人の気持ちに寄り添っていますか?
私は歳をとるにつれて、他人よりも自分を優先するようになりましたが、
西加奈子さんの小説『i(アイ)』を読んで考えを改めました。
愛情をもって人の気持ちに寄り添いたくなる物語なんですよね。
おすすめ度:
こんな人におすすめ
- 人の気持ちに寄り添いたくなる物語が気になる人
- 自己中心的な考えを改めたい人
- 泣ける物語が好きな人
- 西加奈子さんの小説が好きな人
あらすじ:裕福な義理の両親に育てられた女子高生の物語
物語の主人公は、アメリカ人の父と日本人の母をもつ女子高生のワイルド曽田アイ。
彼女は血の繋がりのない裕福な両親に大切に育てられましたが、繊細で賢すぎるため、自分の境遇を恥ずかしく思っていました。
なぜなら、世界には理不尽な生活を余儀なくされている子供たちが大勢いるからです。
たとえば、
- 骸骨のように痩せ細り、でもお腹だけ大きく突き出た子どもたち
- 煙が立ち上るゴミ山をあさる裸足の子どもたち
- 路上で固まって眠り、大人たちから金品を盗むことで生きている子どもたち
シリア生まれの彼女は、自分もそのうちの一人だったかもしれない…と思うと、贅沢な暮らしをしている自分が恥ずかしくて仕方ありませんでした。
自分が養子に選ばれなければ、他の誰かが裕福になれたのに…と思い悩んでいたのです。
そのため、アイは震災やテロが起こるたびに、「なぜ、自分が被害者じゃなかったんだろう?」と悩むようになりました。
一方で、アイは養子であることに不安を感じていました。本当の子どもができたら追い出されるのではないかと心配していたんですよね。
だからこそ、彼女は両親に何も求めなくなりました。両親に心配をかけることのないグッドガールであろうとしたのです。
そんなアイが同性愛者のミナや歳上の男性・ユウとの出会いを通して、自分の存在意義を見つけていく物語です。
親友のミナとカメラマンのユウがアイの心を満たしてくれる
あらすじで紹介したように、アイは自分が恵まれていることを恥じていました。
そのため、彼女の暮らしはとても孤独なものでした。他人の不幸に想いを馳せ、裕福な自分を消し去ろうとしていたからです。
そんな彼女を孤独から解放してくれたのが同級生のミナでした。
彼女はアイとは対照的に活発で自信溢れる女性でしたが、アイとはすぐに仲良くなりました。
とはいえ、ミナにも悩みがありました。彼女は同性愛者で、マイノリティであることを悩んでいたのです。
しかし、そんな不安をまったく出さずに、まるでもうひとりの自分と接するかのように、アイを大切にするんですよね。
さらに、デモ集会で出会った歳上の男性・ユウとの出会いがアイの人生を大きく変えます。
アイはすべてを包み込んでくれるユウに惹かれ、出会ってすぐに彼と結婚しました。
こうして自分の居場所を見つけたアイは、孤独から解放されて幸せに暮らすようになりましたが、ある出来事がきっかけで、またしても自分の存在意義がわからなくなりました。
このとき、ミナとユウは…。
アイの気持ちに寄り添おうとする彼らの優しさにグッとくる物語です。
アイとミナがたどり着いた結論に涙!?
さて、この物語では、終盤にアイとミナが悩みを乗り越えてある結論にたどり着きます。
この結論は私たちが生きていく上で最も大切なことであり、人を愛するという気持ちそのものでした。
愛情をもって人の気持ちに寄り添いたくなる結論なんですよね。
ぜひ、実際に読んで彼女たちが出した結論に涙してください。
まとめ
今回は、人の気持ちに寄り添いたくなる西加奈子さんの小説『i(アイ)』を紹介してきました。
私たちはどうしても自分にばかり目を向けてしまいがちですが、人の気持ちに寄り添うことの大切さを教えてくれる物語です。
気になった方は、ぜひ実際に読んでみてください。
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