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(※『ジャイロスコープ』表紙より)


 伊坂作品の特徴といえば、至るところに散りばめられた伏線がすべて回収されていくところですよね。

 これは短編でも長編でも同じです。読了後には必ずスッキリ感が味わえます。

 しかし、『ジャイロスコープ』はひと味違います。伊坂さんにしては珍しく独立した短編集なんです。

 それは、デビュー15年目という節目を記念して企画された「文庫のおくりもの」的な作品だから。いろんなタイプの短編が楽しめます。

 今回は『ジャイロスコープ』のあらすじとおすすめポイントを紹介します。

 『ジャイロスコープ』(『浜田青年ホントスカ』)のあらすじ

 スーパーの駐車場で「助言あり〼(ます)」という看板を掲げる相談屋の稲垣。家出をした浜田青年は、彼にアシスタントをしてみないかと誘われます。

 メリットは三つ。宿泊場所が確保できる、食事代がいらない、他人の相談が聞ける。

 ただし、デメリットも。携帯電話が使えない、外出できないなどなど。その理由は――。

 最後に大どんでん返しがある物語。オチで驚くこと間違いなし!?

 『ジャイロスコープ』のおすすめポイント

1. 短編集と見せかけた長編…じゃない!?

 『死神の精度』や『終末のフール』、『アイネクライネナハトムジーク』など、伊坂幸太郎さんの作品には、短編集と見せかけた長編が多数あります。

 物語の舞台や主人公、登場人物は同じで、フォーカスされる人物や時間軸が変わるパターンですね。

 しかし、『ジャイロスコープ』は違います。完全に独立した短編集。

 そのため、これまでのような物語が繋がっていく気持ち良さは味わえませんが、ひとつひとつの短編が攻めてます。

 特に『ギア』という短編がシュールすぎる!?

2. タイトルどおりの短編集

 「ジャイロスコープ」とは物体の姿勢を検出できる装置のこと。ロボットやドローン、カメラの手ぶれ補正などに使われています。

 では、なぜ「ジャイロスコープ」が本書のタイトルになったのでしょうか。

 伊坂さんは次のように書かれています。

回転するコマを3つの軸で支え、自由に向きを変えられるようにした装置。応用により、物体のずれや揺れを防ぐ。
また、外力を加えるとコマ独特の意外な振る舞いをすることから、転じて、軸を同じにしながら各々が意外性と驚きに満ちた個性豊かな短編小説集を指す。

 つまり、意外性と驚きに満ちた短編集なんですね。読めば意外性と驚きが味わえること間違いなし!?

3. おすすめの短編が盛りだくさん!?

 『ジャイロスコープ』は全7章で構成されています。なかでもおすすめなのが『if』と『彗星さんたち』、『後ろの声がうるさい』。

 それぞれ簡単に紹介します。

『if』

 「あのとき、ああしていれば…」

 バスジャック犯に遭遇した山本は、犯人の言いなりになって人質の女性を見捨てます。そんな不甲斐ない自分に自己嫌悪していた山本に挽回のチャンスが訪れる!?

 後悔しないように行動していこうと思える物語です。

『彗星さんたち』

 子どもを養うために新幹線の車内清掃をしている二村。そんな彼女が乗客たちとの出会いを通じて、危篤状態の先輩の人生を垣間見るという不思議なお話。

 「見る人は見ている」という言葉が実感を伴って心に入ってくる物語。世の中には大変な状況でも頑張っている人がいるんだなぁ、私も頑張らないと!と思えるお話でした。

『後ろの声がうるさい』

 新幹線の後部座席に座っている中年男性。その隣に、記者を名乗る人物が押しかけてきます。彼は女優の不倫騒動を追いかけていると言うのですが…。

 これまでの物語で登場した人物が再登場。オチで泣けます。

 最後に

 伊坂幸太郎さんの小説『ジャイロスコープ』。これまでとはひと味違う伊坂ワールドが楽しめる小説です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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