webstation plus

 好きなことに打ち込んでいますか?

 私は好きな仕事とブログに打ち込んでいますが、米澤穂信さんの小説『氷菓』に登場する主人公は違いました。

 彼は勉強にもスポーツにも恋愛にも消極的だったんですよね。そんな彼が…。

 省エネ主義を貫こうとする主人公

 では、あらすじから。

 物語の主人公は勉強にもスポーツにも恋愛にも消極的な高校生の折木奉太郎。

 彼はエネルギーを費やしてまで好きなことに打ち込むのが好きではありませんでした。そのため、部活とは縁のない生活を送ろうとしていましたが…。

 文武両道の姉からの手紙で古典部に入ることになります。姉に逆らうとどうなるかわからないからです。

 さらに、入部者ゼロの古典部に彼と同じ日に入部した千反田えるに出会ったことで、彼は省エネ主義から遠ざかりはじめました。

 えるが好奇心の亡者だったからです。彼女とはじめて出会ったときも、えるは自分が部室に閉じ込められていた理由を奉太郎に尋ねます。

 奉太郎は、そんな彼女の「わたし、気になります」という言葉と迫力に負けて、彼女の疑問を解くことになるんですよね。

 もちろん、えるが示した好奇心はこれだけではありませんでした。他にも…。

 えるが示した好奇心を解くことになった奉太郎

 『神山高校五十年の歩み』という面白味のない本が、なぜか毎週金曜日のお昼休みに借りられ、同じ日の放課後に返却されていた理由を気にしたり、

 古典部の文集『氷菓』のバックナンバーが部室にも図書館にもない理由を気にしたりします。

 なかでも彼女が最も好奇心を示したのが、彼女の叔父である関谷純との思い出でした。

 関谷純は昔、古典部に入っていたのですが、えるが幼い頃に彼から古典部の話を聞かされたときに泣いた理由を教えて欲しいと言うのです。

 しかも、関谷純は行方不明になっており、そのことを親戚に聞くこともできないので、誰にも頼ることができないと言います。

 そんな難問に挑むことになった奉太郎は…。

 好きなことに打ち込む楽しさとツラさがわかる物語

 この続きは実際に読んでもらうとして、米澤穂信さんの小説『氷菓』は、奉太郎の姿を通して好きなことに打ち込む楽しさとツラさがわかる物語です。

 それだけでなく、誰も殺されない青春ミステリーとしても楽しめる物語なので、気になった方は、ぜひ読んでみてください。

おすすめのまとめ記事はこちら

 関連記事

森見登美彦『有頂天家族』感想/血の繋がりだけでは家族になれない

 「家族」を大切にしていますか?  私は大切にしているつもりですが、そもそも「家族」と一言でいっても捉え方は千差万別です。  血のつながった人たちの集まりを家族と言う人もいれば、一緒に暮らしている人を家族と呼ぶ人もいます …

誰とでも対等に付き合ってる?/伊坂幸太郎『チルドレン』感想

 誰とでも対等に付き合っていますか?  私は誰とでも対等に付き合っているつもりでしたが…。伊坂幸太郎さんの小説『チルドレン』を読んで反省しました。  自分より能力が劣っていると思っている人たちに対して、上から目線で接して …

重松清『みんなのうた』感想/田舎暮らしは大変すぎる

 田舎に帰っていますか。  私は都会で暮らしてきたので、田舎と呼べる場所はありませんが、重松清さんの小説『みんなのうた』を読んで、田舎暮らしの大変さが少しだけわかりました。  田舎と聞くと自然に囲まれた良いイメージをもっ …

何度も挫折しそうになった小説/湊かなえ『未来』感想

(※『未来』表紙より)  湊かなえさんの小説『未来』。 『告白』から10年。湊ワールドの集大成!  と帯にも書かれていたので期待して読んだのですが、途中で何度も挫折しかけました。  今回はその理由について書いてみたいと思 …

こだわりを持って生きている?小川洋子『人質の朗読会』は不思議なのに心に残る小説

(※『人質の朗読会』表紙より)  小川洋子さんの小説『人質の朗読会』。  地球の裏側にある村で反政府ゲリラの人質になった8名は、暇つぶしに朗読を始めますが、いつの間にか自分の過去と向き合い、真剣に朗読しあうようになりまし …

平野啓一郎『ある男』感想/愛しているのはその人の「今」なのか「過去」なのか

 私たちは誰かを愛しながら生きていますが、その愛はその人の今を見て生まれてきた感情なのでしょうか。  それとも、その人の過去を知っているからこそ生まれてきた感情なのでしょうか。  平野啓一郎さんの小説『ある男』を読んで、 …

有川浩『シアター!2』感想/悪意ある批判には作品を殺す力がある

 本を読んでいると、たまに自分の好みとあわない物語に出会うことがあります。  そんなとき、私は出来るだけ批判めいた内容を書かないように気をつけていますが、それでも相手を傷つけてしまうことがあるんですよね。  もちろん、悪 …

小野寺史宜『縁』感想/魔が差しても止めてくれる人はいますか?

 生きていると魔が差すような出来事ってありますよね。  そんなとき、その誘惑に負けずにいられるかどうかは、周りにいる人たちの影響も大きいように思います。  小野寺史宜さんの小説『縁』を読んで、魔が差しても止めてくれる人が …

東野圭吾『悪意』は言葉で人は騙せても人柄は隠しきれないことがわかる物語

 何も行動は起こさないのに、調子の良いことばかり言っていませんか?  私は口にしたことは出来るだけ行動するようにしていますが、知り合いのなかにも調子の良いことばかり言っている人がいるんですよね。  東野圭吾さんの小説『悪 …

シェイクスピア『リア王』は間違ったものを信じる恐ろしさを教えてくれる小説

 私たちは何かを信じて生きていますよね。  しかし、その信じているものが間違っているとしたら…。その結末は恐ろしいものになるかもしれません。  シェイクスピアの小説『リア王』を読めば、間違ったものを信じる恐ろしさに衝撃を …