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(※『氷菓』表紙より)


 米澤穂信さんの小説『氷菓』。デビュー作とは思えないほど、魅力ある青春ミステリー小説です。読み進めていくうちに学生時代の甘くてほろ苦い記憶を思い出すこと間違いなし!?

 今回は『氷菓』のあらすじと感想を紹介します。

 『氷菓』のあらすじと感想

一 『ベナレスからの手紙』

 神山高校に入学した折木奉太郎のもとへ姉から一通の手紙が届きます。内容は「古典部に入りなさい」というものでした。

 ここから古典部シリーズが始まります。

二 『伝統ある古典部の再生』

 姉からの手紙に従い、古典部に入ることにした折木奉太郎。彼は、もう一人の入部希望者・千反田えると部室で出会いました。

 しかし、出会って束の間、千反田はこんな疑問を口にします。「わたしは閉じ込められていた、ってことですね」。折木とその親友・福部里志が密室の謎に迫る!?

 最後はあっけない終わり方ですが、これからどうなっていくのか気になる物語でした。

三 『名誉ある古典部の活動』

 文化祭までに文集を作ることになった古典部。そこで折木と千反田は、図書室でバックナンバーを探すことに。しかし、バックナンバーが見つからないばかりか、図書室で出会った同級生の伊原が抱える謎に巻き込まれてしまいます。

 内容は、「毎週金曜日の昼休みに『神山高校五十年の歩み』を借りる人物が現れ、同じ日の放課後には返却される」というものでした。なぜ同じ本が金曜日の短期間だけ貸りられるのか!?

 単純な構成なので、折木と一緒に謎解きが楽しめる物語です。今回は折木よりも先に答えを導き出せました。

四 『事情ある古典部の末裔』

 ある日曜日。千反田が「相談したいことがある」と言って折木を呼び出します。内容は、「行方不明になっている伯父と子どもの頃に会話した内容を思い出させて欲しい」というものでした。ヒントは古典部。折木はこの謎にどう迫る!?

 千反田が古典部に入った理由が明らかになる物語。優しかった伯父と会話した後、千反田はなぜ泣いたのか?ーー気になります。

五 『由緒ある古典部の封印』

 姉からの手紙で文集のありかを知った折木は、千反田たちと生物講義室へと向かいました。しかし、そこにいた壁新聞部の部長・遠垣内からはつれない返事が。なぜ、遠垣内はあるはずの文集をないと言い張るのか!?

 千反田の伯父・関谷純の手がかりが見つかる物語。彼が命名した文集『氷菓』にヒントが!?

六 『栄光ある古典部の昔日』

 『氷菓』のバックナンバーを読んでわかったことは、千反田の伯父・関谷が英雄だったこと。しかし、争いがあり、神山高校から去ったこと。の二点でした。折木、千反田、里志、伊原の4人が関谷の謎に迫る!?

 折木の推理が見事な物語。しかし、最後の千反田のセリフで大どんでん返しの予感が。続きが気になります。

七 『歴史ある古典部の真実』

 姉からの電話で推理が不完全であることを悟った折木は、関谷の過去を知る人物を見つけ出し話を聞くことに。ついに関谷の謎が明かされる!?

 いよいよ物語も大詰め。『氷菓』というタイトルに込められた謎も明らかになります。

八 『未来ある古典部の日々』

 関谷の謎を解決した古典部のその後の話。引き続き、千反田の好奇心が爆発します。

九 『サラエヴォへの手紙』

 折木が姉に手紙を書きます。どういうつもりで、古典部に入らせたのかと――。

 最後に

 小説『氷菓』は、学生時代に味わった甘くてほろ苦い記憶を思い出すことができるミステリー小説です。省エネ主義の折木が効率が悪くても手に入れる価値があるもの――古典部の活動に力を入れていく姿に惹かれること間違いなし!?

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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