を積み重ねていない子どもは、大人になってからもすぐに心が折れてしまう。社会人として通用しない大人になってしまいがちだ。そんな大人に育てないためにも、子どもの頃に多くの失敗体験を積ませてあげよう。

 子どもに成功体験と失敗体験を積ませる方法

 では、成功体験と失敗体験を多く積ませるにはどうすればいいのだろうか。それには、親が次の二つをやらないことだ。

  1. 口出しする
  2. 手出しする

 子どもが否定形を連発しているようなら、それは失敗を怖れている証拠。親が口出しをしすぎてしまった可能性が高い。なぜなら、いつも結果ばかりを問われたり、上手くいかないときに怒られたりすると、子どもは「失敗したくない」と強く思うようになるからだ。

 では、どうすればいいのか。子どもを信頼して見守ろう。実際、宿題をしない子どもに、「宿題ができたらほめる、できなかったら何も言わない」ということを2週間続けただけで、子どもが自分から宿題をやるようになったケースもある。必要以上の口出しは、子どものやる気を削ぐだけで、何もいいことなどない。

 同じように、子どもが上手くいっていなからといって、手出しするのもよくない。子どもの失敗体験、そして成功体験を奪ってしまうからだ。

 実は、思いどおりにならないとき、つらいときこそが最高のチャンス。このとき、お母さんがサポート役に徹してあげられるかどうかで、子どもが成長できるかどうかが決まる。そして、このサポートの積み重ねが、子どもが成長して大人になり、どうにもならないことや理不尽なこと、不運としかいえない状況に追い込まれたときに、その逆境を乗り越える力となる。だから、出来る限り手を出さずに見守ってあげよう。

 まとめ

 自立した子どもに育てるには、「口を出さない」「手を出さない」という行動をとっていく必要があるが、その根底には「子どもを信頼する」必要がある。子どもを信頼できていれば、「口出し」「手出し」をしなくてもいいからだ。

 だから、口出し、手出しをしすぎているようなら、もっと子どもを信頼するようにしていこう。子どもの力を信じてあげよう。そうすれば、子どもは自分の力で伸びていく。そして、この「信頼」こそが子どもへの愛情であり、それが子どもの将来の収入へとつながっていくのである。

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