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(※『グラスホッパー』表紙より)


 伊坂幸太郎さんの小説『グラスホッパー』。

 殺し屋の鯨と蝉、そして復讐者の鈴木がそれぞれの目的を成し遂げるために殺人を犯したり、逃げ惑ったりする物語です。読めば再読したくなること間違いなし!?

 今回は、『グラスホッパー』のあらすじとおすすめポイントを紹介します。

 『グラスホッパー』のあらすじ

 薬物、暴力、人殺し、臓器売買…。何をしても罰せられない会社・フロライン。その社長のバカ息子に妻をひき殺された鈴木は、復讐のためにフロラインに潜り込みます。しかし、幹部社員から疑いをかけられ脅されることに。

 人を自殺に追い込むことを生業にしている鯨は、半年ほど前から眩暈を感じるようになり、悩んでいました。そんなとき、ホームレスから「押し屋」という殺し屋と対決することを提案されます。鯨は押し屋に勝てるのか!?

 雇われて人殺しをしている蝉は、斡旋者の言いなりになっている自分に自己嫌悪を感じていました。そんなとき、たまたま耳にした「押し屋」の話を利用して名を挙げようとします。彼が押し屋を殺すのか!?

 3人の視点で物語が進んでいく

 鈴木、鯨、蝉――この三人の視点で物語が進んでいきます。

 彼らにはそれぞれ成し遂げたいことがありました。鈴木は妻の復讐を、鯨は亡霊からの解放を、そして蝉は自由を求めていました。

 そんな彼らの願いを叶える鍵が「押し屋」という殺し屋。鈴木は家庭教師として押し屋の家に潜り込み、鯨は対決相手として、蝉は名を上げるための利用人物として押し屋を目指します。

 彼ら三人が辿りついた結末とは!?

 ラストには衝撃の結末が!?

 物語の終盤で次のようなシーンがあります。

列車が通り抜けていくのを、鈴木はじっと眺めながら、「それにしてもこの列車、長くないか」と、亡き妻に向かってこっそりと言う。
回送電車は、まだ通過している。

 実はこれ。これまでの物語を根底から覆すシーンなんです。それを物語っているのが中盤での鯨とホームレスの会話。

「兆候はあるんですよ、幻覚のしるしは。例えば、街で立っている時に、目の前の信号の点滅がちっとも止まらなかったり、歩いても歩いても階段が終わらなかったり。駅にいる時も、通過する列車がいつまで経っても通り過ぎない、とか、この列車ずいぶん長いなあ、なんて思ったら、まずい兆候ですよ。そういうのは全部、幻覚の証拠です。信号や列車は、幻覚のきっかけになりやすいんです。信号はたいがい見始めの契機で、列車は目覚めの合図だったりします」

 つまり、鈴木は物語の終盤でようやく幻覚から覚めたことになります。

 では、この物語のどこまでが幻覚で、どこまでが現実だったのか…。読み終えた直後に再読したくなること間違いなし!?

 最後に

 伊坂幸太郎さんの小説『グラスホッパー』。読めば再読したくなる物語です。

 気になった方は、ぜひ読んでみてください。

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